とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

書評『太陽は動かない』(吉田修一作)

2016-12-31 11:53:24 | 書評
 日本、そしてアジアの裏社会で活躍する産業スパイ(?)が命がけで活躍する姿が描かれる小説。外国映画を見ているような大きな展開があり、ハラハラドキドキの場面が次々と現れ飽きさせない、スケールの大きいアクション大作である。

 ただしあまりに登場人物が多く、しかも表と裏の顔があるために、誰が誰だかわからないくなってしまう。スピード感がある展開なのに、一瞬「この人誰だっけ」と立ち止まらなければならないので、ちょっと面倒である。

 この本に登場をするのは人間を信じられなくなった人たちである。しかし心の奥底では何かを信じたいと彼らは感じている。命がけで仕事をこなしながら、最後に人間を信じようと行動する。引き裂かれた心が描かれている。生きていることそれ自体が分裂症的なことなのである。

 振り返ってみれば私も何か得体のしれない何者かによって生かされているのではないかと感じる時がある。本当に信じられるものは何か。前を向こうと思えば思うほど、「前」ってどっちなのか不安になることがある。「生きていることは分裂症」、そんな馬鹿なことを考えないように、自分を見つめていきたい。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 映画評『この世界の片隅に』 | トップ | 松本人志さん、有言実行をお... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

書評」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。