【幽遊白書】飛影の物語を追う[目的を果たす]

前回からの続き


　躯からの誘い



魔界の穴騒動からしばらくして、飛影のもとに躯（むくろ）という妖怪の使い魔が現れる。
飛影は躯の部下に誘われたのだった。

魔界を三つに割って対立する、三人のS級妖怪。
躯は、そのうちの一人である。
三人の妖怪のうち、雷禅（らいぜん）という妖怪が現在死の淵にあるため、
雷禅が亡くなり次第、もう一人の妖怪・黄泉（よみ）に総攻撃をかけるために
戦士を募っているのだった。



飛影は躯の誘いに乗ることにしたが、それは手っ取り早く妖力を上げるために
躯を利用しようという魂胆からだった。
が、蔵馬は躯を軽くみている飛影に不吉を感じる。
「生まれてなかったから知らないんだよ飛影　躯の恐ろしさを」
とは、飛影が生まれるより千年以上も前の時代を生きてきた蔵馬ならではの言葉だろう。

ちょうど、蔵馬には黄泉の、幽助には雷禅の使者から誘いがあったところであった。
飛影、蔵馬、幽助の三人は、魔界を三つに分けた戦いに身を投じることになったのだった。


　雪菜の氷泪石

飛影念願の魔界への道は、なんと霊界特防隊の案内であっさりと開かれた。
どうやら霊界は、三人を体よく魔界へ厄介払いしたようである。



戦いたいがために魔界へ身を投じる三人を、桑原が激しく叱責する。
ただ戦えれば立ち位置はどうだってよいというのでは、ポリシーが無い分
戸愚呂や仙水よりタチが悪いのではないか、と。
飛影、自分でももっともだと思う。



特防隊が魔界への穴を開けているあいだ、飛影は雪菜から氷泪石を手渡される。
「どうしてこいつをオレによこすんだ？」
という飛影の問いに、雪菜は魔界にいるはずの兄に渡してほしい、と答える。
兄は、あなたと近い種族の人だと思うんです、と。

心まで凍てつかせないと永らえない氷河の国など、いっそ滅んでしまえばいいと思う、
とまで口にした雪菜。



飛影は、そんな雪菜に「甘ったれるな、滅ぼしたいなら自分でやれ。兄に頼るな」と
厳しい言葉を投げる。



雪菜は、そんな飛影に兄の面影を感じずにはいられない。
雪菜の氷泪石を握りしめ、飛影は魔界へと帰る。


　飛影の氷泪石



躯のもとへ来た飛影は思わぬ人物と対面を果たす。
魔界整体師・時雨。
飛影に邪眼の手術を施した妖怪であり、剣の師でもある。
時雨を倒すことで、躯の筆頭戦士への道が開かれるのだ。

時雨は、「ワシを倒せたら手術代は返してやるぞ」と言うが
飛影は、はじめから名乗るつもりはない、と断る。

両者は躯の前で対峙。飛影はあえて炎の妖気を使わず、剣のみの勝負に臨んだ。



勝負の結果は相討ち。
相討ちという結果に、「悪くない」と思えた自分に驚く飛影。



健闘した飛影に、褒美として氷泪石をさしだす躯。
それは、幼い日に失った飛影の氷泪石であった！
人生の大半をかけて探した石が今、飛影のもとに戻ってきたのであった。



躯は、その氷泪石に救われたのだという。
氷泪石を手にする前の躯は憎悪の塊であった。
飛影の氷泪石に自身の憎しみを全て吸い取ってくれるような力を感じた。

躯は瀕死の飛影に「生きろ」と告げる。
このとき、飛影と躯はお互いの過去の記憶を共有した。

これより半年後、雷禅の死が魔界全土に知れ渡る。
そのとき飛影は、躯の筆頭戦士の地位を固めていた。


　魔界統一トーナメント



雷禅の死により、暗雲が立ち込めていた魔界であったが、
雷禅のもとにいた幽助の一大提案により、情勢が一気に変わった。

幽助は、五百年続いてきた魔界の三国大戦を、ただのケンカにしようと提案したのである。
全員一度、ただの一個人の妖怪に戻り、ガチンコのバトルで大統領なり王様なりを
決めようというトンデモな提案であった。



そして、この提案に躯が乗ったのである。
こうなってしまうと、黄泉はこの提案を飲むしかなかった。
飛影は躯のノリの良さを気に入り、自分も幽助の提案に乗っかることにした。

魔界はにわかに活気づいた！

自分も魔界の王になれるかもしれない、そう考える妖怪が大勢出てきた。
しかも、そのなかには黄泉や躯よりも強力な妖怪がいるかもしれなかった。



そして、幽助の提案は魔界全土に受け入れられ、魔界統一トーナメントが開催された。
トーナメントには、黄泉についていた蔵馬の姿も、蔵馬により鍛えられた暗黒武術会での
強豪選手たちの姿もあった。



が、優勝したのは大方の予想を裏切って、煙鬼（えんき）というまったく無名の妖怪であった。
飛影は三回戦で躯と当たり、敗退した。
その躯も、準々決勝において敗れた。
躯を破った煙鬼が、そのままトーナメントに優勝したのだった。

優勝した煙鬼は、魔界に三年間チャンピオンとして君臨することを宣言。
魔界は、新しい一歩を踏み出そうとしていた。


　その後の飛影、雪菜



魔界の大統領となった煙鬼の方針で、人間に極力迷惑をかけないような魔界にしよう、
ということになった。
飛影は魔界のパトロール隊に選ばれ、魔界に迷い込んだ人間を無事に人間界へ帰すという
活動をしつつも、戦いのない世界に退屈していた。



雪菜は、魔族に対する理解が異様に深い桑原家でホームステイすることになっていた。
が、氷女は異種族と交わると死んでしまうため、残念ながら桑原とは結ばれることはない。



そんなある日、飛影は躯の真の力を見てみたくなり、挑発してみる。
以前に過去の記憶を共有していたので、躯の心の闇を知っている。



その挑発の効果は絶大。
飛影はキツイ一撃を身体にもらってしまう。
この傷を見た、蔵馬は飛影に一言。
「痴話ゲンカですか？」



その蔵馬にもらった特殊な植物で悪趣味な花束を作り、躯にプレゼントする飛影。



飛影なりのグロテスクなハッピー・バースデイ。
なんかお似合いな二人であった。


　霊界、審判の門占拠事件



魔界と霊界の関係が良好となってほどなく、霊界の審判の門が占拠される事件が起こる。
武装教団「正聖神党（せいせいしんとう）」の宗教テロであった。
彼らは人間界の浄化を自らの使命と信じ、人間界に対し異次元砲を発射しようとしていた。

この事件を解決するため、人間界で幽助、蔵馬、桑原が立ち上がる。
そして、大統領の煙鬼の権限で飛影の派遣も決定した。



ひさびさにこの四人でパーティを組むことになる。
飛影、次の大会で必ず優勝することを胸に秘める。



そして、異次元砲の解除ボタンを押す幽助。
間違ったボタンを押せば、人間界か自分が死ぬ状況のなか、
幽助の押したボタンは正しいボタンであった。



【幽遊白書】の物語での飛影の活躍はこれにて終わる。
妹をみつけること、なくした氷泪石をみつけること、という当初の目的は達成された。
が、彼のなかには新たな目的が生まれていた。
すなわち、「次の魔界統一トーナメントで優勝すること」である。
彼の物語はまだまだ続く。


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