拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

自分の心との会話(Mache dich,mein Herze,rein)

2017-11-17 08:40:20 | 音楽
「Erbarme dich」が「憐れめ」と命じている相手は「dich」(君)。同様に「dich」に命じてるのが同じマタイ受難曲の中のこれまた超名曲の「Mache dich」(バスのアリア)。「Mache dich rein」(君をきれいにせよ)と言っているのだが、問題はその「君」が誰か?ということだ。「Erbarme dich」は「mein Gott」、つまり神様。それに対し「Mache dich」は「mein Herze」(私の心)だ。自分の心に対して「きれいにせよ」と命じているわけだ(命じる相手が文中にわりこむ形で入っている)。そういえば、今読んでるグリム童話で、主人公がいきなり「Du」(君)相手に問答するシーンが出てくる。誰と話してんのかと思ったら主人公の心だった。自分の心と会話をしているわけだ。その時「Mache dich」を思い出した。ドイツ語にはこういう用法がおとぎ話を含めて確立されていて、「Mache dich」もその例なのだと思った。その「Mache dich」、通唱会では大合唱になるんだろうなー。因みに、この超名アリアを割愛しているのが、「すすり泣きが聞こえる」で有名なメンゲルベルクの演奏。

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