あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

Industar6 1L/Z 50mmF2.8

2016-06-09 05:27:08 | 海外レンズ
遠景から近接撮影までそつなくこなす、現代風の写りが愉しめるテッサー・レンズです。六芒星ボケが愉しめる一風変わったレンズなのですが、当時のプリセット絞りの絞り形状は、一部に尖りのあるものも多くありました。コムラーやタクマーでもF8位に絞り込むと同じ様な感じになります。しかし、国産レンズでは絞り羽根の数が多く、金平糖やウニのような感じになります。

インダスターの場合は、絞り羽根の数が少なく六芒星という形になり、現代になってその形の面白さから人気が出ています。何しろ点光源ボケがお星様になる訳ですから、点光源を入れた夜景はロマンチックな感じになります。しかし、元来テッサーのレンズですから、鷹の目の写りも愉しめます。

ドイツからロシアへ、テッサー・タイプのレンズはインダスターへと変化しました。その後、ほぼ現代に至るまでの間作り続けられたレンズです。その間に硝材も改良が加えられていますので、後ボケがきれいなテッサー・レンズに進化しています。オリジナルのテッサーは、鷹の目と呼ばれるほどにはっきりとした写りが特徴ですが、反面近接時の後ボケがあまりきれいではありません。

ドイツレンズの特徴が良く現れていて、オリジナルテッサー以上の近接撮影が行えます。フルサイズで0.3倍、APS-Cサイズのディジタル一眼レフでは0.45倍くらいの拡大倍率になります。無理をしないで拡大撮影が行えますから、そこそこ大きな花や葉を隅々まで写すのに好適です。マクロタクマーほどではありませんが、撮影結果に満足しないということはありません。

このレンズにニッチさを求めるのは多少酷な気がしています。ヘリコイドの感触は多少がさつきがあって、外観の飾りなどのものはありません。このレンズとタクマー・レンズを比べると、ヘリコイドの動きや外観の豪華さが気になってしまうことがあります。また、年代が若いほどつくりが雑になっていく感じで、ロシアン・ルーレットと呼ばれるようなレンズも存在しているようです。

テッサーは廉価で良く写る庶民派レンズです。このため現代ではコンパクト・ディジタルカメラにも搭載されていて、びっくりするような質の良い画像を提供してくれます。コントラストが高くなって収差も少ないレンズなのですが、近接性能はいまひとつの感じで、背景ボケを柔らかくする時にはマクロレンズにするか、それとも硝材を変えて対応するのが対応策であったろうと考えています。

この対応の中で、マクロレンズに特化したのがマクロタクマー、硝材を変えて対応したのがインダスターと考えることも出来ます。何しろ今から40年以上も前の話です。今では現代の新しい硝材や非球面レンズを取り込み、ズーム・レンズの中の一部分となってテッサーが生き延びている。あ、この部分と一目でわかるのがテッサー構成の特徴です。現代風の写りが愉しめるテッサーがインダスターと考えて写すようにしています。

それでは、先月末に撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 Industar6 1L/Z 50mmF2.8
撮影データ:1/160sec F5.6 ISO100
待っていたエゴの花。今年は暖かな陽気で直ぐに散ってしまって、そう長く花を見られないと思っています。
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