ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大日川ダム

2022-08-29 10:00:00 | 石川県
2016年11月 5日 大日川ダム
2022年 7月28日
 
大日川ダムは石川県白山市阿手町の手取川水系大日川にある石川県農林水産部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
手取川は石川県最大河川で、流域に広がる広大な扇状地は加賀平野を形成し加賀百万石の礎となりました。
一方で洪水や渇水による干ばつ被害も絶えず安定した水源確保は流域農家の悲願となっていました。
戦後の食糧難を受け1952年(昭和27年)に農林省(現農水省)による国営手取川農業水利事業が着手され、手取川右支流大日川への灌漑、農地防災目的のダム建設が着手されます。
これに発電事業者として石川県企業局が事業参加、1967年(昭和42年)に竣工したのが大日川ダムです。
運用開始後は石川県農林水産部が管理を受託し、大日川の洪水調節、七ヶ用水土地改良区約8000ヘクタールへの新規灌漑用水の供給、利水従属発電として石川県企業局大日川第一発電所(最大9000キロワット)、大日川第二発電所(最大出力1万5200キロワット)でのダム水路式発電を目的としています。
なお両発電所は2010年(平成22年)に北陸電力に移管されました。
総貯水容量2720万立米は北陸地方の農水省施工ダムとしては最大規模を誇ります。
2016年(平成28年)11月の初回訪問時はゲート交換工事のため天端に立ち入りできず、2022年(令和4年)7月に改めて訪問しました。
2016年11月5日と記載された写真以外はすべて今回の訪問によるものです。

白山市鳥越から県道44号小松鳥越鶴来線を大日川沿いに南下すると大日川ダムに到着します。
ダム下への立ち入りはできず、見学は左右両岸および天端となります。
左岸から下流面。
主ゲートはラジアルゲート3門。


超広角で
提体は苔生し、完成から50年以上の年月を醸し出します。


初回訪問時は取水スクリーン交換工事のため水位を下げるために低流量放流管であるハウエルバンガーバブルブから絶賛放流中。
左手は河川維持放流設備。
奥は大日川第一発電所への水圧鉄管。(2016年11月5日)

 
2度目の訪問時は河川維持放流のみ。


上流面。


初回訪問時
スクリーン交換工事のため水位が下げられ、取水設備をじっくり見ることができました。(2016年11月5日)。


左岸管理事務
一階が通路になっています。
静岡県の井川ダム奥野ダムも同様の構造。
右手は艇庫でインクラインのレールが伸びています。


鉄道好きとしては外せない絵です。


天端は県道41号線となっており国道416号線に抜けられるため、たま―に車が通ります。
左手はエレベータ棟、右手が取水設備。
エレベーター棟は鳥をモチーフにした凝ったデザイン。


表面取水設備
1960年代だとこんな大がかりな設備になっちゃうんですね。


ダム下を見下ろします。
手前は大日川第一発電所への水圧鉄管で、利水従属発電のため基本的に灌漑用水への補給はこの鉄管を通じて行われます。


ダム湖は総貯水容量2720万立米。
農水省施工ダムとしては北陸最大。


右岸のホイストクレーン
清掃用の船舶が格納されています。


(追記)
大日川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0913 大日川ダム(0704)
石川県白山市阿手町
手取川水系大日川
FAP
59.9メートル
233メートル
27200千㎥/23900千㎥
石川県農林水産部
1967年
◎治水協定が締結されたダム


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