傘寿の真保守宣言

素人の政治、スポーツ、社会評論です。
写真、ゴルフを楽しみながら地域社会に溶け込む一応元気な傘寿越えの爺さんです。

平成26年大相撲福岡場所感想

2014-11-30 12:28:13 | 日記
                            平成26年大相撲福岡場所の感想
1)総括
 大相撲福岡場所は白鵬が序盤で取りこぼしがあって珍しく追う立場になったが、追われた鶴竜が持ちこたえられずに崩れやはり白鵬の優勝となった。今の大相撲は白鵬があまりにも突出した存在になっている。健康もまだ万全らしい。優勝を何回まで伸ばすのだろう。
2)白鵬に大天晴れ!!
 大鵬の32回優勝に並んだ記念すべき場所となった。29歳でまだ衰えがなく今年6場所のうち5回優勝したし今場所は高安に不覚の1敗を喫したが後半の迫力は正に鬼神を思わせる充実振りで他の横綱・大関を圧倒した。千代の富士は35歳まで頑張ったが、白鵬の今の状況から考えると後3年は大丈夫だから40回はほぼ確実、45回優勝もありえよう。
 優勝直後土俵下のインタビューの挨拶で大鵬に並んだという感激で涙し、初めてモンゴル語で母国にも挨拶した。又、「13年前に62kgだった少年がここまでになった」「国の魂と相撲の神様が認めてくれた」と感想を述べた。更に「明治維新の時に相撲の力士だけが天皇と大久保利通のご理解でチョンマゲを許された」と力士として天皇に対するユニークな感謝の言葉もあった。いろいろ日本の歴史も勉強しているのだろう。とにかく怪我がなく横綱になって7年一度も休場がないということも立派だ。
 今場所前に白鵬は「後の先」に徹すると考えを述べていた。横綱として何時も受けて立っても素早く先手を取るという戦法らしいが、言い換えれば横綱相撲に徹するという覚悟。
力比べでは恐らく碧山とか栃ノ心より劣るように見えるが技と言うか相撲感が抜群だ。言い換えれば、相手の動きを感知してタイミングよく技をかける鋭さ、初動の加速が大で相手への圧力を動的に倍加することが勝ちに繋がるのだろうか。それを運動神経・反射神経がずば抜けているというのだろうか。
ただ、たまにダメ押しをしたり、毎回懸賞金を受け取って分厚い賞金袋を振りまわす仕草があって批判がある。勝負を制して気の高ぶりを抑えられないということが報じられたが、横綱の人格の完成を求めるファンの気持ちを受け入れ努力して治してほしい。
3)他の2横綱はーーー
 鶴竜は頑張ったが力不足。豪栄道に横に跳んだ勝ちを批判され、自分でも「あんな勝ち方をするのは駄目だ」との反省はいいが、その翌日からの相撲に悪影響となった。もう少し図太くなっていいのではないか。それよりも3敗は白鵬、日馬富士と稀勢の里の3力士だから、取りこぼしなしの実力勝負での負けという意味で重い。
 日馬富士もよく考えると4敗のうち3敗は取りこぼし。実力の負けは白鵬の1回となる。病後でよく頑張ったといえる。毎場所取りこぼしのなくならない習慣が気になる。体重でなく相撲の「軽さ」という問題があるのだろうか。
4)大関陣にマタマタ不満
 稀勢の里も4敗のうち2敗は取りこぼしだが、その中で逸ノ城との負けはそうではないという意見もある。もう1敗は苦手になった碧山だから横綱を狙うなら何か作戦を立てて悪い流れを断ち切らなければなるまい。横綱陣と1勝2敗ということは横綱と稀勢の里の実力はかなり近いということを意味する。後は大事な勝負の場での精神力の問題と取りこぼしのない相撲をどう自分のものにするかが課題。メンタル面の修養が必要だろう。
ゴルフでも一流プロはたまにOBを出す。しかし数十回打つトータル打数で勝負するのだから4日の試合では200以上の打数の勝負となるから挽回のチャンスがある。しかし相撲の勝負は15回という少数回だから一回のポカの影響が大きい。ここ数年期待されながら取りこぼしについて改善の実績が見られないことは「本当に大丈夫か」という懸念があることは確かだ。
 3横綱と稀勢の里については白鵬が一人飛びぬけているが後の3人は今後も勝負を競り合うと思う。白鵬も「国技なのだから日本人横綱が出て欲しい」と言っている。大関で第1の期待力士稀勢の里頑張れ!!
琴奨菊はマタマタ負け越してカド番となった。既に後から来る若手と同格の力しかないように見える。そのうち大関から転落する気がする。
 豪栄道は今場所体調か怪我の影響だったのだろうか。カド番となってしまったが、実力はこんなレベルではない筈。「勝たなければ」という責任感がありすぎるようだ。彼もメンタル面の改善が必要と思う。
5)他の3役力士
①逸ノ城は怪物
 逸ノ城は初土俵後2年で関脇にのぼり、上位に総当りして勝ち越ししたのは立派というか彼の怪物振りを証明した。おまけに帯状疱疹にかかり場所前の稽古も不十分という悪条件を考えれば文句のない活躍といえる。来年末には大関になっているかもしれない。
しかし本人もよく反省しているようだがじっくり4つに組んだら強いが、スピード感のある相手に激しく攻められたら脆い。立会いがいかにも甘くそして腰高。それから時々横に跳んで勝つこともあるが墓穴を掘ることもある。先場所稀勢の里との相撲で1回突っかけた後2回目に跳んで勝ったが今場所も栃煌山との相撲で同じ戦法をとった。栃煌山に上手くあしらわれて惨敗した。あの跳びは駄目だ。反省しただろう。あの体格だからどっしり構えるか突進すべきだ。上記の幾つかの欠点を直したら大関どころか横綱もありえよう。
②碧山は何とか勝ち越した。日馬富士と稀勢の里に勝ったことで何とか勝ち越した。しかしまだ安定した強さとはいえない。まともにぶつかれば馬力を生かせるが巨体力士共通の脆さが目立つ。安定するには時間がかかりそうだ。
③豪風は途中からモチベーションがなくなり2勝と惨敗。5分の星は残せる力はあると思う。捲土従来を期待。
勢(いきおい)まだ力不足。
 
6)幕内期待の3羽烏

①照の富士も地味だが有望
 地味だが照の富士は有望だ。千秋楽の逸ノ城とのガップリ4つ相撲は見ごたえがあったしその相撲に勝ったのは立派。とにかく粘り越しが見事。彼もモンごリアン。大関候補と見ている。
一頃妙義龍と千代大龍に期待したときがあったが、その両者よりも逸ノ城と照の富士が1歩先に進んだとみる。
②遠藤よ立会いを改善し頑張れ
 遠藤は幕内下位だから10勝も当然と見る。後半の8連勝は立派だ。遠藤らしい相撲が続いた。後半の立会いには前半に見られない鋭さがあった。来場所が楽しみ。
③栃ノ心の成長に期待
 栃ノ心は小結の経歴があるのだから以前の力を出したといえる。解説者の感想では以前より相撲が上手くなり、以前はただ力持ちという感想だったが今場所は技もという感想。
7)気になった前頭力士
 宝富士も地味だが力を出してきたように思う。来場所を見たい。
 高安は2横綱1大関に勝ち殊勲賞。どうも場所ごとに好不調が激しい。もう少し観察してみたい。
 千代大龍と妙義龍も幕内下位で9勝。少し不満だが來場所期待。前述したように直近は逸ノ城と照の富士が一歩先を進んでいるように感じる。
 大砂嵐は馬力はありそうだが怪我の不運もあったとしてももう少し技を磨かないと上がれまい。
 栃煌山は勝ち越したが豪栄道と大関を争った頃を忘れさせる元気なさ。
 豊ノ島はよく頑張った。精一杯。
 隠岐の海は9日目まで7勝2敗、しかしその後1勝5敗でやっと勝ち越し。体が柔らかく有望といわれながら伸び悩んでいる。栃の若も大型で柔軟な体 で有望だったが幕尻で3勝12敗。十両転落は確実。
 この両者に共通する点は甘いマスク、性格が優しすぎるのだろうか。
 旭天鵬が9日目まで8勝1敗だったが、後は2勝4敗。歳のせいの息切れか。
 2013年の7月に八百長問題を解決して復帰し幕尻と十両を行き来していた蒼国来が今回9勝したので来場所は幕内中軸に上るだろう。健闘を称えた  い。
  嘉風は怪我で気の毒だった。
8)十両について
 時天空優勝で再入幕おめでとう。
 若の里が久し振りに9勝。来場所頑張れば再入幕もあろう。
 どん尻の新十両輝が千秋楽に時天空と優勝を争ったが負けて10勝。有望。来年中に入幕するだろう。若の里が違う部屋だがこの若手の面倒を見ている とのこと。
 豊真将は怪我が治らず十両で1勝14休だった。又幕下に落ちるだろう。気の毒としかいえない。恐らく再起は無理ではなかろうか。真面目な礼儀正し い力士だが今後の幸せな人生を願いたい。
 枡の山。2011年に前頭9枚目まで進んだが病気や怪我であまり振るわず十両に落ち、更に休場もあって幕下に転落したが今回勝ち越して来年1月に は十両に復帰することとなった。フィリッピン在住の経験がある異色の力士だが持病で持久力がなく20秒以上相撲が取れないという話もある。協会で 引退勧告をしないということは何とか頑張れるという判断なのかもしれない。自分の健康に留意して頑張ってほしい。
9)関心事
①立会いについて
 相撲の一つの醍醐味は立会いだ。全てのスポーツはスタートの合図で始まるが、相撲は特別の合図なしに両力士の阿吽の呼吸で始まる。極端にバランスが崩れたら相手が「待った」をするし行司もやりなおしを命ずる。しかし合図なしだから物理的に全く同時ということはありえなくコンマ何秒か許容範囲以内なら成立する。その場合少しでも早く立てたほうが勝負には有利。事実、敗因は「立ち遅れ」という多くの相撲で見せられている。
 従って相撲の世界で星を稼ぐには力技や白鵬のような運動神経・反射神経の敏感さのほかに立会いの上手さの修得があると思う。
 白鵬の心する「後の先」という考えは仮に一瞬遅れて立っても体を接触する瞬間には相手に勝るスピードを出す初動の鋭さを磨くということと思うが、立会いの上手さにも通じる概念だろう。
 本来は、両者が手を着いて待ち行事が「ハッケヨイ」の声で立ち上がるのが一番公平なやり方だ。しかし100mのスタートでも走り出すまでに100分の1秒単位で個人差が出て反射神経の敏感な選手が有利となるが、相撲でも同じこととが言える。「ハッケヨイ」法式の場合、白鵬のように抜群の反射神経の持ち主は常時有利となる。
 だが、現在の「阿吽の呼吸」式の場合は白鵬でも立ち遅れがありうる。それは番狂わせの確立が高くなるので相撲の面白さが増すという考えもあると思う。従って力士はお互いに相手力士の立会いの癖をよく調査して土俵上で頃合を計るのも相撲の1手と思う。幕内上位となると力は接近しているから立会いの上手下手は勝負に大きく影響する。
筆者は以前に「ハッケヨイ」方式を主張したことがあるが最近は「阿吽の呼吸」方式を相撲特有のスタート方式として評価している。
④物言い
 前にも書いたことがあるが、「土俵際で攻めた方が前に落ちたかもしれないと見られた場合、攻めた方の相撲の勢いと押された方の死に体(タイ)」「庇い手とお手つき」、反則の髷を摑んだ行為が故意か否かetc、度々物言いの種となる。取り組みが激しくなっているので微妙な相撲が増えて物言いの機会が増えているが別室からビデオの確認情報が来るとしても最終的には検査役の主観で判定が下される。素人には当然物言いと予想してもそのまま物言いなしで済んでしまうことも多い。これも検査役の主観の問題。仕方がないことだが、解説者も「力士には運もある」と言っていた。どんなスポーツにもあることだ。
10)おわりに
 白鵬を先頭に多くの若手の頑張りもあり幕内後半の相撲が面白くなっている。満員御礼の垂れ幕の頻度も増加傾向とのこと。来年も白鵬中心に相撲は展開されるだろうが、先ず33回優勝の達成と、早く稀勢の里に奮起してもらって横綱昇進を期待したい。尚白鵬には久し振りの全勝優勝を期待したい。
一層の大相撲の盛況を期待する。