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劇場映画やDVDの感傷的シネマ・レビュー

   

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お久しぶりです

十数カ月ぶりにログインしました。
2009年の夏に何のお知らせもなく休止状態に入りましたが、本人はいたって元気です。
今となってはなぜ突然書かなくなってしまったのか、その理由さえ思い出せません。
おそらくレビューと称して駄文を綴るのが嫌になってしまったから、かもしれません。
もし、このブログはいったいどうしてしまったのかとお心に掛けてくださった方がおいででしたら、
ご挨拶もせずにほんとうにすみませんでした。
TBやコメントへのお返しもできずにごめんなさい。

投稿をやめてからも、もちろん映画観賞は続けています。
とびきり面白くてレビューを書きたくなった作品もいくつかありましたが、
まぁ、休止中だからいいか…と言いわけをしていました。
記事を書くのに使っていたエネルギーを、別のことに使いたいという思いもありました。
たぶん、それが理由かもしれません。

去年は長らく行っていなかった海外へ出かけました。
下手くそな小説も書いてみました。
いま最も気になって調べているのは、全国の養鶏所や野鳥の間で蔓延している
鳥インフルエンザ(H5N1)のことです。

今はまだ《別のこと》に気持ちが向いているので、映画のレビューは当分書かないと思います。
このブログのカテゴリーを増やして、書きたいことを何でも書こうかなと思ったこともありますが、
せっかく映画に特化したサイトだったので、このままにしておこうかと思います。
いつか突然再開することもあるかもしれませんので。

その日にまたお会いできればうれしいです。


――masktopia――

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DVD寸評◆ファニーゲーム

  
 
  「ファニーゲーム」 (1997年・オーストリア)
   FUNNY GAMES

最後までなんとか観られた初めてのハネケ作品。製作は1997年(日本での初公開は同監督の「ピアニスト」がカンヌ映画祭でグランプリを受賞した2001年)。本作は2007年にナオミ・ワッツを主演に据え、監督自身の手によって「ファニーゲームU.S.A.」としてリメイクされている。噂に違わず、最後まで極度の緊張を強いられる作品だった。中盤、張りつめた空気がゆるむかにみえた数分間も、不気味な凪のような不安感にとらわれる。そして当然のように繰り返される悪夢の時間――。物語は、別荘へ向かう一台の車の空撮から始まる。湖畔のバカンスを楽しみに車を走らせるゲオルグ(ウルリッヒ・ミューエ)と妻アナ(スザンヌ・ロタール)、息子のショルシ。クラシックの楽曲が流れる車内で談笑する一家と、窓外の美しい避暑地の風景。しかし画面には突然、激しいパンク・ミュージックとともに、赤字のタイトルがかぶさってくる。陰惨な暴力を予感させるオープニングだ。

ここ十数年来、理不尽な犯罪に巻き込まれる恐怖はもはや虚構ではなくなった。私たちは報道を通じてゆえなき暴力犯罪を見聞きするたび、安穏な日常がいつ崩れ去るかもしれない不安に身震いする。90年代に撮られたこの映画は、善意から別荘に招き入れたふたりの青年が一家を恐怖で支配し、命を弄ぶ“ゲーム”に興じるさまをスクリーンに描き出す。こちらが感じる緊張感と不快感は、その場に居合わせたように生々しくリアルだ。それを煽るかのように、ハネケ監督は不敵にも終盤でふたりの青年にこう言わせている――「虚構は現実なんだろ?」「虚構は今みてる映画」「虚構は現実と同じくらい現実なんだぜ」――なるほど。たしかに虚実の壁が溶解したような錯覚をおぼえる映像体験だった。そうなると、あのリモコンによる巻き戻しや観客へのウインクは、「これは虚構だ」という単なる気休めのサインだったのか。露骨な暴力描写はほとんどないといっていいが、心理的サディズムに嫌悪感をおぼえる向きにはあまりお勧めしない。こちらも当分のあいだは、リメイク版をみる気は正直起きそうもない。

満足度:★★★★★★☆☆☆☆


<作品情報>
   監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
   製作:ファイト・ハイドュシュカ
   撮影:ユルゲン・ユルゲス
   出演:スザンヌ・ロタール/ウルリッヒ・ミューエ/アルノ・フリッシュ/フランク・ギーリング
         

<参考URL>
   ■関連商品  「ファニーゲーム」(DVD)
            「ファニーゲームU.S.A.」(DVD)
 
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DVD寸評◆アンダーワールド ビギンズ

  
 
  「アンダーワールド ビギンズ」 (2009年・アメリカ)
   UNDERWORLD: RISE OF THE LYCANS

2003年公開の「アンダーワールド」、2006年の「アンダーワールド:エボリューション」を締めくくる第三作。ホラー映画でおなじみのヴァンパイアと狼男(ライカン)を主題にしながら、「マトリックス」並みのスタイリッシュな映像で、二つの種族の数世紀に及ぶ因縁と抗争を壮大なクロニクルとして描く本シリーズ。今回は二作目までを手がけたレン・ワイズマン監督が製作側にまわり、前作で美術監督を務めたパトリック・タトポロスがメガホンを握っているが、登場人物、世界観、映像面のいずれをとっても違和感なく仕上がっている。アンダーワールド・シリーズの魅力は、伝説の種族が地上に誕生したいきさつと、種族どうしの抗争の歴史を独自の視点から描きながら、その底に異種族間の愛と親子の確執のドラマを根づかせている点。ゴシックホラー/アクションを装いながら、シリーズを通して描かれる支配する側(ヴァンパイア)とされる側(ライカン)のはざまに垣間見える権謀術数も見ものだ。

三作目の本作は、変身可能な狼族ライカンの誕生と、両種族の歴史的確執の原点となった事件を描いている。はじめてのライカンとなったルシアン(マイケル・シーン)とヴァンパイア一族の長老ビクター(ビル・ナイ)の娘ソーニャ(ローナ・ミトラ)との悲恋は、さながらゴシック調ロミオとジュリエット。しかし大きく異なるのは、引き離されたふたりの悲劇が血生臭い抗争の発端になる点。あまりにも現代的な銃撃戦で圧倒された一作目と、クリーチャーの造形に違和感をおぼえた二作目とは異なり、掘り下げられた人物像と確執のドラマが、中世ゴシック調の青い闇にマッチして、見ごたえのある伝説世界を構築している。前作までのヒロイン、セリーン(ケイト・ベッキンセール)の出番はないが、英国の俳優陣、マイケル・シーンやビル・ナイの妙演はひときわ印象に残った。


満足度:★★★★★★★☆☆☆


<作品情報>
   監督:パトリック・タトポロス
   製作:トム・ソーゼンバーグ/ゲイリー・ルチェッシ/レン・ワイズマンほか
   製作総指揮:スキップ・ウィリアムソン/ヘンリー・ウィンタースターンほか
   キャラクター創造:ケヴィン・グレイヴォー/レン・ワイズマン/ダニー・マクブライド
   原案:レン・ワイズマン/ロバート・オー/ダニー・マクブライド
   脚本:ダニー・マクブライド/ダーク・ブラックマン/ハワード・マケイン
   撮影:ロス・エメリー
   音楽:アンジェロ・バダラメンティ
   出演:マイケル・シーン/ビル・ナイ/ローナ・ミトラ
       スティーブン・マッキントッシュ/ケヴィン・グレイヴォー

         

<参考URL>
   ■公式サイト 「アンダーワールド ビギンズ」
   ■関連商品  「アンダーワールド ビギンズ コレクターズ エディション」(DVD)
   
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日食観察レポート◆皆既日食 in 屋久島

「今世紀最大の天体ショー」という言葉に誘われて、皆既日食を見に屋久島へ。結果はご存知のとおり、用意した日食グラスも役立たずの雨模様。黒い太陽は拝めませんでしたが、月の影の中に身を置くという貴重な体験をすることができました。以下は屋久島での皆既日食のレポートです。

   ◆◇◆

鹿児島港から屋久島へ渡ったのは前日の7月21日。文句なしの快晴だったのがなんとも皮肉。翌22日は梅雨前線が南下した影響で朝から断続的に雨が降ったり止んだり。10時ごろにはかろうじて上部の欠けた太陽が薄い雲の向こうに見えたものの、その後は空全体が雲に覆われてしまいました。観測場所に選んだのは、宮之浦の宿泊先のホテル入口付近にある高台。ウィルソン株のレプリカのある小さな空き地で、周囲を低い藪に囲まれていて、置き石に乗るとフェリーターミナルが見える好位置です。

    

屋久島の玄関口、宮之浦港は撮影場所の高台から見ると、南というよりかなり東方向の位置だったので、食が進んでもなかなか暗くなりませんでした。10時過ぎに5割ほど欠けたころ、手前の藪の中からヤクシカが現れて小道を横切りました。あわててシャッターを切るのも束の間、すぐに反対側の藪へと姿を消しました。日食の影響で人里まで下りてきたのかなと思いましたが、後日付近の林をねぐらにしている群れがいると判明。シカが出現してから周囲の藪が気になって時々見回してみましたが、それ以降はカラスが3羽ほど飛び立ったほかはいたって静か。頭の上を飛び回っていたトンボの大群もどこかへ消えていました。

    

いよいよ皆既日食の瞬間が近づいてきました。港にはターミナルの照明と着岸した高速船の明かりが光っています。食が最大になる午前11時前。あたりにすとんと闇が落ちてきました。先ほどシカが消えた藪も、目の前のウィルソン株のレプリカも光を失い、しばし沈黙の時が流れます。レインスーツのせいで汗ばんだ顔に、どこからか涼しい風が吹いてきました。これが日食時に吹く「伝説の風」かと、ひとり興奮。

    

明るさを残していた海上もすっかり光を失い、港全体が闇に包まれます。観測場所の高台も周囲の藪も真っ暗に・・・・・・。いま南海の離島に夜が覆いかぶさっています。

    

真昼の夜よ、終わらないでという思いもむなしく、2分あまり続いた皆既日食は終わりに近づきました。直径が約400倍もある太陽を、小さな月が覆い隠すという壮大な天体ショーの一端を、じかに感じることができた瞬間でした。

    

皆既日食帯の中ではぎりぎりの北端にある屋久島。しかも宮之浦はそのまた端っこです。月の影が移動すると同時に、あっという間に光が戻ってきました。

    

「日常の中に、非日常が入り込む瞬間」、「人生観を変える神秘体験」――皆既日食を体験した人が口にするこれらの言葉が今回、屋久島を訪れるきっかけになりました。自分にとってそこまでの衝撃はなかったことが、意外であり残念でしたが、それはたぶん天候や観測地などの諸条件が影響しているのではないかと思います。しかし皆既の瞬間に周囲が暗くなり、何が起きるかまったくわからない状況に自分が置かれていることに気づいたとき、心細さと不安を感じたのも事実です(高台で最後まで粘っていたのは私ひとりでした)。日食の起きるメカニズムなどまったく知らなかった大昔の人々が、この神秘的な現象に畏怖の念を抱いたのはもっともだろうなと感じました。国内での次の皆既日食は26年後。きっと待てない私は、雨模様の屋久島での体験も貴重な思い出として心にとどめようと思いました。

 
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