Fish On The Boat

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『知ろうとすること。』

2014-10-19 00:01:15 | 読書。
読書。
『知ろうとすること。』 早野龍五 糸井重里
を読んだ。

福島の原発事故と放射線について、
事故から3年半がった今だからこそ語れること。
ツイッターで事故後早くからデータを収集しツイートしていた早野先生と、
事実を科学的に見たいと思って彼をフォローし見守り、
その後、いろいろな行動を起こした糸井重里さんの対談本です。

つい一昨日、この本を読むにあたって合わせて読んだ方がなおいい、と
いうようなツイートを確か糸井さん本人がされていたのを目にしていたので、
『いちから知りたい放射線のほんとう』を読みました。
そこで、相当に、今ではこれだけはっきり分かっているという
放射線の知識を得ることができましたし、それまで読んでいた本の内容も
頭の中で整理されたかのようで、クリアになった気分すらしました。

そして、満を持して、この対談集を手に取った。
そこで見えてくるのは、糸井さんがあとがきで書かれていることにも繋がるのですが、
事故などの危機に対する「姿勢」なんですよね。
「姿勢」であり、どこを向いているかという「視線の向き」でもある。
そういうのが学べると思いますよ。
いわば、北極星を教えてもらうような本とも言えますね。
近代になって科学が発達するまで、航海してるときに目印にしたのは北極星です。
「北極星を見る」というのは、イコールこのような災害の場合での
「姿勢」を知ることであり、「視線の向き」を知ることでもある。
他の星を目標にしてさまよってしまうがごとく、
科学的事実に拠ろうとすることをしなければ、きっと、この災害の本当のことは
いつまでたってもわからずに、さまよい続けてしまうことになるでしょう。
さらにいえば、自分だけさまようのではなく、
さまよいながら人を傷つけたり迷わせたりもしてしまう。
そうはならないように、最小限どこを向いたらいいよ、と促すような本だと思います。

糸井さんと早野先生のツイートのやりとりで知りましたが、
この本のタイトルの『知ろうとすること。』には、
「素人がすること」というような意味も込められているようです。
素人がすることは、知ろうとすることで、それは「姿勢」を手にすることなのだと
僕はそうとらえました。

事故からの取り組みとその経過が比較的詳しくわかりますし、
わかることで、安心を得られたりもします。
単行本で出てもいいような本なのに、最初から文庫本で発行されて、
ワンコイン500円で買えてしまいます。
知ろうとする、その気持ちが少しでもある人は、ぜひに。


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