白鷺だより

40年以上暮らした演劇界の思い出を回想します

吉村 正人

白鷺だより(237)シネマ歌舞伎「らくだ」「連獅子」

2017-05-20 15:13:52 | 思い出
シネマ歌舞伎 「らくだ」「連獅子」

 今月の月イチ歌舞伎は「らくだ」と「連獅子」の短編二本立てだ
2012年12月に亡くなった勘三郎と2015年2月に亡くなった三津五郎の追悼上映とでもいうべき組み合わせだ

その一本は2008年8月納涼歌舞伎 歌舞伎座で上演された「らくだ」
作・岡鬼太郎 改訂・演出 榎本滋民
江戸落語に詳しいジミン先生ならではの落語芝居
勘三郎の紙屑屋の久六 三津五郎の手斧目の半次のコンビが河豚に当たって死んだ長屋一嫌われ者の「らくだ」の馬太郎(亀蔵)の弔い金を家主夫婦(市蔵・弥十郎)からふんだくろうと使いを出す 通夜の酒肴を出さないと死人を担いで「カンカンノウ」を躍らせるとと脅す 負けていない家主は「らくだ」が死んだとあればこんな目出たいことはない、その上死人のカンカンノウは見たことがないので是非見て見たいといいだす それを聞いた半次は馬太郎の遺体を引き起こし 嫌がる久六に負ぶわせて二人で家主のもとへ向かう・・・
見舞客に小山三が元気に芸達者なところを見せる(この年87歳) 
勘三郎が「世界一」と評する亀蔵のらくだが絶品 一言のセリフもない 自分の意志で動くことの出来ない(一か所を覗いて)死体の役でこんなにも笑わせられる この三人の息がぴったし、この狂言はよほど気が知れた三人でしか出来ない
弥十郎の家主の女房もあの大きな体で逃げ回る姿が可笑しい

萬ちゃんの芝居「てん・てこ・まい」にもこのカンカンノウ踊りが出て来るが死んだ老芸人を演じた久井さんとは比較する方が失礼である

ちなみにカンカンノウはこんな歌である

カンカンノウ キウレンス
キュウハ キュウレンス
サンショナラエ サアイホウ
ニイカンサンインピンタイ
ヤメアンロ
・・・・・・(変な歌)

三津五郎は先代の祖父が河豚に当たって他界したことから一生食しなかった


「連獅子」2007年10月 新橋演舞場
昭和9年小津安二郎が監督して撮った六代目菊五郎の「鏡獅子」の向こうを張ったのか当代の「名監督」山田洋次が演舞場で撮影した作品

河竹黙阿弥作詞による松羽目ものの歌舞伎舞踊
親獅子に勘三郎 子獅子に勘九郎 七之助と実の親子共演
親獅子が子獅子を千尋の谷に突き落とし 這い上がって来た子獅子だけを育てるという故実を実際の親子が演じることによってより感動が増す
胡蝶に導かれて親子が花道に入ってたあと「宋論(しゅうろん)」という場面となる 法華僧と浄土宗の僧の掛け合いがあって やがて山嵐となり二人は逃げ去り いよいよ獅子の登場となる 悠然と出る親獅子 のちに子獅子が従います  クライマックスの白い毛の親獅子と赤い毛の子獅子との息の合った豪快且つ華麗な「毛ぶり」は見ものである
特に勘三郎が亡くなった今 「歌舞伎の芸というものはこうやって伝承していくんだ」ということが感動的によくわかるのである

尚 この月に上演された「人情話文七元結」も山田洋次が演出 撮影してシネマ歌舞伎に残っている


   
                                  (5月18日 なんばパークスシネマにて)

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