ダムの訪問記

愛車のBMW M3とM6でダムを訪問しています。

温井ダム

2017-05-17 13:56:30 | 広島県
2017年5月8日 温井ダム 

太田川は廿日市市の冠山を水源として広島県西部を蛇行しながら貫流し、広島市で瀬戸内科に注ぐ一級河川で、古くから洪水が多発する暴れ川で広島藩の時代からその治水には手を焼いていました。
明治以降広島には陸軍第5師団、呉には海軍呉鎮台が置かれ広島は軍用都市として発展、太田川下流部の治水は重要視されました。1935年(昭和10年)から内務省の直轄事業として太田川放水路の建設が始まり、戦争による中断をはさんで1965年(昭和40年)に完成、広島市を中心とした太田川下流部の安全度は大きく向上しました。
しかし、中上流部の洪水対策は河川改修にとどまるのみで中国電力の王泊ダム・立岩ダム・樽床ダムのいわゆる『太田川3ダム』も発電目的のため抜本的な洪水対策とはなりませんでした。
一方、広島は原爆投下から奇跡的な復興を遂げ自動車、造船など重工業を中心に大きく発展、人口急増もとどまらず平成に入ると広島市の人口はついに100万人を突破しました。1975年(昭和50年)に完成した土師ダムにより江の川水系から太田川への導水が行われていましたが、その効果もかすむほどの急速な水需要増加を受けて新たな水源確保が求められました。

そこで建設省は『滝山川総合開発事業』を計画し太田川支流の滝山川に多目的ダムの建設を決定、補償交渉に手間取りつつも1991年(平成3年)に着工、2001年(平成13年)に竣工したのが温井ダムです。
当初重力式コンクリートダムで計画されましたが、地質調査の結果アーチダムでの着工となり、温井ダムの堤高156メートルはアーチダムとしては黒部ダムに次ぐ日本第2位、また新潟県の奥三面ダムとともに現状日本で建設された最後のアーチダムとなっています。
温井ダムは太田川の洪水調節、既得取水権としての農業用水への補給と河川流量の維持、広島水道用水供給事業の水源として離島の江田島市、大崎大島町を含む5市5町村への上水道用水の供給を目的とするほか、中国電力温井発電所で最大出力2300キロワットのダム式発電を行っています。

今回は毎年4月から5月にかけて行われる温井ダム水位低下放流に合わせてダムを訪問しました。
右岸の駐車場に車を止めて放流前のダムを見学します。
右岸から。

減勢工。

左岸から。

天端は車両通行可能。

上流面
ダム湖(龍姫湖)はダム湖100選に選ばれています
総貯水容量は8200万立米。
 
クレストにはラジアルゲートが5門
さらにオリフィス、コンジットの予備ゲートが並びます。

左岸管理所前に展示された放流管。

エレベーターが開放され堤体直下も見学できます
利水次郎君。

下流から
堤高日本第2位のアーチは迫力満点
クレストにはラジアルゲート5門
常用洪水吐としてホロージェットバルブ2門 ローラーゲート4門を装備しています。


水位低下放流の様子です
2門のホロージェットバルブから放流されます。

ゲート直上から見ると見事な虹がかかります。


できるならダム下からも放流を見学したかったのですが、15分間の放流ということで今回は虹が見られる天端からのみとなりました。

温井ダムの完成により太田川の治水能力は大きく改善しましたが、万全というわけではありません。
それは太田川本流上流部に治水目的のダムがないからです。
本流には戦前に建設された中国電力の立岩ダムがありますが、発電用ダムのため現在の滝山川の温井ダムだけでは太田川の治水は片肺飛行状態と言わざるを得ません。
本線上流部への新規ダム建設や立岩ダムの改修などの観測気球は上がりますが実現するには大きな時間がかかりそうです。

1991 温井ダム(0997)
日本100ダム
広島県山県郡安芸太田町加計
太田川水系滝山川
FNWP
156メートル
382メートル
国交省中国地方整備局
2001年
『広島県』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 滝本ダム | トップ | 王泊ダム »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。