拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

鳥刺しの歌(冠詞はくせ者)~銀河がぶつかる話

2017-11-07 08:24:03 | 音楽
高校のときパパゲーノのアリアをいつも日本語で歌ってるやつがいて、出典はなんだったんだろう、教科書にあったのかなー?とにかくいつも聞かされてたんでその歌詞をよく覚えている。以下、頭の部分をフレーズごとに原語、直訳、そいつが歌ってた歌詞の順に掲げてみる。「Der Vogelfänger bin ich ja」「鳥刺しだよ、おいらは」「ほい!わっしゃちょいとここーらーの」、「stets lustig heissa! hopsasa!」「いつも元気。ハイサ、ホプササ」「めいぶつじゃーよ、ホイサッサ」、「Der Vogelfänger ist bekannt,」「この鳥刺し様は知られている」「ことりとみればのがさーぬ」、「Bey Alt und Jung im ganzen Land.」「国中の年寄りにも若いのにも」「めいぶつじゃーよホイサッサ」。こんな具合に、そいつの歌詞は逐語訳からはほど遠いが、全体的には訳になっている(リゴレットの女心の歌の堀内敬三訳もそうだ)。うまいなと思ったのは冒頭の「Der」。これは定冠詞だから訳しようがないところに「ほい」をもってきた。それから「hopsasa!」に「ホイサッサ」を当てている。まるで空耳アワーだ。さて、冠詞であっても、原詩と同じ位置でちゃんと訳してる例もある。「Un bel dì,」=「ある晴れた日に」(言わずと知れたバタフライ)。「Un」=「ある」でちゃんと符合している。この不定冠詞(un,ein,a)がなかなかのくせ者。スターウォーズの冒頭、いきなる現れるテロップ(a long time ago,far,far away in a galaxy)の「galaxy」につく字幕がただの「銀河系」ではなくて「別の銀河系」となっているのは「a」のなせるわざ。因みに、われわれの住む銀河系と一番近い銀河であるアンドロメダ大星雲は接近しつつあって将来はぶつかるのだそうだ。と言っても、人類などとっくに絶滅してるであろう将来だからわれわれには実害はないが、それでもわれらの故郷が星同士の衝突でこっぱみじんになるのは(レインボー戦隊ロビンに出てくるパルタ星のように)しのびないと泣く必要はないようだ。ぶつかるといっても宇宙空間は相当にすかすかなので、実際に星同士がぶつかることはないそうだ。