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金木犀(1)

2016-10-17 21:49:29 | 童話
皆さんはもう街の方に住んでいらっしゃるから、殊に動物などはカラスや鳩などくらいしか普段は目にされないでしょうか、この国なんかもう最早開発が進んでしまって自然が少なくなっております。
それでもまだ地方の方、殊に山迫る町の方を見ますとまだかろうじて自然が残っているのでしょうが。
なんかのテレビで見たのですが、誰かが山かなにかを望みながらこう言ったのです。「地球が生まれた当時から変わらない姿」、私はこの言葉に深い物を感じました、原始的に考えればこんなことは何の変哲もないのですが、今じゃ、今の地球を見れば奇蹟でしかないのです。

私の家がありますのは三河国のまぁ西寄りの辺りなのですが、この辺りなどはもう広い平地がありますから、高いビルや商業施設や、工場などが立ってしまって動物なんかは減ってしまっているんです。
しかしそれでも、前置きが長くなりましたが…、少なからず緑はあるのです、ほとんどは人工的なものなのでしょうが、それでも動物にとっては緑には違いありませんから、その残り少ない緑には藁にもすがる思いなのでございます。
私の知り合いの鷲の親分はやはりこう言っておりました、人間などは身勝手なヤツらだと、同じ動物でありながら人間は自分らのことしか考えてないヤツらだと、私も同じ人間という身分でありながら、とても興味深い話であったと記憶しております。

随分前置きが長くなってまいりましたが、今日は私と、そんな鷲の親分や無邪気なトンボなんかが出会った頃のお話でございます。

➖私がそのいわゆる‘‘けんわ場”と動物たちの間で呼ばれる、これはみんなで協力し合ってぼくたちの居場所を取り戻すために話し合おうとかそんな意味が込められた造語なんだそうですが、そのけんわ場に足を踏み入れ始めたのはつい先週からのことなのですが、「やあまた来たのかい、今日はまた下手なリコーダーをやるのはやめてほしいね」
陽気なトンボが私の周りで赤い軌跡を描きながら言います。「誰だって苦手なものはあるじゃない。今日はそんなんじゃないもん」
「そうかい、まぁどうせお嬢さんも、ぼくらなら迷惑をかけても何とも思わないとでも思っているんだろうよ」
「そんなことない!」私は子どもで、これ以上何と言葉をかけたらいいのか分からず、黙っていましたけど、顔だけは力強く否定する表情をしていました。それが伝わったかどうかは知れませんけれど、トンボはコホンと咳払いをして見せてからこう言います。

「ところで、今日はリコーダーじゃないと言うところを見ると」言いながらトンボの視線は私の左手に向けられていて、私はこれのこと?と言う代わりに持っていたものを掲げてトンボに見せました。
「私、こう見えて芸術肌なのね」
「ああ、知ってるよ、スケッチブックというんだろ、風景などをその白い布に描いていくんだ」私は鼻を高く鳴らしながら得意げに小さな胸を反らせました。
「今日はもうみんないる?」けんわ場に向かいながら何となしに訊くと、「うーん、確かみんな、いや亀さんだけは仏様のとこじゃないかな」と言うので「仏様?」
「そこに小さな森みたいなのが見えないかい、仏様があそこにいるんだよ、今日は亀さんが当番だろう」

トンボによると毎日当番を決めて仏様をお世話しているらしく、今日の当番は亀さんなんだそうです。私はそちらに行くことにしてトンボと別れて森の方へ歩いて行きますと、そこには確かに仏様のお世話に向かうらしい亀さんがの姿が、川の堤防をのっそりと乗り越えていくのが見えます。
「亀さんおはよう!私も付き合っていい?」
「やあ君か〜ぼかね、今から仏様のところへ行くのさ。遊びに行く訳じゃないのさ」私が分かってるよ、と言うと亀さんはそれじゃ、と言って歩き出した。

「こんなものあったのね、こんなところに」言ってから失言かなとも思いましたが、亀さんはそれに気にも留めず、「まあ大 だいぶ辺ぴなところにあるから〜まず人間なんかは来やしないさ」そう言いながら亀さんはおもむろに仏様のお世話を始めました。
仏様は高いところにあって直接触れは出来ませんけれど、その周りに落ちた葉っぱだとか木の枝なかを隅の方で除けたり、蜘蛛の巣があれば持ち主に引っ越させたりしていました。
私も見ているだけでは手持ち無沙汰でしたので、ささやかながらお手伝いをしながらお話をしていました。

「亀さん、この仏様の周りにいるのはなに?キリスト様かしら?」
「周りにいるのもまあ仏様のようなものさ、それにキリスト様といったら仏様の違う宗教さ。仏様は仏教、キリスト様はキリスト教、覚えておいて損はないだろうね」亀さんはそんな調子で、私だけでなく皆にもそうでしたが、人の間違いを責めることもなく、それより他の場合を見ても、まるでキリスト様もとい仏様の化身のようにお優しく慈悲深いのです。
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