彼の不幸は、ポセイドンのところで書いた、兄弟の序列逆転に端を発している。彼は本来、長兄であり、「神々の王」の座にもっとも近い位置にいたはずだが、あの逆転によって末弟となり、ゼウスやポセイドンの下位に置かれてしまったのである。
ゼウスによる世界3分割の際のくじ引きが、この不幸に拍車をかけて、よりによって冥府を引き当ててしまった彼は、永遠の暗黒に閉ざされた地下世界に住まうことを強いられたのだ。
地下には、タルタロスという地獄も含まれており、タルタロスには、ゼウスに敗北したティタンの神々が幽閉されている。いや、そもそも冥府自体が、死者を囚人とする監獄ともいえる。その意味では、ハデスは看守の役割を担わされたも同然であった。彼は絶えず、ティタンの神々や、地上へ戻りたがる死者たちの、怨嗟の声を浴びることになった。
もちろんハデスも、〈ティタノマキア〉では、ゼウスやポセイドンに劣らず活躍した。キュクロプスから姿を消すことのできる魔法の兜を授かった彼は、先陣を切ってクロノスに接近、その武器を奪ったのだ。
その報酬がこのような憎まれ役では、性格がゆがみのも無理はあるまい。元来は決して邪悪ではなかったハデスだが、やがて彼は、陰険かつ冷酷な気質で知られるようになってゆく。そしてその気質ゆえに、ますます他の神々から嫌われるという、悪循環に陥っていったのだった。
ゼウスによる世界3分割の際のくじ引きが、この不幸に拍車をかけて、よりによって冥府を引き当ててしまった彼は、永遠の暗黒に閉ざされた地下世界に住まうことを強いられたのだ。
地下には、タルタロスという地獄も含まれており、タルタロスには、ゼウスに敗北したティタンの神々が幽閉されている。いや、そもそも冥府自体が、死者を囚人とする監獄ともいえる。その意味では、ハデスは看守の役割を担わされたも同然であった。彼は絶えず、ティタンの神々や、地上へ戻りたがる死者たちの、怨嗟の声を浴びることになった。
もちろんハデスも、〈ティタノマキア〉では、ゼウスやポセイドンに劣らず活躍した。キュクロプスから姿を消すことのできる魔法の兜を授かった彼は、先陣を切ってクロノスに接近、その武器を奪ったのだ。
その報酬がこのような憎まれ役では、性格がゆがみのも無理はあるまい。元来は決して邪悪ではなかったハデスだが、やがて彼は、陰険かつ冷酷な気質で知られるようになってゆく。そしてその気質ゆえに、ますます他の神々から嫌われるという、悪循環に陥っていったのだった。