あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

YashicaD(Rollei Retro400S)

2017-11-13 13:10:51 | フィルムで行こう
前回の大阪出張でローライのレトロ400Sを買ってきましたが、35mm判フィルムと一緒に120フィルムも買ってきました。35mm判フィルムでは結構粒子の荒れが力強さを生み出して、黒色部分のトーンの深さを演出してくれましたが、120フィルムではフィルム面積が大きくなりますので、力強さが出しにくいといった感じになります。

元来ISO400フィルムは粒子の大きさが売りの感じです。トライXパンのフィルムは、ランダムに並んだ洗い粒子が力強さとコントラストを生み出していますし、躍動感の表現にも一役買っていて、スポーツ撮影にも向いているフィルムです。このレトロ400Sは、確かに粒は荒いのだけれども、粒子が整列していてどちらかというと優しさにつながるような表現になります。

これがスーパーパン200と違った雰囲気を醸し出していて、これから愛好者も増えてくるのではないかと考えています。ヨーロッパのフィルムは各々性格や味わいも違っていて、報道や写実性といった国産フィルムとは少し違ったアートの世界表現と云った感じになります。芸術の世界に用いられるフィルムと云った印象が強く、使う愉しみを与えてくれるといったほうが良いのかもしれません。

ローライのフィルムは、現像すると現像液がまっ黄色になる特徴を持っていますが、これが現像液のくたびれ度合いを判断するのに役に立っていて、数時間で元の透明に戻ればまだへたっていない証拠になります。現像液は強アルカリ性ですから、だんだんと色素の色が薄くなって行って、使えなくなってくると中和が出来なくなって黄色が残るというわけです。

それにしても、レトロ400Sは扱いが難しいフィルムです。普通に撮影して普通に現像すると透明に近いネガが仕上がってきてびっくりするのですが、透明な部分にも少し陰りのようなトーンが付いていて、黒色の部分にも微妙なトーンがあらわれます。レトロ400Sは、黒色の部分が粘る、レトロなトーン表現が得意なフィルムでもあった訳です。

スーパーパンはネガの黒くなっている部分に微妙にトーンが付きます。即ち思った以上に白が粘る訳で、現代風の建築物や構造物の撮影に向いていると言えます。白とびし難いし、黒潰れし難いフィルムがあるとすれば逆に軟調表現になってしまうのですが、コントラストのはっきりと付いたフィルムで、この様な二面性を持たせているライン・アップには脱帽です。

撮影行から帰ってきて、現像を行う時にも透明部分に少しトーンが残ることを期待して、1.5倍ほどの現像時間でトライします。増感現像の時によくやる手法ですが、確かに仕上がりは黒の部分のトーンがより滑らかに表現されてきますので、これもアリといった感じです。ヨーロッパのフィルムは、この様な表現に対する調整も出来てびっくりする感じです。

ふとしたことで購入してきたローライレトロ400Sですが、色々な事が判ってきて面白い感じです。これからローライのフィルムにはまりそうな気がしてきて、何だか恐ろしい感じで、黒白フィルムの底の深さを感じた印象でした。

それでは、先月末に撮影した写真から掲載します。


Yashica-D Yashikor 80mmF3.5
撮影データ:1/60sec F8 Rollei Retro400S
お寺の山門を撮影しました。ローライレトロ400Sは、黒のトーンが粘ってくれるフィルムで、薄暗い山門の木組みも見事に再現してくれます。スキャナのほうが負けている感じで、やはり印画紙焼付けが一番満足できます。
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