まさるのビジネス雑記帳

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インドネシアへの進出・合弁の設立

2017-01-11 21:01:43 | 商事法務
〇 インドネシアは、人口が2億5千万人で、一人当たりGDPも2014年にはUS$3,531になりました。ジャカルタの人口は1千万人を超えていますね。昔のジャカルタは、中古車ばかりでしたが、最近は新車ばかりですし、交通渋滞は昔のタイのバンコックのようなひどさです。しかし、0-14才の人口比率をみると25.42%ですし、若い人が多くこれから引続いて経済成長が見込まれる国ですね。というわけで、今回は、インドネシアへの進出の手順等を書いてみましょう。

〇投資規制業種のチェック
 まずチェックが必要なのは、外国企業の参入禁止・制限業種(ネガティブリスト該当)に該当しないか?ですね。Jetroでチェックするか、インドネシア投資調整庁(BKPM)日本事務所(東京日比谷富国生命ビル)に行けば、OKかどうか明瞭でないときはジャカルタの本社にチェックしてくれます。

〇 マレーシアではさすがに役所はマレー語ですが契約・定款等は別に英語でOKですが、インドネシアは、インドネシア語でないとだめですね。ですから、現地の有力代理店等と合弁会社を作り進出を検討するのが良いですね。

現地合弁相手との合弁会社設立
 ・インドネシア株式会社法に基づく株式会社(Perseroan Terbatas=PT)の設立を前提に考えてみましょう。外国投資企業をPMA企業(PMA=Penanaman Modal Asing=Foreign Investment Company)と言います。PMA企業の場合は、会社設立手続前に、投資調整庁(BKPM)に投資計画等(注1)を作成して投資登録申請書(Model1)を提出し、投資承認通知書(SP/PMA)=PMA設立登録証を取得しないといけません。

注1:現地パートナーの定款、納税登録番号、合弁契約書、事業分野、プロジェクト場所、年間生産高、投資額(Rp/US$)、製造工程のフローチャート、使用原材料の種類その他の書類・資料を添付。⇒案件毎に書類が異なるので事前確認必要。

■会社設立手続き(代理は、現地の公証人のみが行い得る)
・発起人による設立公正証書(注2)の作成と設立認可の申請ですね。

注2: 定款(会社の存続期間の明記必要=無期限でもOK)、発起人の氏名・住所・国籍等、取締役&コミサリス(監査役)の氏名・住所・国籍等、株式引受人の氏名・引受株式数

・会社設立手続概略は下記
社名申請→定款作成→設立公正証書(公証人の面前で署名必要)の取得→居住者(本籍)証明(Letter of Domicile)取得(注3)→納税者番号(NPWP)登録(注4)→PMA銀行口座開設(注5:資本金(1/4以上払込)→法務人権省に会社設立証書の承認申請(注6)→商業省へTDP(Tanda Daftar Perusahaan=会社登録証)申請とその取得(注7)

注3:必要書類=BKPM発行の投資承認通知書、事務所の賃貸借契約書、現地法人代表者の身分証明書(外国人はPassport)等

注4: 納税者番号(NPWP)及び課税事業主認識番号(PKP)の取得
NPWP申請書類:申請書、設立証書コピー、居住者証明書、現地法人代表者の身分証明書、委任状
その後PKPの取得:NPWP、事務所の賃貸借契約書

注5:必要書類=BKPMからの投資承認通知書、設立証書コピー、NPWP、払込資本は、授権資本の1/4以上

注6:申請代理は公証人のみ。承認申請受理通知後30日以内に、申請書類を提出。
  申請書類=設立公正証書の写し、NPWP、官報公告掲載手数料支払の領収書、非税国家収入領収書、資本金払込の銀行証明書
  ⇒申請書類に不備が無ければ、法務人権大臣は電子署名のなされた承認書を発行し、登記簿に会社登記手続を行い、登記手続終了後に法務人権大臣より設立認可が下りた段階で、新会社は法人格を取得する。設立認可がおりてから14日以内に、法務人権大臣は設立認可に関する事項を官報に掲載。

注7:TDP登録の有効期間は5年。そのたびに延長申請を行う。

各関係省庁への許認可申請
 ○ BKPMにおける輸入ライセンスの申請・取得(メーカは、API-P取得)
 ○ 輸入ライセンス取得後、税関の輸出入業者として登録。
 ○ 外国人労働者雇用許可申請
 ○ 土地利用に関する許可の取得⇒別項目参照

恒久営業許可(IUT)=事業ライセンスの取得
 各省庁からの許認可取得後、BKPMが発行する恒久営業許可(IUT)により事業開始が可能。

■ 優遇措置を受ける場合の手続き
【関税等の優遇処置】
○ 会社の設立登記終了後、BKPMより①投資基本許可(Izin Prinsip)と②優遇手続に関する許可(資本財の輸入許可=SP)を取得する必要あり。
→①申請書添付書類には、事業計画の説明書、プロセス説明書、製造フロー図、原料・副材料の説明等が必要
  →②工場見取り図、機械・設備レイアウト図、生産機械能力ニーズ計算書等等必要
○ 日本・インドネシア経済連携協定(EPA)による優遇処置もあるようです。

【PMA企業の法人課税上の優遇処置】
   加速減価償却制度等があります。

土地に関する規制=土地の所有権はインドネシア国民のみ
 インドネシア全土の管理権は国家に帰属し、個人・企業は土地の権利を国の許可を取得した上で保有する形態をとります。土地に関して取得できる権利は、 [1] 所有権(HM)、[2] 事業権(HGU)、[3] 建築権(HGB)、[4] 利用権(HP)、[5] 開墾権(HMT)、[6] 森林産出物採取権(HMHH)、[7] 賃借権(HS)、[8] 小作権(HUBH)、[9] 土地質権(HG)、[10] 滞在権(HM)、[11] 農地賃借権(HSTB)の11種類で、[1]~[6] は国の許可が必要ですが、[7]~[11]は当事者間で権利の移転・取得が可能。

上記[1]-[6]で、PMA企業が利用可能な権利は以下の3つ
[2] 事業権(HGU=Hak Guna Usaha):国家に属する農地を貸借して開発する権利。期間は最長35年認められ、更新も可能。
[3] 建築権(HGB=Hak Guna Bangunan):土地の上に建物を建設・保有する権利。期間は通常25~30年、必要な場合は地方政府に申請して更新できる。
[4] 利用権(Hak Pakai):国家ないし個人に属する土地を一定の期間、開発、利用する権利。期間は最長25年、さらに更新が認められる。

地域の指定、土地の指定、土地使用権の承認、建設許可の発給、公害関係法規に基づく許可は、各州投資調整局(BKPMD)でも行われます。

土地の権利は、国家土地局(Badan Pertanahan Nasional=BPN)の地方事務所により、土地台帳に登録された時点から有効。土地の権利移転は、その土地所在地の土地公証人(Pejabat Pembuat Akte Tanah=PPAT)が発行する証書に基づき行います。

土地利用の申請書には、各種書類の他、建設許可コピー、場合によっては環境影響分析承認等、環境関連の書類を要求される場合があります。
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