■時間帯によって聴く音楽って違う
我が家のCDライブラリーを眺めててふと気づいたけど、なんか時間帯によって聴く音楽って違うよねえ。
特に私は早いと朝の4時とかに起きるので、午前中に聴く音楽は特定のアルバムばかりだ。てなわけで最近よく聴くお気に入りのアルバムを、朝、昼、夜の時間帯別に並べてみた。
【朝】 まだ目覚めぬ脳にやさしい3枚
●ジョアン・ジルベルト 『JOAO GILBERTO (Aguas de Marco)』(1973年)
その日、私はGRADOのヘッドホン「SR-325i」を買うため秋葉原にいた。目指すはオーディオの聖地「ダイナミックオーディオ5555」だ。
そして店に入るとWilson BeneschのARCから芸術的に鳴っていたのがこのアルバムだった。
もう脳天カラタケ割りですよ。
もちろん今までにも、音楽に対する価値観や考え方が塗り替えられる体験は何度かした。たとえばグレン・グールドやブラッド・メルドー、チャボロ・シュミットを初めて聴いたときがそうだった。
そしてジョアン・ジルベルトも彼らと同様、ショッキングな感電系だった。
ギターと歌だけなのに、この弾けるような躍動感はどうだろう? しかもヴォーカルとギターの鳴り方自体は、躍動とは対極にある物憂い音だ。なのになぜ躍動感(ノリ)と物憂さ(雰囲気)が両立するのか? 呟くようなヴォーカルと、美しいアコギのノリが作り出す不思議なミスマッチ。脱帽である。
ボサノバってそれまではジョビンとかエリス・レジーナくらいは聴いていた。だけどジョアン・ジルベルトっていうと「おっさんのボーカルなんて聴きたくないよ」と食わず嫌いだった。とんでもない間違いだったと思い知らされた1枚である。
●リッキー・リー・ジョーンズ 『Traffic from Paradise』(1993年)
リッキーのアルバムには駄作がない。で、「1枚だけ挙げろ」と言われればたいてい『浪漫』が選ばれちゃうんだけど、個人的にはこのアルバムがいちばん好きだ。
たとえば『浪漫』の1曲目「恋するチャック」は、街角で通りすがりにパッと聞いても「いいなあ」と感じる売れる音だ。
だけどアルバム『Traffic from Paradise』は、200回聴いてやっとよさがわかるみたいな世界。それ以降はもう聴けば聴くほどよくなるスルメ現象が起こる。マイ・フェイバリットなドラマー、ジム・ケルトナーのプレイがふんだんに聴けるのもマルだ。
●ブラッド・メルドー 『Places』(2000年)
メルドーのアルバムの中でいちばん難解(んなこたないんだけど)とされており、やはり200回以上聴いて初めて系といえるかもしれない。音の選び方とタイム感には本当にしびれる。真の天才。
【昼】 黒くスワンピーに疾走するデイタイム
●アレサ・フランクリン 『Rare & Unreleased Recordings from the Golden Reign of the Queen of Soul 』(2007年)
「アレサのアルバムはもう全部持ってるよ」って人に超おすすめなレアテイク・ベスト盤。アトランティックの名プロデューサー、ジェリー・ウェクスラーが発掘・選曲した35曲がずらり並ぶ。アルバム全体を一聴しただけで、「やっぱ目の付け所が違うわこのオッサンは」って感じ。
チャック・レイニー(bass)とバーナード・パーディー(drums)のリズム・セクションに、コーネル・デュプリー(guitar)がからむ垂涎のセットが3曲聴ける。
それだけでなくウィリー・ウィークス(bass)とパーディーの組み合わせも楽しめるぞ(1曲だけだけど)。
もちろんマッスル・ショールズのリズム隊、デヴィッド・フッド(bass)とロジャー・ホーキンス(drums)のコンビも「参った」ってくらい聴けるのです。1万円でも買うでしょ、あなたも?
●ジェシ・エド・デイヴィス 『Jesse Davis/Ululu』(1970/1972年)
1stアルバムの『Jesse Davis』(1970年)と、2nd『Ululu』(1972年)がカップリングされたおトクなCDだ。アーシーでえらく泥臭い音だから郊外の山や川、緑の中をチャリンコでのんびり走りながら聴くのに最高である。
あとサードアルバム『Keep Me Comin'』(1973年)も掛け値なしの傑作。1st〜2ndと併せて山河チャリンコ行にぴったりといえる。
●リトル・フィート 『Little Feat』(1971年)
ジェシ・デイヴィスと同じく山河チャリンコ行にgoodな1枚。もちろん初期のアルバムとしては『Dixie Chicken』(1973年)や『Sailin' Shoes』(1972年)のほうがコマーシャルで有名だし、リッチー・ヘイワード(drums)とケニー・グラッドニー(bass)のコンビが生まれたのも3枚目『Dixie Chicken』からだ。
だけどこのファーストアルバム、妙に未完成で、スカスカな薄さが逆に独特の雰囲気を醸し出してていい。やはり山河チャリンコ行にはこいつで決まりだ。
【夜】 疲れたらボサに帰る
●アントニオ・カルロス・ジョビン 『Wave』(1967年)
ジョビンは個人的に『Stone Flower』、『Tide』、『Wave』が愛聴盤トリオだが、3枚の中ではリズムパターンが一番スタンダードなボサノバ調でリラックスできる。なので夜、疲れたときにぴったり。
●ジョン・スコフィールド 『That's What I Say』(2005年)
ジョン・スコにハマるきっかけになった記念碑的ディスク。いや実はベースがウィリー・ウィークスだったんで買ったのだがアルバム自体が最高だった。
レイ・チャールズへのトリビュート・アルバムだから歌物が多いけど、もちジョン・スコのくねくねはずし系ギターもたっぷり聴ける。
●ライ・クーダー 『Boomer's Story』(1972年)
ライ・クーダーもリッキーやメルドーと同じで駄作がないけど、特に好きなのがこのアルバムだ。中南米にスッ飛んじゃってからの彼もいいけど、その寸前でアメリカがたっぷり詰まってるこれもいい。
5曲目「Maria Elena」、6曲目「Dark End of the Street」なんてあまりの美しさにもう泣いちゃう。至高です。
我が家のCDライブラリーを眺めててふと気づいたけど、なんか時間帯によって聴く音楽って違うよねえ。
特に私は早いと朝の4時とかに起きるので、午前中に聴く音楽は特定のアルバムばかりだ。てなわけで最近よく聴くお気に入りのアルバムを、朝、昼、夜の時間帯別に並べてみた。
【朝】 まだ目覚めぬ脳にやさしい3枚
●ジョアン・ジルベルト 『JOAO GILBERTO (Aguas de Marco)』(1973年)
その日、私はGRADOのヘッドホン「SR-325i」を買うため秋葉原にいた。目指すはオーディオの聖地「ダイナミックオーディオ5555」だ。
そして店に入るとWilson BeneschのARCから芸術的に鳴っていたのがこのアルバムだった。
もう脳天カラタケ割りですよ。
もちろん今までにも、音楽に対する価値観や考え方が塗り替えられる体験は何度かした。たとえばグレン・グールドやブラッド・メルドー、チャボロ・シュミットを初めて聴いたときがそうだった。
そしてジョアン・ジルベルトも彼らと同様、ショッキングな感電系だった。
ギターと歌だけなのに、この弾けるような躍動感はどうだろう? しかもヴォーカルとギターの鳴り方自体は、躍動とは対極にある物憂い音だ。なのになぜ躍動感(ノリ)と物憂さ(雰囲気)が両立するのか? 呟くようなヴォーカルと、美しいアコギのノリが作り出す不思議なミスマッチ。脱帽である。
ボサノバってそれまではジョビンとかエリス・レジーナくらいは聴いていた。だけどジョアン・ジルベルトっていうと「おっさんのボーカルなんて聴きたくないよ」と食わず嫌いだった。とんでもない間違いだったと思い知らされた1枚である。
●リッキー・リー・ジョーンズ 『Traffic from Paradise』(1993年)
リッキーのアルバムには駄作がない。で、「1枚だけ挙げろ」と言われればたいてい『浪漫』が選ばれちゃうんだけど、個人的にはこのアルバムがいちばん好きだ。
たとえば『浪漫』の1曲目「恋するチャック」は、街角で通りすがりにパッと聞いても「いいなあ」と感じる売れる音だ。
だけどアルバム『Traffic from Paradise』は、200回聴いてやっとよさがわかるみたいな世界。それ以降はもう聴けば聴くほどよくなるスルメ現象が起こる。マイ・フェイバリットなドラマー、ジム・ケルトナーのプレイがふんだんに聴けるのもマルだ。
●ブラッド・メルドー 『Places』(2000年)
メルドーのアルバムの中でいちばん難解(んなこたないんだけど)とされており、やはり200回以上聴いて初めて系といえるかもしれない。音の選び方とタイム感には本当にしびれる。真の天才。
【昼】 黒くスワンピーに疾走するデイタイム
●アレサ・フランクリン 『Rare & Unreleased Recordings from the Golden Reign of the Queen of Soul 』(2007年)
「アレサのアルバムはもう全部持ってるよ」って人に超おすすめなレアテイク・ベスト盤。アトランティックの名プロデューサー、ジェリー・ウェクスラーが発掘・選曲した35曲がずらり並ぶ。アルバム全体を一聴しただけで、「やっぱ目の付け所が違うわこのオッサンは」って感じ。
チャック・レイニー(bass)とバーナード・パーディー(drums)のリズム・セクションに、コーネル・デュプリー(guitar)がからむ垂涎のセットが3曲聴ける。
それだけでなくウィリー・ウィークス(bass)とパーディーの組み合わせも楽しめるぞ(1曲だけだけど)。
もちろんマッスル・ショールズのリズム隊、デヴィッド・フッド(bass)とロジャー・ホーキンス(drums)のコンビも「参った」ってくらい聴けるのです。1万円でも買うでしょ、あなたも?
●ジェシ・エド・デイヴィス 『Jesse Davis/Ululu』(1970/1972年)
1stアルバムの『Jesse Davis』(1970年)と、2nd『Ululu』(1972年)がカップリングされたおトクなCDだ。アーシーでえらく泥臭い音だから郊外の山や川、緑の中をチャリンコでのんびり走りながら聴くのに最高である。
あとサードアルバム『Keep Me Comin'』(1973年)も掛け値なしの傑作。1st〜2ndと併せて山河チャリンコ行にぴったりといえる。
●リトル・フィート 『Little Feat』(1971年)
ジェシ・デイヴィスと同じく山河チャリンコ行にgoodな1枚。もちろん初期のアルバムとしては『Dixie Chicken』(1973年)や『Sailin' Shoes』(1972年)のほうがコマーシャルで有名だし、リッチー・ヘイワード(drums)とケニー・グラッドニー(bass)のコンビが生まれたのも3枚目『Dixie Chicken』からだ。
だけどこのファーストアルバム、妙に未完成で、スカスカな薄さが逆に独特の雰囲気を醸し出してていい。やはり山河チャリンコ行にはこいつで決まりだ。
【夜】 疲れたらボサに帰る
●アントニオ・カルロス・ジョビン 『Wave』(1967年)
ジョビンは個人的に『Stone Flower』、『Tide』、『Wave』が愛聴盤トリオだが、3枚の中ではリズムパターンが一番スタンダードなボサノバ調でリラックスできる。なので夜、疲れたときにぴったり。
●ジョン・スコフィールド 『That's What I Say』(2005年)
ジョン・スコにハマるきっかけになった記念碑的ディスク。いや実はベースがウィリー・ウィークスだったんで買ったのだがアルバム自体が最高だった。
レイ・チャールズへのトリビュート・アルバムだから歌物が多いけど、もちジョン・スコのくねくねはずし系ギターもたっぷり聴ける。
●ライ・クーダー 『Boomer's Story』(1972年)
ライ・クーダーもリッキーやメルドーと同じで駄作がないけど、特に好きなのがこのアルバムだ。中南米にスッ飛んじゃってからの彼もいいけど、その寸前でアメリカがたっぷり詰まってるこれもいい。
5曲目「Maria Elena」、6曲目「Dark End of the Street」なんてあまりの美しさにもう泣いちゃう。至高です。










