And This Is Not Elf Land

BroadwayのJERSEY BOYSは1月15日をもって終了しました。
Londonは3月26日までです。

ステージからスクリーンへ(1)

2014-09-12 | JERSEY BOYS(映画)



映画「ジャージー・ボーイズ」

舞台の映画翻案の評価で、よくマイナス・ポイントとして指摘されるのは「舞台とまったく同じ」「映画としての工夫がない」という点です。私個人的には、この「ジャージー・ボーイズ」は「映画としての工夫」という点では、かなり高く評価したいと思っています。最近のミュージカルの映画化の中でも、この点では、かなり上位に来るかも知れないのではないでしょうか。もっとも、この映画の場合は、元の舞台とは「かなり別物」にしてはいるのですが…

それに、先の記事でも述べていますが…台詞の80パーセントは舞台と同じだし、「俳優が第4の壁を越えて観客に語りかける」なんてこともスクリーン上で堂々とやっていますが、一方では「いかにも舞台」な、様式重視で、ちょっと大げさに見える部分は、すべてスクリーンにしっくり馴染むように作り変えられていました。

ここでは、「上手いな~」と感心してしまった部分をいくつか挙げたいと思います。(ネタばれしていますので、ご注意ください)

まずは、フランキーの歌に感動して泣くジップ・デカルロ。舞台では、大げさにオイオイ泣いて、会場の爆笑を誘うコミカルなシーンの一つなのですが、映画では声を殺して嗚咽するシーンとなっています。ジップの顔がスクリーンいっぱいに映し出されますが、涙を必死にこらえる表情が十分におかしくて、向こうの映画館では笑いが起きました。とにかく、この役のクリストファー・ウォーケンは上手いです。役者的には「わざとらしい大泣き」のほうが容易いのではないかと思うのですが。

また、後半でジップの家でトミーの借金の総額を訊くシーン。あまりの金額に、舞台では、ニックが頭をテーブルにドスンとぶつけてショックの大きさを表します。ここも大爆笑を誘うシーンなのですが、映画では、ここではニックは映しません。あまりの金額に、一瞬顔が引きつるジップの表情が映されます。ウォーケンが上手いのは言うまでもありません、素晴らしい。

4人がオハイオで拘束されるシーンも、舞台では、独特の照明のもと、4人並んで、情けない表情で便器に腰かけるインパクトのあるシーンなのですが、映画では「便器」は登場せず、代わりに「檻」になってますね(笑)怒り心頭なボブに、トミーが「こんなことぐらいで、おじけずくんじゃねぇ!」と言うのに対し、舞台では「どこが『こんなことぐらい』なんだ!?僕たちは便器に腰かけてんだぞ!」と怒るんですが、映画では便器には腰かけていない分、別の面白いシチュエーションに文句を言うシーンになっています。スクリーンで、「4人並んで」は、やはり不似合い。ここも良くできています。

あとは、舞台でもコミック・リリーフの役割を担っているボブ・クルーですが(お亡くなりになったのですね。お悔やみ申し上げます)映画では、やはり映画に相応しい、ちょっと抑え目で軽妙なタッチの演技になっています。でも、日本のお客さんも大いに笑わせられるはずです。舞台では、登場するたびに「今度は何をやって笑わせてくれるんだろう!」と客席が心の準備をして待っているようになりますが、映画では、あそこまで極端な演技をする必要はないでしょう…

ボブ・ゴーディオに一目ぼれしたウェイトレス(イーストウッドの娘さんですよね)が「今の曲って、特定の女性に作ったの?」と尋ねると、ボブが知的な雰囲気を漂わせて「いや、あれはTSエリオットの客観的相関物なんだよ」と言うシーンは、舞台では、ウェイトレスの「きょとん!」とした表情が笑いを誘いますが、映画では「きょとん」が1秒ぐらいしかなくて(?)ちょっと笑いそびれた感じでした。確かに、映画では、舞台のように、観客から反応を引き出してから次へ移る、という必要はありません。ここは「流れ」を優先するのが「正解」なんでしょうね…なるほど!同じことはクルーとアシスタントの男性とのやり取りにも言えます。


とにかく、こういう面白さを感じるのは、何よりも私自身が「とてつもない回数」の舞台を見ているからかも知れないんですが(笑)それでも、世の人がイーストウッド監督を高く評価するのは、こういうところなのかな…と感じ入ったのでありました。

(続)
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