あるいて・みつける

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Zenzanon MC 150mmF3.5(Zenza Bronica EC)

2017-04-15 08:21:32 | 国産レンズ
手強いゼンザノンの150mmレンズで、モノコートのゼンザノンは線が細くてしなやかな描写、そしてマルチコートのゼンザノンは力強い描写が得意です。モノコートはノリタ光学、そしてマルチコートのゼンザノンは富岡光学と考えています。どのレンズもしっかりとした写りが楽しめる反面、手強い癖を持ったレンズです。

中判で150mmレンズは、35mm判換算で80mmほどの中望遠レンズに、そして前後ボケの柔らかさは絞り4段分ほどあけた感じになりますので、F1.8相当とピント位置以外はほぼボケた状態になります。まさにポートレイト・レンズのような、大口径中望遠レンズと同じ様になるわけです。この点からいくとゼンザノン100mmF2.8はほぼ標準レンズのように扱えますから、撮影が楽になります。

ボケ量が格段に大きくなりますし、何しろ150mmの望遠レンズです。しっかりと圧縮効果が得られる事に加えて前後数mmの被写界深度に悩まされる事になります。また、レンズ自体が持っている性能を調べてみましたが、ほぼ中景から遠景にかけて高い解像力を持っています。近接になると画像が柔らかくなりますので、近接撮影にはあまり向いていないレンズと考えています。

この頃のレンズは絞り込んで撮影するのが基本ですから、現代レンズのように絞り開放からある程度解像力を持っているわけではありません。しかも35mm判カメラ用レンズと違って絞り込んでいっても後ボケの柔らかさが崩れるわけではありません。ゆっくりとボケ量が少なくなりますので、F11以上は絞り込んでやらないと解像感が上がったようには感じません。

光量が十分に稼げるような環境下で無いと、ISO100の高精細中感度フィルムを用いる事が出来ずに、微妙なピンボケ写真を量産してしまう事になりますので、手持ちの撮影ではかなり苦しくなります。手持ちで撮影する場合は、ぶれ防止の意味からもシャッター・スピードを早くする必要がありますから、曇りや雨の状態ではあまり撮影する気力が湧かなくて、35mm判カメラに流れてしまいます。

中判カメラは三脚固定が基本ですが、剛性のあるしっかりとした三脚を用いないと1/30秒以下のシャッター・スピードでは、逆に大きすぎるシャッター・ショックのおかげでぶれが起きてしまいます。ミラー・アップなどの対策を講ずる必要がありますので、撮影が余計煩雑になってしまい、1枚のコマを撮影するのに多くの時間を費やしてしまいます。

ゼンザノン150mmレンズはしっかり写って中古価格も安い、ある意味コスト・パフォーマンスに優れたレンズですが、手強さをしっかりと持っているいぶし銀のような昔レンズです。今回はISO200のローライ・スーパーパンが手に入りましたので、解像度の確認を行う目的で風景を撮影して来ました。近接ではかなり画像が柔らかくなって、あまりぱっとしないゼンザノンMC150mmですが、風景ではしっかりとした画像となります。

小さく写っている部分も拡大すると細部まではっきりと描写されますし、トーンもはっきりと再現されます。高精細フィルムを使う事でゼンザノン150mmの良さが改めてわかったような気がします。

それでは、先月末に撮影した写真から掲載します。


Zenza Bronica EC Zenzanon MC 150mmF3.5
撮影データ:1/500sec F9 Rollei SuperPan200
解像度の確認は送電線の鉄塔を使うと判りやすくてよい感じです。後ろの山の残雪も結構表現されていますので、レンズの解像度は相当に高いことを実感します。
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