おれは土門拳になる タイトル
 



さて、この度 東京大学出版会から「神の宮」写真作品集の特装版が出版されることとなった。
これは、今年5月に開催された伊勢志摩サミット記念として作成されたものだ。写真集とはいえ、和紙にプリントされた123点の作品が納められ、特製の額も付いている。また作品だけでなく、塗りの外箱、それ結ぶ紐、包む風呂敷、運搬用のアルミケースに至るまで、日本の伝統技術の粋が注ぎ込まれた芸術品といえる。
なぜ、こんな豪華版の写真作品集を作成することになったのか。当初、「神の宮」の作品を伊勢志摩サミットの参加国元首のおみやげにして頂こうと企画していた。「神の宮」は日本古来の重要な精神文化である“遷宮”を撮影したものだ。そして遷宮に込められた感謝と祈り、繰り返し行われるシステムこそが、1300年以上も世代を渡り継承されて来た公共幸福文化であり、国連が提唱する、持続可能な開発の為の目標にも通じるものだ。そこで、このことを世界に伝えようと、神の宮の全作品を収録した玉手箱を作成することになったのだ。



特装版の完成品を見た時、クオリティの高さに感動した。これこそ日本が誇る、文化が詰まった玉手箱だ。残念ながら、いろいろ問題があり、サミット当日に本体を渡すことは出来なかったが、「神の宮」の作品は、三重県知事からの記念品として参加各国の元首の手に渡った。また、特装版のプロトタイプは昨年、安倍首相に渡している。首相は非常に感動され、これを沢山の人に見て貰いたいと言われたそうだ。僕もそのつもりである。「神の宮」は僕個人の写真集ではなく、生命の永続を願う古来の人々の祈り、万物と共生共存する叡智を伝える媒介なのだ。そこに、今を生きる人々の思いが重なった特装版は、まさに世界の未来を開く玉手箱といえる。それを世界中に届ける為に、僕は今後も各地で巡回展を開く。

末筆ながら、「神の宮」の主旨に賛同し、利益を度外視して制作に携わってくださった皆様に、改めてこの場を借りてお礼申し上げたい。
見事な塗りの外箱を作成して下さった有限会社みさき創屋 代表取締役 三崎憲雄様と越前漆器株式会社 専務取締役 森下桂樹様、渾身のアルミケースを作成してくださったヒロセ工業株式会社 代表取締役 廣瀬正貴様と株式会社伊藤ケース製作所 代表取締役社長 伊藤嘉規様、昔ながらの手作りで風呂敷を仕上げてくださった田勇機業株式会社 代表取締役 田茂井勇人様、そして全ての手配をしてくださった浮田産業株式会社 代表取締役 浮田昌宏様にも深く感謝申し上げる。

特装版には、一昨年の7月に天皇皇后両陛下に献上した作品4点も含まれている。その作品は献上してすぐ御所に掛けられ、日々ご覧頂いているとのことだ。光栄至極である。


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開催期間:2016年9月17日〜11月28日
開催場所:宗像大社 神宝館
     福岡県宗像市田島2331
     http://www.munakata-taisha.or.jp



9月17日、福岡県宗像市に鎮まる宗像大社の神宝館にて「宗像・沖ノ島 大国宝展」が始まり、開会式に呼ばれたので出席した。生涯3度目のテープカットだ。国宝とともに僕の写真(作品)も展示されている。館内のエントランスには3メートルの作品が5点並んで展示されていて、なかなかの迫力である。当日は主催者の宗像大社の葦津宮司とRKB毎日放送の井上社長、賓客として福岡県知事を始め、宗像市長や福津副市長等々錚々たる方々が集まった。



本展は、RKB毎日放送創立65周年記念事業であり、宗像・沖ノ島と関連遺産群が来年のユネスコ世界遺産登録候補に決定した記念でもある。僕は今年の2月から月1〜2回の割合で撮影の為に宗像を訪れた。神職以外は極限られた人しか入れないという沖ノ島にも渡って撮影した。沖ノ島では古代の祭祀遺跡が良好な状態でいくつも残されており、社もなく岩上や岩陰を利用した素朴なお祀りの有り様に日本古来の精神性を強く感じた。島では今でも掘れば当時の奉献品が至る所から出土されるそうだ。今迄に発掘された神宝はなんと8万点にも及び、その全てが国宝に指定されている。但し、島にあるものは草一本、葉一枚、石ころ一つでも持ち出し禁止である。沖ノ島に渡るのは無理だが、宗像大社の辺津宮や大島の中津宮には機会があれば是非訪れて頂きたい。特に大島は僕のお気に入りである。魚も美味しく人柄もフレンドリーだ。



本展に合わせて「起源」という写真集も出版された。機会があれば手に取って頂きたい。

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暦のうえでは秋とはいえ、関西は猛暑日が続いている。そんな中、僕は京都を訪れた。日本を代表する書道家の一人、杭迫柏樹先生を撮影するためだ。
京都の夏は特に暑い。今日もうだるような暑さだ。京都駅で待ち合せをし、そのまま先生のご自宅に向かった。

先生との出会いは3年前。ある方の依頼で先生の代表作である「霊機」を頂きたいとお願いに伺った時だ。初対面だし、書道家の大御所というと相当気難しいのではないかと緊張していたのだが、実際は正反対であった。とても気さくで穏やかな方だ。一流と呼ばれる人は皆頭が低い。先生はその典型だ。反して、書に対する思いはとても熱い。僕はそのギャップが凄く好きだ。
実は、「神の宮」も先生に書いて頂いた。この書のためにわざわざ出雲大社にお参りしインスピレーションを得られたそうだ。個展や写真集等でも使わせて頂いている。今や先生の書なくして「神の宮」はあり得ない。それほしっくりと嵌まっている。



先生は9月7日から、ご自身の集大成とも言える大きな個展を開催される。日頃何かとご無理をお願いしているので、お詫びと感謝の気持ちで、その個展用に撮影させて頂いたのだ。下記にご案内するのでご興味のある方は是非ご覧頂きたい。

「書 杭迫柏樹の世界 展」
開催日時:平成28年9月7日(水)〜11日(日)
     11:00〜17:00(最終日は16:00迄)
開催場所:京都文化博物館 5階・6階
     http://www.bunpaku.or.jp
*入場無料


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去る5月10日 ワールド通商株式会社の齋藤洋介会長がお亡くなりになった。訃報が届いたのはその日の夜。iPhoneに写し出された哀しい文字を見ながら、溢れる思いがこみ上げて来た。

2011年から3年間、僕はフランク・ミュラーの日本輸入総代理店であるワールド通商から支援を受けていた。契約期間が過ぎてからも、齋藤会長は何かと気にかけてくださり、親しくお付き合いさせて頂いた。会長室にも度々お邪魔し、大好きな時計のことをいろいろ教えて頂いた。その一時が本当に楽しかった。
そんな会長が深刻な病と知ったのは去年のことだった。かねてより、伊勢神宮と出雲大社への参拝をお誘いしていたのだが、ご体調が優れないとのことで延ばし延ばしになっていた。元気になったら必ず一緒にお参りしましょう、と約束をし、ご回復されるのをずっと待っていたのだ。今年に入ってからは、一層症状が重くなり、誰からのお見舞いもお断りになっていた。僕は、一目でもお会いしたいと思い、スタッフの方に無理をお願いし、特別にお時間を頂いた。僕は不覚にも足を骨折し松葉杖のお世話になっていたのだが、急遽大阪から東京に飛んだ。病の床でも会長は、変わらぬ優しい笑顔で僕を迎えてくださった。
それがお会いした最後となった。



お見舞いの後、病室に飾るお花の写真を額装し、いくつか送ることにした。病室で花見が出来るようにと桜の写真も数枚送った。それが写真家としての僕が出来る精一杯のことだった。会長は、花々の写真を大層喜ばれ、中でも「ひまわりが好きだ」と言われたそうだ。
7月5日に帝国ホテルで開かれた「齋藤洋介の功績を振り返る会」では、会長のご遺影の周りはひまわりの花で埋め尽くされていた。
会長には感謝の言葉以外は思い浮かばない。お世話になるばかりで何もご恩返しが出来なかった。せめて、伊勢神宮と出雲大社をご案内したかった。それが今も心残りだ。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

僕はこれからもフランク・ミュラーを身につけ、ライカで撮影に臨む。たとえ嫌みな奴と思われても・・・

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オフィスからのお知らせです。

NHKが18カ国に向けて放送しているNHK WORLDで増浦の現代の活動やフランス時代のエピソードが紹介され、スペインのリスナーから大変感動したとのメッセージが寄せられるなど、たいへん好評だったそうです。



7月17日のフランス語放送の番組は下記のアドレスより聞く事ができます。
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/fr/radio/listener/


6月30日に放送された英語バージョンはこちらから
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/radio/focus/201606240559/

フランス語や英語が分かる方は、ぜひ聞いてみて下さい。
残念な事にフランス語と英語での放送で、日本語の放送はありませんでした。

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