世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

北タイ陶磁の源流考・#40<ドン・ハインの「東南アジアの窯業系統・15」>

2017-03-22 07:50:32 | 北タイ陶磁

<続き>

10.内陸部領域:タイ王国・その2

チャオプラヤー川の上流域にあるランナーの窯群には、カロン(Kalong)、ワンヌア(Wang Nua)、ナーン(Nan)、パヤオ(Phayao)、サンカンペーン(San Kamphaeng)(図30)があり、これらのすべてが青磁を焼成している。多くは、シーサッチャナーライのMON陶、特にパヤオの陶磁によく似ている。最近インターキン(Intakhin)窯が発掘された。窯は同じタイプで、同様の焼物を生産していた(図31)。調査が進んでいないもう一つのキルン・サイトはランパーンに存在する。

イメージ 1
イメージ 2
パーンの近くにある窯群の2つのグループの1つは、窯がレンガで造られた地上式であるという点で、北タイでは非典型的である。窯の形態、焼成技術、および製品は、シーサッチャナーライの後期段階に類似しており、現時点ではパーンはそのシーサッチャナーライからの技術移転とすれば、最もうまく説明することができる。

サコーンナコン県のアカッド・アムヌアイ地域にある現代窯の東に、ソンクラム川に沿って点在する、おそらく数百基もの移行タイプと思われる横焔式窯を含む8つ以上のサイトがある。報告によると、窯は部分的に川岸に掘られ、粘土で天井部分が追加されている。長さが約5メートル、幅が2.5メートル、直径が約70センチメートルの丸い、またはおそらくやや方形の煙突を持つ細い窯である。瓶(壺)が瓦礫の中に見いだされ、この地域の二次的な火葬埋葬地から回収された茶色がかった釉薬の壺と特徴が同じである。火葬埋葬のための壺の使用は、シーサッチャナーライのMONとの文化的関係を示唆している可能性があり、同じ埋葬物が発見されている。出土する壺の耳のデザイン要素は、シーサッタナーク、バン・サンハイ(以上ラオス)。ランナー、シーサッチャナーライと共通している。


                           <続く>