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太陽 / The Sun

2006-08-14 05:49:15 | 最近見た映画
イッセー尾形が昭和天皇を演じた「太陽」、銀座シネパトスで見てきました。
最近、いろいろなメディアで取り上げられているので、評判となっているのか、単館上映のせいもあってか、整理券を配るほどの人気でした。席数177というちいさな劇場(シネパトス2という130席の劇場でも同時に上映していますが)立ち見も客がいるような映画は久しぶりでした。

映像は、暗くセピアがかった色合いで、「戦艦ポチョムキン」からタルコフスキーを経た、正統派ロシア映画という感じがしました。上映までの時間をビールを飲んで過ごしたせいか、冒頭の戦時中のエピソードでは時々うとうとしてしまいました。戦中から敗戦後に時間が移る部分を見逃してしまったのかと、ちょっとばかり不安になりながら見ていました。

時は平成になって18年。昭和もずいぶん昔のことになりましたが、昭和天皇、実はちょっと興味深い人だなと、以前から思っていました。戦前~戦中にかけては「現人神」として神様の身分だったのが「人間宣言」をして人間になった。こんな大転換を受け入れられるなんて、どん考え方をしている人だったのだろう、と興味を持ったのが最初でした。
そして、最近。子どもたちの勉強を見ていたときにたまたま目にした日本国憲法。そこでは天皇は象徴であると定義されています。そうか、昭和天皇というのは神様から人間になって、今度は象徴となったのか。今までは世見過ごしていたのですが、象徴として生きるとは、どんな気持ちなんだろう、と考えていました。

この映画は、ずばり、そこのところをついてきました。
人間としての昭和天皇。日本国そのものであった戦前の天皇という存在。現人神という存在。そしてつかの間、人間としての存在となった天皇ヒロヒト。ひとりの人間として、何を考えて、何を喜びとして生きていたのか。
この映画は、もちろんフィクションです。イッセー尾形がどんなに昭和天皇に似せた演技をしても、それはフィクションとして構築された一人の人間です。この映画は、一人の人間としての昭和天皇をモチーフとして、人間としての自由とは何か、人間としての喜びとは何かを問い掛けたもののように思われました。昭和天皇の映画というより、我々一人ひとりに問い掛けてくる映画でした。エンドロールを見ながらそのことについて考え、そして少し涙が出てしまいました。

太陽公式サイト


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[残された謎2つ]
1.軍服を脱いで礼服に着替えるときに発した「着替えなくてはなりません」の意味は何か?
2.人間宣言の録音技師のエピソードは何を物語っているのか?

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2 コメント

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Unknown (mezzotint)
2006-10-09 16:51:38
omizuさん

コメント・TBありがとうございました。

いやあ~やっぱりイッセー尾形がいい演技

していました昭和天皇の特徴

を上手く掴んでいたことに尽きますね
TBありがとうございました。 (Oimizu)
2006-10-09 21:19:19
mezzotintさん、TBありがとうございました。

時々寄らせていただきます。

こちらのブログもたまにですが、映画の話題を取り上げています。機会があれば、また立ち寄ってください。



「太陽」出演者が凄かったですね。

みなさん、それぞれ個性的な俳優の方で、演技を見ているだけでもワクワクしていました。