まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

米国・EU独禁法のアジアへの潮流

2016-11-02 22:38:58 | 商事法務
〇 昔から米国の独禁法(Anti-Trust)、EUの競争法(Competition)は厳しいことで有名ですね。しかし、この10年の間にアジア各国でも独禁法・競争法が制定され、また執行事例が、中国(2008年施行)・インド(2009-11年)・シンガポール(2006年)・インドネシア(2000年)・マレーシア(2012年)等で起こっています。タイは1999年に施行された筈ですが、執行事例は無いようですね。一番要注意の国は、勿論中国ですね。外資系企業は監視されていますし、ガイドラインも制定されているようですが、僕は当局の恣意的・政治的な言い掛かり運用がされていると思っています。例えば、中国独禁法13条は、価格・生産量・市場分割協定は禁止、14条は再販売価格の決定等を規定していますが、15条では13条・14条の広汎な不適用が規定されています。また、13/14条にはいずれも、「国務院独占禁止法執行機関が認定するその他の独占的協定。15条にも、(6) 「外国との貿易及び対外経済協力における正当な利益を保障するためである場合」(7)「法律及び国務院が定めるその他の事由」と規定されていますので、国務院の意向(恣意?)に左右されるということでしょうか。

〇独禁法の規制は、①価格カルテル・顧客市場分割等の共同行為、②単独行為の独占排除、③合併・事業譲受等の企業結合(チェックの為の事前届出等)の3つの態様がありますね。

〇米国の独禁法は、(a)価格カルテル・市場分割・入札談合等、法律上当然違法(per se illegal)と、(2)合理の法則(Rule of reason)に照らして正当化の理由が無い場合は違法という考え方ですね(horizontalな共同生産販売等とverticalな再販売価格設定・抱合せ取引・排他条件付取引等=尚、日本では不公正な取引方法ですね)。EU独禁法も、カルテルは原則違法ですね。日本では、カルテルを当然違法とはしていません。2条2項6号では、「公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」また、日本独自の規制としては優越的地位の濫用禁止でしょうか。

独禁法違反の制裁ですが、米国は民事(3倍賠償)・刑事罰、EUは民事、行政罰(但し、各国の独禁法で刑事罰を規定しているところがあります。)、日本は民事、刑事罰、行政罰の3つともありますね(民事・刑事罰は件数としてはあまりないですね)。米国の刑事罰は、DOJ (Department of Justice)とFTC(Federal Trade Commission)が担当ですね。米国での運用もどうもアジア系(日系・韓国系)企業の摘発が多いみたいでね。米国では、カルテルは刑事事件となり、企業だけでなく担当者個人&その上司も起訴の対象です。日本在住の担当者は、当然米国の刑罰権は及ばないのですが、最近は企業が当局と司法取引(Plea bargaining)して、刑を軽くしてもらって米国で服役する例も出て来ていますね。EUのカルテルへの制裁は、①企業に対する行政上の制裁金(裁量権を保有しており多額になる傾向がある)であり個人が処罰されることはない(但し、各国の競争法で刑罰規定のある国がある)、②カルテル認定に当たり価格に関する情報交換レベルであっても違反と認定される可能性があること、③違反者を企業単独では無くグループ単位で捉える、即ち親会社も連帯責任とされるということでしょうか。

独禁法の特徴は、域外適用(効果主義)ですね。その行為の効果が及ぶ国の当局に規制の権限がある考え方です。ある製品の米国でのマーケットシェアー1位・2位の企業が、タヒチ島に行って、米国での販売先への価格カルテルを決めたときは、米国独禁法が適用され、Per se illegalで違法となります。

〇特に最近一層注意を要するのは国際カルテルですね。国際的な企業間で、一国・複数国を対象とした、①価格カルテル、②顧客分割・市場分割カルテル、③マーケットシェアー調整、④生産数量カルテル、⑤入札談合等が行われた場合は当然違法です。

〇日本の公取は、効果主義に基づく海外事業者に対する法執行が甘い・軟弱なので、経団連等は、厳正な法執行を求めていますね。

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