とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『鱈々』(10月15日夜 天王洲銀河劇場)

2016-10-16 09:01:35 | 劇評
 作:李康白 演出:栗山民也 出演 藤原竜也 山本裕典 中村ゆり 木場勝己
 
 大きな展開はなく、派手さのない舞台だが、心と頭にじっくりしみてくる作品。人が生きるということは何なのかを見せつけられているような気がする。

 藤原竜也と山本裕典は倉庫番をしている。小さいころからずっと倉庫番をしていて、荷物を間違いなく送り出し、そのために倉庫に荷物を順番通りに積むことだけを考えて生きている。藤原竜也が演じる男はそれだけをかたくなに守ろうとする。山本裕典演じる男はそれに疑問を感じはじめ、とうとうある時、荷物をわざと取り違えて送ってしまう。

 藤原竜也演じる男はそれに怒り、そしておびえ始める。しかし、荷物の所有者からは何の抗議も連絡もない。そこで荷物の所有者に謝罪の手紙を書く。その手紙を木場勝己演じるトラックの運転手に託そうとするが、運転手は受け取らない。意味がないと言うのだ。

 生きているというのは、人間が考えているほど意味があるものではない。ちょうど倉庫番と同じように来たものを次に送り出すだけだ。人間は自分の人生に意味を与えようと必死になるが、実はその人生の意味は虚像にすぎないのかもしれない。劇中に出てくる鱈の頭がそれを象徴的に示している。

 藤原竜也は抑えた演技でいい。木場勝己は舞台を動かし引き締めている。中村ゆりはセリフが単調になりがちだったような気がする。
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