とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『るつぼ』(10月16日 シアターコクーン)

2016-10-17 16:09:53 | 劇評
 作:アーサー・ミラー 演出:ジョナサン・マンビィ 
 出演:堤真一、松雪泰子、黒木華、溝端淳平、他

 心と頭を揺さぶるすばらしい舞台だった。
 
 アビゲイルと少女たちが全裸で踊っているのを牧師のパリスに発見される。神への冒涜である。しかも、少女の一人で牧師の娘ベテイが意識不明となってしまう。パリスはただうろたえるばかりで何も対処できない。そのうち、町の有力者パトナム夫妻が「悪魔を呼んだからだ」と言いだし、少女たちは町の人々を魔女として告発してしまう。

 少女たちは嘘を言っているのか。嘘を真実と思いながら主張しているのか。いずれにしても少女たちに言葉にみながだまされてしまう。そして自分を「魔女」であったと認めなかった者、つまり正直者が神への裏切り者として次々に処刑されていく。

 現代でも同じであろう。さまざまな虚像を根拠に人々が人々を攻撃する。政治的な様々な問題、ワイドショー的な問題、学校のいじめの問題、さまざまな攻撃が得体にしれないことを根拠に行われているのである。そしてそのような「魔女狩り」に口を挟めば、逆にその人間が攻撃される。このおそろしい世の中で自分を保ち正義を貫くことが本当に可能なのか。芝居の後半ではずっと見る者の心に問いかけ続ける。

 緊張感のあるセリフの連続でありながら、役者がしっかりとしているので集中力が切れることはなかった。演出も芝居の流れをしっかりと作っていた。踊りも自然に取り入れられ、身体表現に心を映していた。舞台美術も転換もみごとであり、印象にのこるものであった。

 名舞台である。
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