社会保険労務士 上岡弓見子 経営人事のブログ

外資系企業に英語対応の人事労務サービスを展開する国際派・社会保険労務士・USCPA

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1円の差がビジネスを大きく左右する

日本マクドナルドホールディングスの業績が好調です。
9日発表した2011年12月期の連結決算は経常利益が
前の期に比べ2%増の276億円と、01年に上場して
以来の最高益となりました。

郊外のドライブスルー併設店など大型店中心に利用客が
伸びたほか、不採算店の閉鎖による合理化効果も表れました。
12年12月期の経常利益も3%増の284億円と、連続最高益を見込んでいます。

日本マクドナルド株式会社の代表取締役会長兼社長兼最高経営責任者 (CEO)で
ある原田 泳幸(はらだ えいこう)氏の名言録に次の言葉があります。

『1円の差がビジネスを大きく左右する』
 
( 出所:「プレジデント名言録『200』選 人を動かす『言葉力』
その2」(プレジデント社)


**************************

原田氏は、1948年、長崎県に生まれま
した。1972年に東海大学を卒業後、日本NCR株式会社に入社し、
その後は横河ヒューレット・パッカード株式会社を経てアップル
コンピュータ・ジャパン株式会社(以下「アップル」)に入社し、
1997年に同社の社長に就任しました。その後、2004年、日本マク
ドナルド株式会社(以下「マクドナルド」)取締役副会長兼社長
兼最高経営責任者(CEO)に就任しました。社長就任後は「100円
マック」「24時間営業」などを導入し、低迷していたマクドナ
ルドの経営を短期間のうちに立て直しました。

冒頭の言葉は、

「小さなことも、積み重なると大きなことになる。決して小さな
 ことをおろそかにしてはならない」

ということを表しています。

1971年、東京の銀座に日本第1号店がオープンして以来、マクド
ナルドは日本中に広がり、20年後の1991年には外食産業初の年間
売上高2000億円を達成するまでに成長しました。しかし、その後
は過度の低価格戦略がブランドイメージの低下や業績の悪化を
招き、1990年代後半からは業績が停滞していました。

こうした中、同社の社長に就任した原田氏は、業績悪化の真の
原因は「マクドナルドらしさ」が失われていることにあると分析
していました。このため、「品質・接客・清潔」というマクド
ナルドの原点となる企業理念を徹底させることで、「マクド
ナルドらしさ」を取り戻すことを最重要課題としました。

さらに、顧客の注文を受けてからすぐにできたての商品を提供
できる新型キッチン「メイドフォーユー」にも着目しました。
当時、既にメイドフォーユーは導入されつつありましたが、
導入のペースはきわめて遅いものでした。このため、原田氏は
メイドフォーユーの導入を急速に進めました。

そして、「土台」を固めた上で、その上に収益を上げる仕組みを
作りました。外食産業の売上高は「客数×客単価」で表される
ため、売上高を増加させるには客数を増やして客単価を上げる
必要があります。しかし、両方を一度に実現させることは困難
です。

そこで、原田氏はまず、2005年に100円で購入できる単品メニュー
「100円マック」を発売しました。100円マックの発売に際しては、
社内からは客単価の落ち込みを危惧した反対意見が多く聞かれ
ました。これに対し、原田氏は「売り上げは落ちるが、まずは
客数を増やすことが重要だ」として決断を下しました。

原田氏の予測通り、100円マックの発売により、マクドナルドの
客数は大きく増加しました。次に、客数が定着した後で、今度は
付加価値の高い新メニューを発売するとともに、値上げを実施
しました。その結果、客数は減少したものの、客単価は大きく
上がりました。これらの取り組みによって既存店の売上高が少し
ずつ伸びていき、マクドナルドの業績は次第に回復に向かって
いきました。そして、2006年12月期決算では、ついに前期比で
増収増益を達成することができました。

マクドナルドの成功は、基本となる品質・接客・清潔を徹底し、
メイドフォーユーの導入により顧客を待たせないというマクド
ナルドの基本を着実に実行した上で、少しずつ収益を上げて
いく仕組みを作り上げたことにあります。

後に、原田氏は次のように述べています。

「人間は、当たり前のことがいちばんできず、当たり前のことを
 いちばんやりたがらない」

品質・接客・清潔の徹底は、マクドナルドのみならず、外食産業
では当たり前のこととされていますが、それ故にかえって、その
重要性が忘れられがちです。

しかし、このような小さな点をおろそかにしないことこそが重要
なのです。仮に、顧客1人の売上高が1円減ったとします。確かに、
1円はほんのわずかな金額にすぎません。しかし、1円の減少を
1年間というマクロの視点でみれば、それは莫大な売上高の減少
となります。

たとえ当たり前の小さなことであっても、その積み重ねは大きな
意味を持ちます。ミクロの事柄をミクロの視点のみで捉えるの
ではなく、マクロで俯瞰(ふかん)する視点を常に忘れないこと
が、ビジネスにおける成否を大きく左右するのです。



【参考文献】
「プレジデント名言録『200』選 人を動かす『言葉力』その2」
(秋庭道博、プレジデント社、2008年9月)
「ハンバーガーの教訓 消費者の欲求を考える意味」
(原田泳幸(本名は「原田永幸」です)、角川書店、2008年1月)
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