「ワールド・トレード・センター」 (2006年・アメリカ)
監督:オリバー・ストーン
出演:ニコラス・ケイジ/マイケル・ペーニャ/マギー・ギレンホール/マリア・ベロ
あの日を題材にした映画がどうしても気になって試写会へ足を運んだものの、やはり一本の映画として見ると、やや期待はずれに思える点もあった。そもそも9.11に材を取った映画に、通常の映画的快楽を求めること自体がまちがいなのかもしれない。あの時、あの場所で起きた救出劇を、悲劇に巻き込まれた人々の忍耐と希望を通して描くことによって、制作者はこれをささやかな追悼としたかったのかもしれない。
9月11日、港湾警察の警察官たちはワールド・トレード・センター北棟に航空機が激突、多数の負傷者が出ているとの連絡を受けて救助チームを結成。情報が錯綜するなか現場に到着した彼らは、二つのビルをつなぐ地階通路から酸素ボンベを持って救助へ向かう。しかし、ほどなくビルが倒壊、警官たちは瓦礫の下敷きとなり、二人だけが辛うじて生き残る。映画の大部分は、この瓦礫の下に閉じ込められた二人の警官と、その家族の苦悩を中心に描かれる。
『ユナイテッド93』が回収されたブラックボックスの会話をもとにドキュメンタリータッチで描かれていたのに対して、この作品は同じ実話をもとにしながらも、むしろ極限状況に置かれた主人公やその家族の心に焦点を当てている。家族愛や友情、勇気、希望といった、だれもが尊ぶべきテーマがわかりやすく表出する仕組みになっている。それがすばらしい、と感じる人もいるかもしれない。ただ私には、その点がやや期待はずれに感じられた。マイケル・ムーアが『華氏911』の中で展開した「主張」や「検証」は、この作品のどこにも読み取れないように思える(ただ一点の例外は、元海兵隊員が「神の意思」を感じて仕事を休み、軍服に着替えて瓦礫の中で生存者を探し出したエピソード。穿ってみればアメリカの「力」を華々しく肯定しているようにも取れた。もっともこれも実話だったかどうかは知らないが・・・)。
冒頭の、ビルが倒壊するまでの展開はリアルですばらしかった。しかし、二人の警官が瓦礫の中に埋もれて、絶望と闘いながら生きようとするシーンに関しては、こちらもそれなりの忍耐を持って見る必要があるかもしれない。
満足度:
★★★★★★☆☆☆☆