とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

書評『物語論基礎と応用』(橋本陽介著)

2017-07-12 10:54:18 | 書評
 若手の意欲的な研究者である橋本陽介氏による物語の構造に関する入門的な本である。わかりやすく勉強になる。

 文に文法にあるように物語にも構造の法則がある。物語の構造分析とはその考え方に基づき、物語の構造の法則を体系化していくものである。どのような物語でも伝統的なストーリー展開を下敷きにしている。伝統的な物語の構造を無視して作品が描かれることはない。だから、物語の構造を体系化していけば、新たな物語を作成することも容易になる。これまでになり独創的な作品という評価を受けたものもあるかもしれない。しかしそのような独創的な作品でも、よく見れば伝統的な物語の構造から自由であるわけではない。その物語の構造の一部を変化させただけのものである。だから物語の構造を学ぶことは作者にも、学習者にも有効な方法である。

 この本は前半では理論的な説明がわかりやすく書かれている。後半では実際の例が挙げられている。前半はとてもわかりやすいが、後半は入門的にさらっと触れているだけのような印象だった。他の本を読んだり、自分で確かめてみる必要があるであろう。

 筆者はこう締めくくる。
「物語とは人間言語に特徴的かつ本質的なものなのである。
 しかし、言語学における物語言語の分析は、まだ十分に行われていない。文学の研究は、言語学をふまえていないものがほとんどだ。両者の融合する所に、さらなる問題はまだまだかくれていそうである。」

 筆者の問題意識に共感し、自分ももっとこの分野を学んでいきたいと思った。


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