ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

黒杭ダム

2017-05-12 18:15:51 | 山口県
2017年5月6日 黒杭ダム
 
黒杭ダムは山口県柳井市の柳井川水系黒杭川源流近くにあるアースダムで、柳井市の上水道水源として1939年(昭和14年)に竣工しました。
現在も柳井市上下水道部が管理を行っています。
黒杭川流域に並ぶ5基のダムのうち最上流に位置し、戦中戦後を通じ柳井市の上水道を賄ってきた歴史あるダムですがアースということで注目度が薄いのがちょっとかわいそう。
 
柳井市中心街から県道6号を北上し黒杭集落を抜けると左手に黒杭ダムが現れます。
堤体下流面は草がずいぶん伸びています。
 
天端も草が伸びています。
 
上流面は谷積みされた石で護岸されています。
 
貯水容量は24万6000立米
上水道の水源らしく独立した取水塔があります。
 
柳井市街に何度も洪水被害をもたらした黒杭川もここでは小河川。
 
右岸の洪水吐は大きく湾曲しています。
 
下流側から見るとT字に見えます。
 
取水塔への黄色いトラス橋が黒杭ダムのポイント。
屋代ダムや黒杭川上流ダムの管理道路のガードレールといい、このトラス橋といい山口県では黄色やオレンジ色の警戒色が目立ちます。
 
ここに鉄道を走らせても違和感なし。
 
竣工記念日。
1939年(昭和44年)のものです。
 
2053 黒杭ダム(0978)
山口県柳井市柳井
柳井川水系黒杭川
16.9メートル
65メートル
柳井市
1939年

畑の池

2017-05-12 17:14:13 | 山口県
2017年5月6日 畑の池
 
畑の池は山口県柳井市にある灌漑用溜池で1937年(昭和12年)に山口県の事業で建設されました。ダム便覧では2006年竣工となっていますが、これは大規模な改修を終えた時期だと思うんですが・・・
現在は柳井市土地改良区が管理を行っています。
 
柳井市中心街から県道6号を北上し、黒杭川ダム、黒杭川上流ダムを過ぎ黒杭バス停の先を左手に分岐すると畑の池に真下に出ます。
洪水吐は2006年(平成18年)に改修されたものだと思われます。
 
道路をさらに進むと池の左岸に到着します。
 
 
 
左岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
上流面は草に覆われていますが、よく見ると石が積まれています。
 
総貯水容量27万立米とそこそこ大きな溜池です。
 
天端から。
 
天端には轍が残っています。
たぶん右岸のどこかに取水設備があるんだと思いますが、藪と雲の巣がひどいのでそこまでこだわりませんでした。
 
2045 畑の池(0977)
山口県柳井市柳井
柳井川水系黒杭川
18メートル
63メートル
柳井市土地改良区
1937年

黒杭川ダム

2017-05-12 16:04:15 | 山口県
2017年5月6日 黒杭川ダム 
 
黒杭川ダムは山口県柳井市の柳井川水系黒杭川にある山口県営の治水目的の重力式コンクリートダムです。
柳井川は柳井市を南北に貫流し柳井市中心街で瀬戸内海にそそぐ2級河川ですが、大雨のたびに下流の市街地に洪水被害が頻発していました。
一方高度成長により瀬戸内海沿岸各地に工場が建設され工業用水の水源確保も喫緊の課題となっていました。
これらの諸課題に対処するために県は黒杭川に多目的ダムの建設を決定、1970年(昭和45年)に竣工したのが黒杭川ダムで、運用当初は黒杭川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、工業用水の供給を目的としていました。
しかし、黒杭川ダム完成後も洪水被害は絶えず、県は黒杭川ダムの上流に新たなダムを建設し、2基のダムを一体運用することで万全の治水、利水を図ることにしました。
2011年(平成23年)の黒杭川上流ダム完成に合わせてが黒杭川ダムの工業用水向けの容量を治水容量に振り替えたため、現在の黒杭川ダムの目的は洪水調節と不特定利水となっています。
 
柳井市中心部から県道7号を北上すると左手に黒杭川ダムが見えてきます。
グリーンのラジアルゲートと前面に張り出したコンジットゲートの機械室が特徴的。
 
右岸から俯瞰できます。
 
ちょっとアングルを変えて
総貯水容量155万立米のダム湖は柳北湖と命名されています
右奥にわずかに上流ダムが見えます。
 
漁業権が設定されているのか釣りのボートが2隻浮かんでいます。
 
減勢工
左から河川維持放流が行われています。
 
ちょっと変わった形の放流設備。
 
天端は歩行者のみ通行可能
コンテナみたいなゲート操作室。
 
上流から。
 
ゲートをズームアップ
コンジットの予備ゲートもグリーン。
 
上流ダムから遠望。
屋代ダムでもそうでしたが、山口県の県営ダムの管理道路のガードレールはオレンジ色。
 
追記
黒杭川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2078 黒杭川ダム(0976)
山口県柳井市柳井
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
柳井川水系黒杭川
FN
 
35メートル
172.5メートル
 
山口県土木建築部
1969年
◎治水協定が締結されたダム

黒杭川上流ダム

2017-05-12 15:01:29 | 山口県
2017年5月6日 黒杭川上流ダム 
 
黒杭川上流ダムは山口県柳井市の柳井川水系黒杭川にある山口県営の多目的重力式コンクリートダムです。
柳井川は柳井市を南北に貫流し柳井市中心街で瀬戸内海にそそぐ2級河川ですが、大雨のたびに下流の市街地に洪水被害が頻発していました。
これに対処するために県は1970年(昭和45年)に黒杭川ダムを建設しますが、ダム完成後も洪水被害は絶えず一段の洪水対策が必要となりました。そこで黒杭川ダムの上流に新たなダムを建設し、2基のダムを一体運用することで万全の治水、利水を図ることにしました。
黒杭ダム上流に2011年(平成23年)に建設されたのが黒杭川上流ダムで、黒杭川ダムと連携して黒杭川の洪水調節および安定した河川流量の保持、既得取水権への補給を目的としています。
 
柳井市中心部から県道7号を北上し黒杭川ダムを通過するとすぐに黒杭川上流ダムに到着します。
まずは下流から
クレストは自由越流式の非常用洪水吐が2門、中央に常用洪水吐が1門あります。
あとは利水放流設備があるだけの坊主ダムです。
 
県道から。
 
左岸から。
 
減勢工と副ダム
右岸に利水放流設備があります。
 
天端から下流の黒杭川ダムが遠望できます。
 
ダム湖は鳴滝湖
貯水容量45万立米の小さなダム湖です。
 
堤体は右岸側が屈曲『カド』があります。
 
 
右岸から
選択取水設備は連続サイフォン方式という珍しい形式です。
 
本当は下流の黒杭川ダムから見学するのが順当なんでしょうが、上流ダムのカードも合わせて黒杭川ダム管理所で配布されているので、先にこちらを見学しました。
 
追記
黒杭川上流ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3136 黒杭川上流ダム(0975)
山口県柳井市柳井
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
柳井川水系黒杭川
FN
 
48メートル
253メートル
 
山口県土木建築部
2011年
◎治水協定が締結されたダム

石井ダム

2017-05-12 13:51:10 | 山口県
2017年5月6日 石井ダム
 
石井ダムは山口県柳井市の柳井川右支流石井川にある多目的アースダムで、山口県と柳井市の共同事業により1992年(平成4年)に竣工しました。
現在は柳井市が管理を行っており、柳井市土地改良区への灌漑用水の供給と柳井市上水道の水源として利用されています。
 
ダム下は石井ダムパークとして整備される一方、天端には44枚の柳井いろはかるたとその解説が並んでいます。
また毎年10月には石井ダム祭りが開催されています。
 
柳井市中心部から県道7号を北上し、中馬皿交差点を右折して県道149号に入ると正面に石井ダムが見えてきます。
堤体に書かれた『石井ダムパーク』がよく目立ちます。
 
古い町並みが残る柳井の白壁となまこ壁をモチーフにした竣工記念モニュメント。
 
左岸の洪水吐
 
洪水吐導流部。
 
ダム湖は特に名前はないようです
貯水容量は116万立米 立派な取水塔があります。
 
天端は遊歩道になっていて柳井市の観光名所や行事を記した44枚の陶板のかるたが並んでいます。
 
黒杭ダムのかるたがありました。
 
上流面はロックで補強。
 
ダム下は石井ダムパークですが、この時期は草が伸びお世辞にも市民の憩いの場所とは言い難い状況です。
毎年10月にここでダム祭りが開催されるようです。
 
下流から洪水吐減勢工。
 
追記
石井ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2097 石井ダム(0974)
山口県柳井市柳井
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
柳井川水系石井川
AW
36.3メートル
176.3メートル
 
柳井市
1992年
◎治水協定が締結されたダム

屋代ダム

2017-05-12 12:22:42 | 山口県
2017年5月6日 屋代ダム
 
屋代ダムは山口県大島郡周防大島町にある山口県営の治水目的のロックフィルダムです。
周防大島最高峰の嘉納山に源を発し島の中心街を北西に貫流する屋代川は流路6.5キロで標高差650メートルを下る急流河川で、豪雨のたびに大きな洪水被害をもたらしてきました。
一方で周防大島は瀬戸内海気候に属し、年間を通して降水量が少なく灌漑用水の確保が大きな課題でした。
そこで山口県によって県内初のロックフィルダムとして着工され、1990年(平成2年)に竣工したのが屋代ダムです。
屋代ダムは屋代川の洪水調節および安定した河川流量の維持と既得取水権への補給を目的としています。
 
島のダムとしては珍しく本格的なロックフィルダムとなっており、ダム周辺は公園として整備され住民の憩いの場となっているほか周防大島の観光スポットの一つにもなっています。
 
大島大橋で周防大島にわたり県道4号を南下、屋代ダムの標識に従って島の中心街を抜けると屋代ダムに到着します。
褐色のガードレールがロックフィルに似合います。
 
ダムの下流は公園になっており、芝生の滑り台もあります。
滑ってみたかったのですが、あいにく朝までの雨で芝生が濡れておりあきらめました。
 
堤頂長371.7メートルの立派なロックフィルダムです
堤体が中央でブーメランのように折れているのが特徴。
 
高覧の装飾
これは雉でしょうか?そういえばダムの見学中あちこちで雉の『ケーーーン』が聞こえました。
 
天端からは瀬戸内海が見えますがあいにくの黄砂で・・・。
 
ダム湖(屋代湖)
貯水容量155万立米。
 
左岸の取水設備とインクライン。
 
左岸からダムの下流面
中央で屈曲しているのが分かります。それにしてもよく整備されたきれいなダムです。
 
左岸の洪水吐。
 
縦にスリットが入った常用、非常用一体型の洪水吐。
 
非常によく整備され、穏やかな日にお弁当持参で過ごしたいダムです。
でも訪れた5月6日は午前10時で気温26度、湿度90%でおまけに黄砂・・・
芝生の滑り台滑りたかったなあ・・・。
ダムカードは島内の日本ハワイ移民資料館でもらえます。 
 
2092 屋代ダム(0973)
山口県大島郡周防大島町東屋代
屋代川水系屋代川
FN
 
46.5メートル
371.7メートル
山口県
1990年

芦田川河口堰

2017-05-12 10:40:19 | 広島県
2017年5月6日 芦田川河口堰
 
芦田川河口堰は広島県福山市の芦田川河口から1.3キロ地点にある多目的可動堰です。
1961年(昭和36年)に日本鋼管(現JFE)が福山に高炉建設を決定したことをきっかけに福山は重化学工業都市へと変貌、工業用水及び都市用水の需要は急速に増大しました。芦田川上流では三川ダムの再開発、八田原ダムの建設などが行われる一方下流部での用水確保の必要性も高まりました。
そこで芦田川河口周辺での塩害防止目的も合わせて建設省中国地方建設局により1981年(昭和56年)に建設されたのが芦田川河口堰です。
現在は国交省中国地方整備局が管理を行い、芦田川の治水(主として塩害防止)および工業用水の供給を目的としています。
芦田川河口堰の堤高は6メートルで河川法上のダムの要件である15メートルに及びませんが、特定多目的ダム法に基づき特定多目的ダムとして建設されたため、法律上もダムとして分類されダム便覧にも正式に掲載されています。 
河口堰建設に合わせて周辺の整備も行われ芦田川右岸には竹ヶ端総合運動公園と水上スポーツセンターが建設される一方、堰の上流は国際大会認定の漕艇コースとなっており中国地方の漕艇競技のメッカとなっています。
 
左岸上流から
主ゲートは10門のローラーゲートで構成されています。
 
下流から。
 
天端は芦田川河口大橋になっています。
 
左岸に魚道があります。
こちらは上流側。
 
下流側
なじみのある階段式魚道ではないのでちょっと違和感があります。
 
ゲートをズームアップ。
 
河口から1.3キロ 文字通りの河口堰です。
 
手前が取水塔
奥は漕艇競技用の艇庫。
 
芦田川河口周辺部の水質は中国地方では常にワースト上位となっています。
そして河口堰では魚道以外は止水された状態のため河口周辺での汽水は起こらずこれが水質悪化の要因であることは否めません。
建設当時の目的の一つであった塩害防止については都市化の進展に伴い河口周辺での農業がほぼ皆無となったことからその必要性について議論が高まっています。
ゲートを開けるか?否か?についてはダム愛好家としても注目したいところです。
 
1985 芦田川河口堰(0972)
広島県福山市簑島町
芦田川水系芦田川
FI
MB
6メートル
450メートル
国交省中国地方整備局
1981年