まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第11回四国八十八所めぐり~宇和島「がいや」

2017年09月04日 | 四国八十八ヶ所
高校野球の熱戦を見て野球の面白さを改めて感じたところで、そろそろ夕方となる。早い時間ではあるが夕食に向かうとする。グランドホテルの表通りを駅とは反対方向に5分ほど歩いたところにある「がいや」。「外野」ではなく、土地のことばで「すごい」という意味である。宇和島の居酒屋では上位の人気店だという。早い時間から満席になるという情報もあり、17時の開店直後に入る。カウンターが空いていたので無事に座れたが、奥の方からは早くも歓声が挙がっている。

カウンターの内側で調理をするお兄さんから「どちらから?」と声をかけられる。八十八所めぐりや野球観戦をしたという言うと「それはそれは、宇和島はいいところでしょ?」と。お兄さんは地元の産まれではなく、福岡のほうから縁あって宇和島に来て間もないとのことで、「宇和島城もこの間初めて上ってきた」という。大阪や東京から見ると、宇和島というのは愛媛の西の果てのイメージがあるが、九州の方から見ればむしろ四国の玄関口のように思えるといい、単純なことだがちょっとした気づきである。

ここは純粋に魚をいただこうと刺身の盛り合わせを注文。運ばれてきたのは五合枡に盛られた一品。「これもがいやの売りでして」と、大皿や舟盛りとはまた違った見た目の面白さを感じる。これが「大」がと一升枡になる。そしてこれにあてるのはキリン一番搾りの「愛媛に乾杯」。昨夜は球場で夜風に吹かれながら「愛媛に乾杯」の缶ビール、そして今夜は宇和島の店での「愛媛に乾杯」。みかんの栽培が盛んな愛媛らしく、ほんのり柑橘系の味が入るのが特徴である。

そうするうちに次々と宴会予約や地元の人、旅行者らしき人も次々とやって来て、店内も賑やかになった。厨房のお兄さんもさすがに次々と注文が入って忙しくなる。

この他にじゃこ天やその他の一品をいただいた後で、締めはやはり郷土料理の鯛めし。これで「夜の八十八所」のほうも大満足である。

しばらく外を散歩する。山の上に照明が灯っているのが見える。前夜訪ねた丸山公園野球場で、今まさに熱戦中というところである。商店街にも愛媛マンダリンパイレーツの宇和島3連戦のポスターが貼られていたのを見たが、後で公式記録を見たところでは、18日の試合は7対0で愛媛が香川相手に快勝、観客は286人とあった。金曜の夜だから仕事帰りにもう少し観客がいてもいいのではと思ったのだが・・・。ただかくいう私も一杯入った状態で今から球場まで歩くのも面倒で、そこはまたの機会を楽しみにすることに。

・・・さて翌19日。今回の四国めぐりの最終日である。チェックアウト時、これまで着た衣類など荷物の一部をホテルから宅配便で自宅に送る。キャリーバッグはそのまま手に持ち、その代わりにリュックの中身を減らす。この日は伊予大洲に移動し、町並み見物や別格霊場を訪ねた後で松山に出る。松山から夕方の高速バスで大阪に戻るというもの。とりあえず今回松山までを押さえておけば、次回以降は大阪から直接松山にアクセスできる。

乗ったのは前日卯之町まで利用した7時38分発の特急宇和海6号。今度は「四万十・宇和海フリーきっぷ」を使っての乗車である。往路、高知から窪川までは鈍行で移動したから、特急自由席利用の恩恵を受けるのは初めてである。今回のルートはまさにこのきっぷに沿っており、十分元が取れているし、旅の形としてもまとまったなと思う。

17日の午後から何やかんやで滞在した宇和島に別れを告げて、宇和海とみかん畑の車窓を見る。前日訪ねた卯之町も過ぎて、ここからまた四国一周の新たな区間となる。

この後八幡浜を過ぎる。当初の計画では、伊予大洲に行く前にここでの下車も考えていた。その目的は「吉蔵寺」。前回、37番の岩本寺を訪ねた時の記事でこの寺について触れた。明治~大正のある時期、岩本寺から本尊と札所の権利を買い、「37番」を名乗っていたところである。九州からの巡拝者は航路で八幡浜に上陸して遍路を始める人が多かったこともあり、境内にはそうした人たちの石碑もあるそうだが、現在「奥の院」を名乗るわけでもなく、納経もやっていないそうである。・・というか、四国八十八所の「黒歴史」とも言える形で扱われている。あえてそういうところも回ってもいいかなと思ったが、駅からも離れているし、あえて途中下車して行くほどのところかなという思いのほうが強かった。また、訪ねることもあるだろう。

肱川の鉄橋を渡り、8時25分、伊予大洲に到着。ここから町歩きとなるのでキャリーバッグは預けて・・・と思ったが、ガランとした待合室にはコインロッカーなどない。まあ、四国の駅の事情はこのようなものである。

伊予大洲ではまず町歩きだが、町の中心部は駅から2キロほど離れている。そこは、市内の循環バスである「ぐるりんおおず」というのがある。1乗車100円均一で、次は8時35分発の便がある。これで町並みの中心部、観光案内所のある「あさもや」まで移動する。観光案内所にもコインロッカーはなかったが、カウンターで聞くと無料で荷物を預かってくれるという。キャリーバッグに金剛杖も預け、身軽になった大洲の町歩きとする・・・・。
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