まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

他社株転換社債(EB)について

2014-04-04 00:27:37 | 株式関連

 

  • 他社株式交換権付社債(Exchangeable Bond=EB)とは、株式関連仕組債のうち、償還金の代わり株式で返還されるものを言いますね。特徴としては、償還時に指定された特定株の株価によって償還条件が変動する債券ですね。ITバブルの頃、証券会社がいかにも儲かりそうな言葉で宣伝して、多くの人が多額の損失を蒙ったため、なりをひそめました。この社債は、株式への交換価格の上限が設定されており、それ以上の利益(+利息)は得られませんが、株式に転換されれば株価はいくらでも下がる可能性があり、ハイリスク・ローリターンで証券会社だけが儲かる仕組債と言えます。今回は、この基本的仕組みについて一例を交えて考えて見ましょう。

     

  • 日本の上場企業(IPOを考えている会社の場合も含む)の大株主が、例えば、株価1万円の株式10万株=10億円相当の株式をCaymanSPC(Special purpose company)に譲渡します。

    そのSPCとは、第三者(銀行等)に委託して例えばCharity TrustとしてUS$1,000ぐらいのチョー過小資本で、当該株式を保有する目的のために、直前に設立されたSPCです。

    SPCは、株式購入代金10億円を株主に支払いますが、株式購入と同時に、一定の期日・条件(IPOを目指す会社の株式の場合には、IPO価格で株式に転換する等の条件)が整えば株式に転換する条件の社債を発行します。この社債を証券会社は投資家に販売するわけですね。

     

  • では、SPCが購入した株式はと言えば、信託銀行に寄託されますね。もし、このEBの購入者が1社の場合には、その購入者のために寄託された株式を譲渡担保とすることも出来ます。従い、SPCが当該上場株券の登録株主ですが、譲渡担保ですから社債購入者が所有権を有するということになりますね。

 

契約という観点から上記を見ると、

1) 社債購入者は、社債引受(Subscription Agreement)契約を締結します。

2) 譲渡担保も取得できるなら譲渡担保契約(Assignment Charge Agreement=英国法系ですのでCharge=担保という意味)も結ぶことになります。 

3) SPCは信託銀行に株式を寄託しますので、株式寄託契約(Custody Agreement)を結ぶことになります。

4) SPCは、その発行する他社株式転換権付社債の金利支払事務・管理等を信託銀行に委託しますので、これについて財務代理人契約(Financial Agency Agreement)を締結します。

 

各当事者の国・場所の事を書いていませんが、上記スキームを国際税務戦略に沿って行いますので、かなり複雑なスキームになります。まあ、EBへの投資家で儲かったという人・会社は聞いたことがありません。この種仕組債は、これをアレンジする証券会社と証券会社系の銀行のみが儲かる仕組みでしょうね.

P3230113

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国会社の株式譲渡

2013-07-06 00:17:31 | 株式関連

 

 米国企業の株式譲渡はどのようにするのでしょうか?模範事業会社法を調べました。6章にはSHARES AND DISTRIBUTIONSとありましたが、Subchapter ASharesは、授権資本、種類株式等の規定で、Bは株式の発行の事でした。 C. ではSUBSEQUENT ACQUISITION OF SHARES BY SHAREHOLDERS AND CORPORATIONと記載され株主の preemptive rights(株主は定款に規定されない限り新株引受権を有しないとかStock Optionとして役職員に付与された株式には新株引受権は無い等を規定)や自己株の取得(自己株を取得したとき当該株式は未発行株式となる)の事等が記載されており、株式譲渡の方法などの規定は見当たりません。株式の譲渡に関する規定は、米国ではUniform Commercial Code ARTICLE 8 - INVESTMENT SECURITIESなど に規定されているのですね。というわけで、今回は、米国企業の株式の譲渡の話です。<o:p></o:p>

 

 

 まず前提として、株券が発行されるのか不発行なのか、譲渡制限は出来るのかですが、その部分は当然会社法に規定されます。株券発行でも、不発行でも出来ますし、譲渡制限もできます。模範事業会社法では、§ 6.25. FORM AND CONTENT OF CERTIFICATES§ 6.26. SHARES WITHOUT CERTIFICATES§ 6.27. RESTRICTION ON TRANSFER OF SHARES AND OTHER SECURITIESに規定されています。

譲渡制限を行うときの条件は、それが明白に分かるようにしておかないと効力を生じないということですね。6.27 (b) では、「(b) A restriction on the transfer or registration of transfer of shares is valid and enforceable against the holder or a transferee of the holder if the restriction is authorized by this section and its existence is noted conspicuously on the front or back of the certificate or is contained in the information statement required by section 6.26(b). Unless so noted, a restriction is not enforceable against a person without knowledge of the restriction.」と規定しています。6.26は株券不発行会社の事ですが、株主にwritten statement of the informationを送付して譲渡制限を通知することになっています。<o:p></o:p>

 

 

 株券発行(certified securities)会社の株式譲渡 UCC§ 8-301. DELIVERY

株券が発行されているときは、株券の交付を受けたときに買主は株式(有価証券)の譲渡を受けたことになります。勿論買主本人の為に第三者が受けてもよい訳ですね。しかし証券会社も顧客(買主)の為に交付(delivery)を受けることができますが、記名式株券の場合だけに限られており、交付のときに、この株券にspecial indorsement (記名式裏書)をするかblank indorsement (白地裏書)をしなければなりません。<o:p></o:p>

 

 株券不発行(uncertified securities)会社の株式譲渡 UCC§ 8-301. DELIVERY 

発行会社が株主名簿に、譲受人の名義を登録したときに株式譲渡の効力が生じます。そのためには、譲渡人が会社に対して名義書換指図書Instructionを出状して行います。<o:p></o:p>

 

<o:p></o:p>

 名義書換 UCC§ 8-401. DUTY OF ISSUER TO REGISTER TRANSFER

記名式株券の場合には、裏書(Indorsement:白地裏書も可)した株券の交付とともに、発行会社に譲渡を登録する請求書(a request to register transfer を提出して行います。

一方株券不発行会社の場合には、発行会社に名義書換請求の指図書Instructionを提示して行いますが、その指図書はan appropriate personにより作成されたものでなければなりません。

このappropriate personですが§ 8-107(a)(2)に定義があります。(2) with respect to an instruction, the registered owner of an uncertified securityですね。尚、同条(1)には記名式株券の裏書のときのappropriate personの定義があり、(1) with respect to an indorsement, the person specified by a security certificate or by an effective special indorsement to be entitled to the securityとされていますので、譲渡人の名前が株券に記載されていますので、通常譲渡人が裏書するわけですね。

<o:p>

Dsc00293_19

</o:p>

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Tag Along & Drag Along条項の濫用

2013-03-03 11:10:46 | 株式関連

 

 最近の海外の株式・投資にまつわる契約、即ち合弁契約(株主間協定)や投資契約には、いわゆるTag Along (Co-sale) right条項とこれの裏表一体のDrag AlongBring Along)条項が入ることが多くなりました。これにならって国内のVC等も、投資契約の中で、似たような条項を入れるようになりました。日本の会社法にも自社株を会社に買ってもらって自己株にするときに、このTag Alongの類似条項があります。この条項は、Financial Investorが投資先から逃げて資金回収をはかる為に考え出された条項だと思っております。私は、きちっと事業を行うことを前提とした合弁等の事業投資を行う企業(Strategic Investor)の契約には必ずしも適切な条項ではないと思っています(勿論、状況によっては適切な場合もありますが)。この条項は米国のVC等か考え出したもので、ものまね好きの日本のVCが取り入れています。今のところ国内の事業投資家の投資契約には、渉外弁護士の知識経験をもった人にドラフティングを頼めば別ですが、まだあまりこの種条項は入っていないように思います。<o:p></o:p>

 

 

 Tag along right ? 例えば、創業経営者が過半数を持つ会社に、10-20%なりの投資をしたVCの投資契約に、創業者が株式を第三者に売却するときに、売却しようとする創業者は、その売却にVCも参加して保有株式を、持株比率に応じた売却する権利を与えるもので、創業者との投資契約に規定されます。買主である第三者は、当然契約当事者ではありませんから、VCは嫌いだからお前から株は買わないと言ったときに、どうするか迄は一般的には規定していません。勿論、規定の仕方はありますね。創業者は第三者に自社株を売却して、比率に応じた株式を、創業者自信が購入する義務を負わせるという手当も考えられます。<o:p></o:p>

 

○ Tag along類似の条項は、会社法にも規定されています。但し、特定株主から合  意の上、会社が自社株(自己株)を取得する場合ですね(従い、株主間だけの契約では駄目で、会社も契約当事者になる)。特定株主から株式を取得しようとする場合は、①他の株主に、自己を売主として追加するよう請求できる権利を与えています。しかし、②会社法156条で総会決議事項とされ、また309条で特別決議事項 となっていますし、③その総会では、特定株主の議決権は排除されますね(160)。株主平等といいますか、不公平排除の規定ですね。但し、自己株取得ですから財源規制が働きます。<o:p></o:p>

 

 Drag Along (Bring along) ? 上記のTag alongは権利ですが、こちらは義務ですね。少数株主の売却参加義務ですが、売却する株主から見れば、少数株主を道ずれ出来る権利です。創業者が、持株全部を第三者に売却するとき、他の全ての少数株主に、同時に売却義務を課す、創業者と少数株主間の契約に見受けられる条項です。買収者が100%買収を希望するときに有効ですね。仮にこの条項が無くても、買収者が2/3以上の株式を取得すれば、種々の方法で追い出されますので、VCに取っては手っ取り早く売り飛ばして、投資資金を回収する手段ですね。

 

 上記のように、Tag along & Drag alongの条項は、基本的にはVCが投資資金を回収する手段です。長期的信頼関係に基づき、合弁パートナーと合弁事業を行い、こつこつと田んぼ(事業)を育てる農耕民族の日本のメーカには不向きな条項ですね。こういった類いの合弁契約には、Pre-emption rights on new share issuesとか、Right of first refusalぐらいの規定で、良いのではないでしょうか。<o:p></o:p>

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

非公開会社のMBOの株式取得価格等

2012-09-17 23:55:07 | 株式関連

 

 今回は、非公開会社のMBOの株式取得価格についてです。上場企業のMBOについては、経済産業省がH19.8.2MBO報告書を出しています。正式名は「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する報告書」という長ったらしい名前です。MBO報告書では、上場企業がgoing private即ち、上場廃止を前提に行う場合を想定していますが、ここで言うManagement Buy-outは、その意味通り対象企業の経営者が、自分の持株比率を増やして、自分でコントロールするという場合を想定しています。

 

 全株式譲渡制限会社は、創業者が株式のかなりを持っていることも多いのですが、大企業が、事業企画者を社長に据えて、新規事業を始めた例も多くあります。ところが鳴かず飛ばずだったり、売上規模がいまいちで、大企業の間尺に合わないときとかに、その経営者が(大企業に戻る部署も無くなったりの事情があるときもあるけど)MBOを行ったりするときもあります。100%子会社の場合もあるけど、事業開始の時に合弁にしたり、取引先を入れて少数株主がいる場合もいろいろあります。最近は、大企業も選択と集中、あるいは上場企業の内部統制上の理由もあり中途半端な会社の整理に努めていますので、その会社の経営者がMBOをするというときに、親の方も売却に応じる例も多くなっていますね。

<o:p></o:p>

 

 非公開企業の場合は、別に発行済み株式を既存株主から取得する場合もありますが、同時にVC・取引先等に第三者割当増資をお願いするとともに、既存株主から株式を取得する例もあります。大企業が、その会社を作るときに頼まれて、ろくにメリットもないのに、まあつきあい出資をさせられた。しかし、経営陣がMBOするので、これを機会に売却してしまおうとする例もあるわけですね。またその対象会社と取引をしている会社等が、新たに株主として資本注入してくれる場合もあります。当然既存株主からの取得では、対象会社にcash injectionされませんから、対象会社にとっては、第三者割当増資の方が良いわけですね。経営者も、既存株の取得とともに新株を引き受ける訳ですね。

 

 では、このときのMBOの買収価格は、どのように決まるのでしょうか。売却側(=主として少数株主)としての最低ラインは、簡単です。譲渡制限会社ですから、株式は簡単に売れません。自分の出資金額プラス十分な金利を載せた金額、あるいは売却時の時価ベース純資産、いずれか高い方ですね。前者は、元本保証プラスαですね。今の定期預金金利よりましです。後者は、税法の問題ですね。低額譲渡が起こらないようにするわけですね。あとは当事者の交渉ですね。売りたさの程度ですね。少数株主ががめついこと言っても、どうせ会社の経営に影響力あるわけでもないし、少数株主側が上場企業なら、四半期毎に評価しないといけないし、最低ラインだけ確保すれば売ってしまえということも、ままあるのですね。少数株主だと、独立した第三者評価機関の算定書など、多額の投資のときは別ですが、たいした金額でもないときは、これで売却お願いしますと言えば、案外最低ラインぐらいで決着しますね。

 

 上場企業対象のMBO報告書では、①株主の適切な判断機会の確保を前提に、②意思決定過程における恣意性の排除、③価格の適正性を担保する客観的状況の確保、④その他(①の見地から株主意思確認を尊重)というまとめ方をしており、MBO 価格については、独立した第三者評価機関からの算定書等を取得するとしていますね。またH1812月には当時の証券取引法の公開買付規制で改善は計られていますし、証券(金融商品)取引所の要請もありますね。MBO報告書では、企業価値の向上するMBOなら良いとしています。相変わらずの単細胞的発想です。私が株主なら企業価値の向上するMBOなら株式を売りませんね。この矛盾の説明はありません。経営者と買収ファンドが裏で、何ヶ月も前から打ち合わせて、株価下落を招く業績下方修正を発表したりする危険性は、勿論理解しますが、売り主も何か意図的・恣意的操作されているのではと思わないのでしょうかね。まあ、上場企業で、この種の問題が起きたのは、H18年の証券取引法改正前に、レックス・ホールディングの案件がありますが、その後はこういった問題は起きていないようですね。

<o:p></o:p>

Vietnam_festival_20120916

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベンチャー企業の譲渡制限株の譲渡

2012-07-22 15:55:53 | 株式関連

 

 譲渡制限株でも株式の譲渡を希望する株主に投下資本の回収を保証する制度が会社法では用意されていますね。しかし、いったん譲渡制限株を取得したら、その会社の業績が好調で、配当をキチンとする、その会社をコントロールする、その会社が有力バイヤーであるなどの特別な事情が無い限り、譲渡制限株を譲渡するのは容易ではありません。泣かず飛ばずの会社は、譲渡人の力関係が弱いですから、譲受人の言う価格でないと買ってもらえないかも知れません。今回は、譲渡制限株の譲渡についてです。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 会社を設立するときは、普通株式は譲渡制限をつけますね。知り合いや、これから取引を行う取引先等に頼んで縁故募集で株式を発行します。暫くして少し事業が継続・拡大すると、新規設備投資等のために新株の発行を行います。VC(Financial Investor:金融投資家)又は取引先(Strategic Investor:事業投資家)等が、募集株式の引受人ですね。<o:p></o:p>

 <o:p> </o:p>

 

 事業投資家なら、自分の会社の製品を優先的に購入する条件で少し株式を取得することもあるでしょう。取引利益がキチンと確保できるなら、つきあい出資も良いかもしれません。しかし、VCの場合は、取引利益は期待出来ません。Exitは、IPOとか安く他VCが保有する株を取得する下請けVC、あるいは金に余裕ができた創業者への売却ぐらいしかEixtがありません。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 企業業績が低迷しているときVCの場合は、そもそも譲り受ける人を探すのが大変です。やっと見つけてきても譲渡価格を決める主導権もありません。簡単に折り合いません。譲受人は、価格がいやなら買うのを止めればいいわけですね。でもやっと折り合えば会社に譲渡承認申請をして承認を取得しないといけません。会社が、その譲受人が適当で無いと判断すれば、承認を拒み、自社で買うか買取人を指定しないといけません。その会社にとって買取人を探すのは容易ではありません。また自社で買い取るには、分配可能額の財源規制に該当しますし、請求者に議決権を行使させない株主総会の特別決議で承認を得なければなりません。まあ、会社としては分配可能額という計算上の金額ではなく、自社で買ったら当然現金の流出がありますので、会社として資金が回るかという心配もしないといけません。そういう事情がありますので、譲渡を希望していても、①簡単に譲受人が見つからない。②仮に見つかっても譲渡の承認が得られないと、会社に買取請求すれば良いと思っても、現実は財源規制や特別決議が待っているということで、実際上出来ない。ということでいつの間にか譲渡出来ずに半年1年とすぐに経ってしまうわけですね。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 VC等は、共同売却権や売買参加権や会社への買取請求権等を投資契約に入れますが、まあ、一回お金を入れると簡単には抜け出せません。特に日本では上場する企業の数が種々の事情で低迷しています。特に、minority出資のVC等は、Hands-onあるいは事業を育成する能力もありません。社外・非常勤取締役等として企業の経営に参画しても、毎回取締役会に出席して現状把握ぐらいしか出来ません。結局Exit出来ずに持ち続けることが多いですね<o:p></o:p>

 まあ、会社法の本を読むと、譲渡制限株でも株式の譲渡を確保して投下資本の回収を保証する制度などと言ってますが、現実はあまり機能していません。<o:p></o:p>

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国の有限公司の持分譲渡

2012-04-01 08:27:59 | 株式関連

  

○ 中国で有限公司を設立する場合、日本や欧米各国などの準則主義(法の定める手続きを踏めば設立)と異なり、許認可機関の許認可(=免許主義)が必要です。投資金額により異なり、大きな会社(5000US$以上の総投資額)の場合は、国家発展改革委員会ですが、勿論例外はありますが、一般的には省級(大都市では市政府)の商務部門が許認可権をもっています。許認可されると批准証書が発行され設立の許認可がおりますが、会社の目的の営業を行なうには営業許可証(ビジネスライセンス)が必要です。日本(海外)企業の100%子会社は、外商独資企業と呼ばれます。

<o:p></o:p>

<o:p></o:p>

○ では、日本の親会社が中国に100%子会社の有限公司を持っており、この持分を日本(中国外)の他社に譲渡する場合を考えて見ましょう。中国の会社の持分譲渡ですから、中国の?人民共和国公司法が適用されますね。独資から合弁会社にするわけです。外商合資になります。

<o:p></o:p>

<o:p></o:p>

○ 先進国や租税回避地を設立地とする会社との大きな違いは、①管理監督機関の許認可が下りなりと効力を生じない。②たとえ中国外の当事者間(非居住者間)で持分譲渡を行なっても、譲渡益が売主に発生したら、中国の税務局により10%の譲渡益課税が発生することです(この分は、後で日本で税額控除が受けられる)。<o:p></o:p>

<o:p></o:p>

 

○ 中国の有限公司を設立したことの有る人なら分かりますが、中国は、なんでも許認可の国です。会社の設立のみならず、持分の譲渡も管理監督機関の許可が必要です。<o:p></o:p>

一番の特徴は、当事者が持分譲渡契約を締結しても、持分譲渡の効力は何も発生しないのですね。何時発生するかと言えば、持分譲渡の許可申請書類を作成して、これを管理監督機関に許可申請し、その許可が下りた日が持分譲渡の効力発生日です。具体的には、批准証書が再交付されますが、そこに記載された日です。批准証書には持分保有者の名称が記載されます。そこには投資者名称、その投資者の設立地、出資額などが記載されます。<o:p></o:p>

この批准証書が出されれば、中国で必須の営業許可証等は、その批准証書に従って変更されますが、それだけではありません。税務登記証、統計登記証等の変更等も必要です。<o:p></o:p>

<o:p></o:p>

 

 持分譲渡の申請書類は、省・市政府の商務部門と工商局に提出しますが、主な書類を列挙してみましょう。但し、中国では省や市によって、少し許認可申請書類が違いますので、結局その都度市政府等の担当部局に行って聞かないと、許認可申請書類の詳細はわかりませんね。<o:p></o:p>

 申請書、持分保有者の決議書、董事会決議書、新定款、持分譲渡契約書、旧批准証書、営業許可証、資本検査報告書、財務監査報告書、現在の定款、それと持分の買主が購入するお金があることを証明する書類(銀行の残高証明書等)、買主の登記簿謄本(当然中文への翻訳が必要&日本の中国領事館での査証必要ですので、法務局で入手して、その登記官が在職中の権限に基づいたものであるとの法務局長の証明書、その法務局長の証明書は正しいとする外務省領事部の証明書を踏まえて中国大使館領事部に査証の申請を行います)等ですね。<o:p></o:p>

<o:p></o:p>

 

○ 持分譲渡で売主に譲渡益が発生するときは、中国の当該会社の所在地を管轄する税務署に、譲渡益の10%を納税する義務が売主に生じます。しかし、実効性に疑問もありますし、運用が必ずしもその通り行われておりませんが買主(お金を払うほう)に売主の譲渡益課税の税額の源泉徴収義務があり、当事会社である中国の会社はその納税に協力する義務もあります。以下の国家税??局の通知をご参照下さい。<o:p></o:p>

?于印?《非居民企?所得税源泉扣?管理??法》的通知<o:p></o:p>

<o:p></o:p>

 

 まあ、大変な手間・労力・コストがかかります。<o:p></o:p>

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国未上場企業の株式取得

2012-03-18 18:37:29 | 株式関連

 

 最近韓国に進出する日本企業が増えています。電気代は安いし、労務費も日本と比べて安い、法人税も安い、ウォンも安い、欧米とFTAも結んでいる。日本の六重苦?と比べれば、有利な点が多いので注目を浴びています。ということで、今回は、韓国の中堅未上場企業の株式取得の話ですが、新株発行の取得では無く発行済株式の取得の話をしましょう。新株発行の取得も大体同じような手続きですけどね。<o:p></o:p>

 

詳しくは、大韓貿易投資振興公社(Kotra)の日本地域本部が、東京丸の内の新国際ビルにありますので、そこに行けば、いろんな資料ももらえて説明も受けられると思います。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 

 韓国企業の株式取得は、一般的に自由化されています(一部公共事業の企業と通信事業者などを除く)。従い当事者間で自由に売買できますが、通貨危機の教訓もあるのでしょう、外国為替取引の規制があり登録等の手続きが必要です。上場株は少し違った規制ですので、以下の事は上場株には適用されません。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 まず最初は、外国為替公認銀行で対内(対韓国)直接投資報告が必要です。この報告は、当事者間で株式譲渡の契約締結後30日以内に買主が行います。これは外国投資企業登録の証明書の取得に必要です。これには以下の書類が必要です。 

a) Declaration of the stock transfer and capital reduction (添付1)

b) Foreign-invested company registration application form (添付2)

c) 株式譲渡契約書(韓国語への翻訳付き)

d) 上記に加え、普通は、韓国内で手続きをお願いする必要がありますので、そのための委任状

e) 当事者を証明する書類(登記簿謄本―履歴事項全部証明書+印鑑証明書(韓国も印鑑の国ですね)<o:p></o:p>

 

 The Korea Securities Depository

韓国の場合は、一般的には預託機関というか振替決済機関を利用します。

a) 外国為替公認銀行が登録証明書を発行してくれますので、それが必要です。

b) これにも委任状が必要です。

c) 株式発行会社が、株主変更の書面を提示します。

d) 株式譲渡契約書(韓国語への翻訳付き)

e) 当事者を証明する書類(登記簿謄本―履歴事項全部証明書+印鑑証明書

 上記により、振替決済機関に、株式取得者の名義が登録されます。<o:p></o:p>

 

 

○ その他

 日本でも昔ありましたが、0.5%の有価証券取引税を、株式の発行会社の所在地を管轄する税務署に納税しなければいけませんので、注意が必要です。これには、株式譲渡取引の報告書、株式譲渡契約書の写し(翻訳必要)、更に上記と同様に、履歴事項全部証明書と印鑑証明書が必要です。<o:p></o:p>

 

「declaration_of_the_stock_transfer_and_capital_reductionno1.rtf」をダウンロード

「foreigninvested_company_registration_application_form_no2.doc」をダウンロード

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

VCのベンチャーへの種類株投資②

2011-10-23 19:39:43 | 株式関連

 前々回の続きです。即ち、英米でVCがベンチャー企業への投資をする際の一般的な種類株や条件についてです。<o:p></o:p>

 

7) Founder shares (創業者等保有株式)―創業者や重要な従業員の保有株をどうするかの規定ですね。 創業はしたけれど経営は経営者に任せたので徐々に売却する場合もあるでしょう。逆に経営上重要なので新株発行のときには継続的に引き受けて保有比率維持もありでしょう。こういった規定を入れる場合があります。例えば最低でも創業者は議決権の20%を保有する事等ですね。株主分布と保有比率は、IPOのときの売り出し等にも関係しますね。また、従業員等の保有している株式等について、これを売却しようとするときに買い戻し等が規定される場合もあります。<o:p></o:p>

 

8) Pre-emption rights on new share issues (新株引受優先権)―これがないと希薄化してしまいますね。Preemptive Rights と言う方が一般的でしょうか?日本の場合、全株式譲渡制限会社(非公開会社)の場合は、第三者割当は総会特別決議ですから、既存株主はある意味最初から引受優先権があるといえますね。海外では、一般に英国や大陸法系の国の閉鎖会社を除けば、必ずしも総会決議を要求せず取締役会決議で出来るようですので、投資契約等で新株発行の際には持株比率相当分の新株引受権を確保するため、こういった規定を入れることになりますね。

 

9) Right of first refusal, co-sale and tag along rights (先買権、共同売却権及び売買参加権)―ある株主が自分の持株を売却しようとするときには、他の既存の株主にまずその売却申込を行わなければならないとする規定ですね。株主間協定等に記載されますね。但し、親子会社間とか100%子会社を除く例も多いですね。売却申込を受けた当事者が一定期間内にこれを受けない場合には、第三者に当初の売却条件より有利にならない条件で売却申込ができると規定しますね。共同売却権とは、ある株主(例えば創業者等が)持株を第三者に売却しようとするとき、他の既存株主も同一条件で、持株比率に応じて同じ買主に売却できる権利です。投資家によっては株式の流動性・売却可能性を制限するものとして、この規定に反対する者もいます。<o:p></o:p>

 

10) Drag along or bring along (共同売却条項)―新規買収者へ、既存株主がその持株を売却しようとするには、既存株主が例えば多数決で承認すれば、既存の全ての株主に、その持株を当該買収者に売却する義務を負わせる条項です。即ち新規買収者は、少数株主への責任を負うこと無く、100%買収が可能になります。 <o:p></o:p>

 

11) Voting Rights (議決権)普通株には議決権がありますが、ある種の種類株には通常の議決権に加え、法令の範囲内複数議決権を与えるものもあります(日本では、1株又は1単元1議決権と決まっているので、株式の種類毎に異なる単元株式数を定めることで行う必要があります)。逆に、議決権制限の株式もあります。拒否権を与えるものもありますし取締役の選任権を与える種類株式もありますね。<o:p></o:p>

 

12Protective provisions and consent rights (class rights) (保護条項・同意権)―VCによっては、会社が一定の行為を行なうときには過半数なり2/3以上の議決権(普通株・種類株)を保有する株主の同意を求める条項を入れる場合がよくあります。日本の会社法では、総会の特別決議・普通決議事項で定められていますが、例えば事業計画の変更、新規事業投資等のようにカバーされていないものもあります。従い、1億円以上の投資とか、3年以上の長期・継続的契約で事業上重要なもの等を、事前に株主の同意が必要と定める場合ですね。一般的には定款に盛り込みますね。大陸法系の国では、取締役会専権事項もあるようですので、その場合投資家は、その指名した取締役を通じて同意しますが、取締役会の承認条件・決議条件を、例えば全員同意等に過重にしておかないといけませんね。<o:p></o:p>

 

13) Board of Directors/Board Observer (取締役選任権/取締役会参加権)―英米では適切な企業統治のため、社外(業務執行を行なわない)取締役が過半数の取締役会設置が好まれます。でも小さな会社では実際的ではないですね。投資契約で、取締役の指名権が規定されることもよくあります。しかし、利害関係の衝突(Conflict of Interest)や責任の関係で取締役にはならず、取締役会参加権(Board observation right)に留めるときもあります。<o:p></o:p>

 

14) Information rights (情報提供請求権)―VCは、会社を継続的にモニターして、自分たちの投資の現状をきちんと調べて、VCへの投資家に投資・ポートフォリオの現状説明・報告をしなければいけません。その為には投資先企業からきちんと定期的に正確な情報を入手しないといけません。その情報入手の権利の確保の条項ですね。但し、大陸法系の会社では、特定の株主のみへの情報提供は株主平等原則違反であり、全株主への情報提供を義務としている国もあるようです。.<o:p></o:p>

 

15) ExitIPOや会社売却がExitですね。その為に例えば2015年までにIPOを目指す。それが出来ないときは株式を償還してほしいとかの条項が入る場合もあります。まあ、もくろみ通りIPOできない場合が多いので、途中で投資契約の内容を変えたり、IPO目標時期を延長したりするケースもありますね。<o:p></o:p>

 

16) Registration rights (証券登録請求権)米国では、IPOの公募や売り出しに際して予めSEC(証券取引委員会)に登録することが必要です。別名「Piggyback」条項とも呼ばれます。これを辞書で調べると、「肩に乗せて運ぶ事」と書いてありました。即ち、会社がその株式を公開し公募増資をするときに、株主もそれに便乗して売り出すということでこんな名前が出来たのでしょう。この「証券登録請求権」を有している株主は、会社がIPOに向けて登録するに当たり、自分の保有株式を同時に売り出せるよう登録せよと会社に要求することができます。<o:p></o:p>

 

17)  Confidentiality, Intellectual Property Assignment and Management Non-compete Agreements(守秘義務、知的財産譲渡、競業避止協定)その会社の製品が、第三者保有の特許を利用する場合等は、当然投資契約にその特許取得(又は専用実施権取得)等が盛られます。また、知的財産の発明者等が学者などでその会社の役員にならない場合等は、その者との競業避止協定の締結なども重要になってきますね。 <o:p></o:p>

 

18)  Employee share option plan(=ESOP:従業員ストックオプションプラン) VCとの投資契約の中には、従業員へのストックオプション付与とこれの行使による株式発行は、希薄化条項等の適用は無い、投資家である株主の承諾は不要と規定する場合があります。例えば10-20%までの発行の場合ですね。<o:p></o:p>

 

19) Transaction and monitoring fees(取引・モニタリング費用負担)VCによっては、投資に要した費用を投資された会社に払わせる条項を入れます。自分たちが投資したお金から負担するみたいなもので、100払って2返ってくるという訳です。ということは98の投資と変わらないじゃないかと思われますが、そうではないですね。この2の部分も投資(株式)になっていますから。また毎年モニタリング費用を求める場合もあります。結構がめついVCも多いですね。<o:p></o:p>

 

上記の他に、投資契約には、Representation and Warranty(表明・保証)の条項、その他にDue Diligenceの結果判明した事項で投資の前提となる事項の実行(約諾事項=Covenants)、実行を証する書類の提出・確認など、また違反した場合のIndemnification条項などが入りますね。海外では、数十ページに及ぶ投資契約も多いですね。<o:p></o:p>

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

VCのベンチャーへの種類株投資①

2011-10-08 21:47:17 | 株式関連

 2011106日の日経新聞には、【ベンチャー投資支援 経産省「種類株」促進、リスク減】と題して記事が掲載されています。それによると日本のベンチャー企業に対する年間の投融資額に占める種類株の比率は約10%。約80%は普通株による投資で、種類株投資が殆どとされる米国とは対照的だと記載されています。ということで、今回は英米でVCがベンチャー投資をする際の一般的な種類株や条件についてです。<o:p></o:p>

 

 日本では、VCがベンチャーに投資をする際、光るベンチャー・魅力的なベンチャーには1社でドカーンと投資をしますが、そんな良い投資は殆どありません。また、魅力的なベンチャー企業としては、事業に役立つ投資家・相乗効果の期待できる戦略的投資家を優先します(リチュームイオン電池のエリーパワー等は、大和ハウスやシャープが投資して、株式を売却する前提のVCはジャフコでも持株比率は5.85%ですね)。従い、VCの投資は大企業がまだ興味を示さないリスクの高い企業への投資が一般的なので、VCは数社が組んで投資をしますね。「赤信号みんなで渡れば怖くない」ですが、やはり赤信号なので失敗投資が多いですね。<o:p></o:p>

 

 まあ、それはともかく種類株で現実にどれだけリスクが軽減できるか別問題として、どんな種類株があるのか、またその投資の主な条件等を整理してみましょう。元ねたは、British Venture Capital AssociationのA Guide to Venture Capital Term Sheetsですので、ご興味のある方はそれをご覧下さい。<o:p></o:p>

 

1) Dividend rights (配当に対する権利。通常は優先配当株式)- 通常は配当優先権がありますね。また、累積的か非累積的かも決めます。普通株配当も加わるかどうかによって、participating(参加型) non-participating(非参加型)もありますね。例えば、a share class that has a preferential, cumulative dividend, usually fixed at a percentage of the purchase price paid for each preferred shareということですね。<o:p></o:p>

 

2) Liquidation preference and deemed liquidation* (残余財産分配優先株式)―残余財産優先でも、VC2xとか3x Liquidation preferenceを求めますね。でも、日本の場合は、残余財産優先株としても、倒産すれば殆どもらえない場合が多いのではないでしょうか。実際あまりリスク軽減にはなりませんね。

* Deemed liquidation=a term usually defined to include a merger, acquisition, change of control or consolidation of the company, or a sale of all or most of its assets, but sometimes also includes an initial public offering (IPO) or a qualified exit<o:p></o:p>

 

3) Redemption (償還株式)―会社法の制限を条件として、例えば株金払込後3年以降、払込株金+アルファ(配当決議したが未分配の配当金を加えた金額等)にて会社に償還を要求できる権利が付された株式ですね。日本の場合は、取得請求権付株式で、会社に金銭での買取が出来る株式ですね。日本では米国等と異なり剰余金の分配規制(財源規制)が厳しいですのでなかなか使えないです。また、分配可能剰余金があっても、特定株主からの自社株(自己株)取得は、総会特別決議事項ですし、他の株主もその株式取得請求に参加できるTag Along条項が会社法に規定されていますので、実際難しいですね。<o:p></o:p>

 

4) Conversion rights (転換権付株式)-日本の株式だと取得請求権付き株式で会社に取得してもらって多の種類の株式に転換ということになりますね。一般的には、転換株を取得してもらって普通株への転換が多いですが、他の種類株(日本の場合、普通株も種類株となりますが、それ以外の種類株)でも勿論可能ですね。<o:p></o:p>

 

5) Automatic conversion of share class/series(一斉転換条項付き株式)-例えば、IPO等の前に、種類株主の議決権の2/3以上の承認で一斉に他の株式(普通株等)に転換する条項つきの株式ですね。<o:p></o:p>

 

6) Anti-dilution (or price protection) 希薄化防止条項―転換株式を発行している場合に、その転換価格以下で追加のエクイティファイナンスする場合とか調整が必要となります。また既存株主以外に新株を発行すると持株比率も希薄化しますが、VCは一般的に持株比率は高くないので、投資契約で権利を確保しておれば、あまり影響を受けない場合もありますね。

  その他まだまだありますが、書くのに疲れましたので、この続きは②に記載します。<o:p></o:p>

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

株主名義人と実質上の株主

2011-02-12 00:44:40 | 株式関連

   旧商法201条では以下の規定がありました。即ち、1項では「設人名義又は承諾をずに他人名義株式引受けたものは、株式引受人としての責任を負う」との定めがあり、実際に引受・払込をした者が株主になることに異論はなかったですね。 2項では「他人ト通ジテ其ノ名義ヲ以テ株式ヲ引受ケタル者ハ其ノ他人ト連帯シテ払込ヲ為ス義務ヲ負フ」との規定(今の会社法には同種の規定は無し)があり、これについては名義人が株主となるという少数の形式説と、実際に引受・払込を行った名義借用者が株主になるとする実質説があり、大半の判例・通説は実質説ですね。

   会社法が出来ても、学者の見解は上記のとおり実質説が大半のようですね。即ち、他人(名義人)の承諾を得て名義人名義で株式を引受・払込をしても、株主は実質的に引受・払込をした者であるということですね。しかし、名義借用者が実質上の株主として会社に対して権利行使するには、株主名簿の名義書換が必要であるとしています。でもこの考え方は、おかしいですね。名義人に指図する権利があれば、名義人と実質上の株主を分けても問題ないと思いますけど。

   私は異端児ですから、形式説ですね。株式の法律関係は画一的にかつ形式的に大量の処理をしなければならない特性を有し、法的安定性が必要ですからね。また昨今は、ファンド名義とか、信託財産は受託者(信託銀行)とかの形式的名義人が増えてきています。実質上の株主が誰か等と言っても分からないことが多いのですね。ですから、この現実すなわち形式的な名義人が増えていることを踏まえて、形式説でOK、但し、それをどのように整理するかを考えるべきだと思います。

   即ち、①株式の名義人、②議決権の実質的行使者(名義人に議決権行使を指示する権限ある者)及び③実質的に引受・払込を行う者又は株式取得費の負担者の3つは、もう分離可能・バラバラを前提として考え、この3つの関係間のルールを確立すべきだと考えています。

   実質説・判例は昔からあったのですが、昔から名義人を立てて、形式的に行われてきましたね。金融商品取引法では、その現実を踏まえた規定を置いています。大量保有報告書に記載する保有者には他人名義をもって株券等を所有する者も含みます。27条の233項本文では「保有者には、自己又は他人(仮設人を含む。)の名義をもつて株券等を所有する者」等と言っています。

   しかし、名義人について、やりすぎの場合は、有価証券報告書虚偽記載になります。有名なケースは西武鉄道事件ですね。200410月に西武鉄道の大株主であるコクドが、保有する西武鉄道株を1000人以上の個人名義にしていたことが明るみに出ました。東証では、上場会社の上位10位までの大株主が保有する株式の合計が80%以上になると上場廃止になると定めていますが、コクドをはじめとする西武グループ10社が保有する西武鉄道株は88%を超えていました。つまり、コクドは上場廃止を避ける手段と高株価維持対応として、40年以上にわたり、多くの株式を個人名義にしていたのですね。

   西武のケースは上場廃止逃れと株価の高価格維持の操作ですね。この場合はやはり違法としか言いようがないでしょうが、別に名義人という視点では、多くの企業が行っています。やはり、名義人、議決権の実質権限者、お金の負担者の3者間の関係の整理とルールが必要なのではないでしょうか。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元本保証の株式買取OK?―最高裁判決

2010-07-18 21:58:02 | 株式関連

     日本的な株価算定・株式買取が是認されましたね。アパマンショップホールディング(=HD)の子会社株式の買取価格を巡り、株主が経営陣に損害賠償を求めた株主代表訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は715日、株主側の請求を認めた二審東京高裁判決を破棄し、経営側逆転勝訴の判決を出しました。実に変な理屈の判決ですね。

     評価額1万円前後の株式を、5年前の払込金額と同じ5万円で買い取っても、「事業再編の効果による企業価値の増加も期待できたことからすれば、-- --  著しく不合理であるとはいい難い。」と判決は述べています。これじゃ元本保証ですね。株式って元本保証の金融商品でしたっけ??また、「設立から5年が経過しているにすぎないことからすれば、払込金額である5万円を基準とすることには、一般的にみて相応の合理性がないわけではなく」とも判決は言ってますけど、株式買取価格は、払込金額が基準になるというものおかしいし、「5年が経過しているにすぎない」というのも大正・昭和時代の時間感覚ですね。私には5年も経過しているのにと思いますが。

・ まあ、勿論分からないことはないですけどね。ビジネスにメリットのある取引先に頼んで、少数株主になってもらう。経営にも口出ししないおつきあい出資。少数株主に、「元本+金利、あるいは元本だけ戻して、今後も宜しく」っていうことは、実は結構あるんですね。理屈はおかしいけど。

     事案の概要は以下のようですね。アパマンショップHDは2006年、月決めマンション事業を手がける傘下の「アパマンショップマンスリー」(2001年頃設立で、HDが66.7%株主)を完全子会社とする事を計画。マンスリーの少数株主は、①フランチャイズ事業加盟店等と、②紛争が生じ買取申し出に応じない株主がいた模様。①の株主については、株主の払込金額の1株当たり5万円(総額1億5800万円)で買い取り、②の紛争株主とは株式交換で強制的に上場企業のHDの少数株主としたようです。

     上記②では紛争株主保有株式を株式交換しますから、監査法人2社から交換比率算定書を取得。1社の評価額は9,709円、もう1社の評価額は、類似会社比較法で、6,56119,090円とされたようです。

     上記評価額のマンスリーの株式を、HDが5万円で①の株主から買った訳ですね。ということで、HDの株主が、経営陣はHDが不当に高く株式を買ってHDに損害を与えた、即ち、HDの取締役は善管注意義務違反があり、取締役は任務を怠り、会社法4231項により、会社に対して損害賠償責任を負うということで、HDの株主代表訴訟を行ったわけですね。

     HDの経営会議では、1)完全子会社とする必要がある。2)円滑な事業遂行を図る観点から、株式交換ではなく、可能な限り任意合意の買取を行う。3)買取価格は、払込金額である5万円が適当とされたようです。弁護士意見は、経営判断の問題であり法的に問題ないこと、任意買取における価格設定は、必要性とのバランスの問題であり、合計金額も高額ではない、加盟店との関係を良好に保つ必要性があるのであれば許容範囲であるとの意見だったとこのこと。ということで、①の株主から1株5万円で3,160(15800万円)を買い取り、②の株主に対しては株式交換で、マンスリーの株式1株につきHD0.192株の割合をもって割当交付されました。

     弁護士の意見も面白いですね。「任意買取における価格設定は、必要性とのバランスの問題」と言っています。その通りですね。いろいろ株価算定の方式はありますが、結局力関係、売りたさと買いたさの程度と背後事情によって(非上場株式の)株価は決まりますからね。法的にはこれで問題ないでしょう。でも税務上問題が生じる場合がありますから注意が必要でしょう。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

株式譲渡契約の会計上の認識について

2009-01-06 13:48:19 | 株式関連

     このブログでは、頻繁に会社法にクレームをつけていますが、今回はちょっと趣き(?)を変えて、「有価証券の売買契約の認識」について、日本公認会計士協会の定める金融商品会計実務指針#22についての「けち」です。この実務指針では、以下の様に定めています。

有価証券の売買契約については、約定日から受渡日までの期間が市場の規則又は慣行に従った通常の期間である場合、売買約定日に買手は有価証券の発生を認識し、売手は有価証券の消滅の認識を行う。ただし、約定日基準に代えて保有目的区分ごとに買手は約定日から受渡日までの時価の変動のみを認識し、また、売手は売却損益のみを約定日に認識する修正受渡日基準によることができる。約定日から受渡日までの期間が通常の期間よりも長い場合、売買契約は先渡契約であり、買手も売手も約定日に当該先渡契約による権利義務の発生を認識する。」

     結論を先に言いますと、上場株券についてはこの処理方法でも構いませんが、未上場企業の株式譲渡については、全くおかしな処理方法ですね。未上場企業の株式譲渡については、契約締結日ではなく、(a) 株券発行会社は、株式譲渡の効力発生要件である株券を交付する日を会計上の譲渡の日とし、また(b) 株券不発行会社の場合は、当事者の定める株式譲渡の日を、会計上譲渡を認識すべき日としないとおかしいと思います。

     株式譲渡の方法は以下ですね。

① 上場株券の株式譲渡:15日に株券電子化(株式等振替制度)により上場株券の株券は無効・廃止されました。「振替株式」になったわけですね。従い、譲渡等の効力は、譲受人の証券会社の口座に、株式数の増加の記載・記録がなされることにより、その効力が生じます。従来の処理は、以下ですね。株式の買い注文が成立(=約定)した場合、原則として購入が成立した日から通常4営業日目(約定日を含みます。T4と言われます)に受け渡しがされます。即ち株券が譲渡され代金が支払われます。個人の場合等は、原則として、買付注文に際して買付代金の事前に預けます。

② 未上場企業の株式譲渡

-1 株券不発行会社の株式譲渡:株式の譲渡は意思表示で効力が生じると解されています。

-2 株券発行会社の株式譲渡:法128条①②の規定は以下です。

1株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。

2項 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。

     企業会計は、発生主義・実現主義により認識しますね。発生主義とは、現金を支出した時点でコストを認識するのではなく、経済的事実が発生した時点において認識するという考え方ですね。また実現主義とは、収益を実現の時点で認識するという基準です。

○ 売買当事者の認識はどういったものでしょうか?

  上場株券の場合は、約定日に売買契約が実行された、受け渡しはその事務処理だという認識が一般的ではないでしょうか。特に個人等の場合は、証券会社に事前に購入代金を預けておかないと買注文を出せませんしね。従い、実務指針22通りの経理処理でもよいと思います。

② 未上場株式の売買の場合の当事者の認識はどういったものでしょうか?

-         株券発行会社の場合は、株券の交付が効力発生要件と会社法に規定されていますが、当事者の常識として、株券も渡さずに株式譲渡をしたとは思わないでしょう。通常は、株券交付と株金とは同時履行ですよね。事情があって株金の支払が事後になる場合もあるかもしれませんが、株券交付とともに、買主は代金支払義務を負うことになります。従い、株券の受渡を行う事によって、経済的事実が発生し、収益が実現すると認識しますね。株券の交付だけで株式売買を実行する場合もありますが、事前に株式譲渡(売買)契約を締結し、その中に譲渡株式の内容・金額・株式譲渡の日等を定める場合も多いですよね。株式譲渡契約の締結日は、経済的事実の発生した日ではありません。経済的事実の発生を予定した法律行為を行った日です。どうして、契約日(約定日)を、会計上の認識をすべき日と定めるのか、おかしいと思います。約定日に売買・受渡を実行するケースもありますが、約定日=法律行為の日の後に株式譲渡日(=経済的事実の発生日&収益実現の時点)を定める場合も多いですね。

-  株券不発行会社の場合は株式譲渡は、当事者の意思表示で効力が生じるとされています。親族間の譲渡なら契約書は要らないかもしれませんが、企業間の譲渡なら当然株式譲渡契約書を締結します。その契約書の中に株式譲渡の日を定めます。当事者が、株式譲渡の日と定めた日を会計上認識すべき日とすべきですね。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おかしな種類株式の規定の仕方

2009-01-01 15:44:41 | 株式関連

     種類株式についての規定が会社法第二編株式会社第二章株式第一節総則の108条に規定されています。これを受けて第四節第三款・第四款(166-173)等にも規定されています。おかしな規定の仕方です。

108①各号に種類株式を規定しています。

-      I,II,IIIは、剰余金の配当、残余財産の分配、議決権行使条件付株式で、内容に差を設けることができるとしています。株式の内容ですから、内容が異なれば異なる種類だと言えますけど、他の内容と組み合わせもできますね、例えば、配当優先株にしても取得請求権等をつけて普通株への転換条項等も付けることもできます。IIIの議決権行使条件付株式を、議決権制限株式として、株主総会の全部または一部の事項について議決権を行使することができない株式であると学者等が定義しています(神田会社法7P74)。条文では「株主総会において議決権を行使することができる事項」と規定しています。「できる」と「できない」は、この場合はコインの表裏なのでそれでも良いのかもしれませんが、ちょっとひっかかります。議決権制限の制限という言葉が良くないのかもしれません。例えば、「この種類株式の株主は、309②の特別決議事項(+特殊決議)については、議決権を有する」と定めると行使できる事項を定めた事になりますね。

-          IVは、譲渡制限株式です。これは、株式の属性であり、単独で成り立ちえません。これを種類株式の一つとして構成するのは、全くおかしな話です。

-          V,VIは、取得請求権付株式、取得条項付株式ですね。これは、株式の種類と言っても、株式の内容と言ってもいいですね。従来は償還株式と言ったものですね。償還株式とか償還請求権付株式となぜ言わなかったのでしょうか。従来は、強制償還株式、義務償還株式、任意償還株式と言っていたものですね。変な用語です。

取得請求権付株式というのは、株主から見たときに会社に取得請求できる権利が付されたものですね。一方、取得条項付というのは、会社から見たときに取得できる株式ですね。V,VIでは、会社側、株主側と見方が異なります。

取得して自己株式として消却する場合、あるいは、株式の取得と引き換えに他の財産(主として他の種類の株式)に転換する旨の規定をします。株式の内容として上記のI,II,IIIの内容・性質を持たせることもできます。例えば、優先配当の優先株式を普通配当・普通の議決権を有する普通株式に転換できる場合等ですね。従来は、転換株式とか転換予約権付株式と言っていたものですね。

取得して自己株式にしても、株式の種類は変わりませんね。消却すればなくなります。転換という、一種の変身する内容を持つものもあります。

引き換えに交付する財産ということで、例えば普通株式に転換しない場合もありますので、転換株式というわかりやすいコンセプトを無くしてしまいましたね。分かりにくくしています。

-          VIIは、全部取得条項付種類株式ですね。100%減資をやりやすくするために設けられた制度趣旨とは異なり、現実的には、SPCを組成して、少数株主を排除して、その100%完全子会社化する方法として利用されていますね。

-          IIXは、拒否権付株式ですね。まあ、あっても良いかもしれませんが、IIIの議決権行使条件付株式の内容として定めることもできると思いますね。

-          IXは、取締役・監査役選解任権付株式ですね。IIIの議決権行使条件付株式の内容の一種として規定すれば足りますね。委員会設置会社及び公開会社は、この種類の株式は発行できないですけどね。

     種類株式の規定は、性質・内容、コンセプトの違い、従来の考え方との一貫性等を無視して、主な種類の株式及び株式の異なる内容を「ごちゃまぜ」にした規定です。この規定の仕方は、「なんやねん!」ですね。I&IIは、株主の権利としては自益権です。IIIは共益権という視点での規定です。IVは属性です。V,VI&VIIは、株式の種類です。IIX&IXは、IIIの議決権行使条件付株式の内容の一つです。全くおかしな規定の仕方です。もっと、考え方に筋の通った規定に変更すべきですね。その切り口としては、以下ぐらいでしょうか、この切り口に、付随的属性として譲渡制限付きか否かということではないかと思います。

1)      剰余金の配当、

2)      残余財産の分配

3)      議決権行使の範囲と内容、

4)      償還株式か否か、どちら側がその請求ができるのか

5)      転換権付きか否かと、何に転換されるのか

もうちょっとすっきりした規定に出来なかったのですかね。

コメント (7)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

株券不発行会社の株式譲渡

2007-04-09 16:38:34 | 株式関連
○ 昔の商法では「会社成立後・新株払込期日後遅滞なく株券を発行する事を要す(旧商法226条)」とか、「株式を譲渡するには株券を交付する事を要す(旧商法205条)」というような規定がありましたが、H16年に大改正が行われ、株券廃止会社とすることが出来るようになりました。会社法では、更に株券不発行が原則とされ、発行するときは定款にその旨の定めをして発行することになりましたね。

○ 従来、未上場企業では、株式の変動も少ないため、あまり株券は発行されていませんでした。しかし、株式譲渡の際は、株券を作成して(手抜きのときは、文房具屋さんで株券のひな形を買ってきて、必要事項を記載して)交付していました。あるいは、この株券作成も手間と厭うときは、不所持申出書(株主→会社)とその不所持申出受理通知書(会社→株主)等のオリジナルを、譲受人に渡して株式譲渡としていましたね。

○ しかし、株券不発行が原則とされましたので、今後は株券不発行会社が多くなると思われます。また、従来の株券発行会社も実際は株券を発行していないのに、登記簿に株券を発行している旨、職権で書かれちゃいましたしね、「こりゃちょとまずい」と思う会社も出てくるでしょうから、定款から株券発行の規定を削除するなり、株券は不発行とする旨の定款の規定を設けて、登記の変更を行う会社も出てくると思います。

・ そして、その内に株式譲渡が出てきます。そうした場合、即ち株券不発行会社の株式の譲渡はどうしたらいいのでしょうか。株券不発行会社の株式譲渡を実際どの様に安全に行うかを考える必要がありますね。

○ 株券不発行会社の定款の規程等:
株券不発行会社の定款には、多分以下の様な規程があると思います。
・「名義書換を請求するには、株主又はその一般承継人と株式の取得者が共同して、所定の書式(*)による請求書に署名又は記名押印し、これを提出しなければならない。」
・「株主は,本会社に対し,株主名簿に記載された事項を証明した書面の交付を請求することができる。」(この規程が無くても証明書発行請求すれば良いですけどね)

○ 株式譲渡の手続き:
現在どういった慣行が形成されつつあるのか知りませんが、通常は以下ぐらいではないでしょうか。
1) 事前に株式譲渡契約書を締結
2) 譲渡人等から、会社の取締役会等に譲渡承認申請
3) 譲渡日に譲渡人は名義書換請求書(本会社宛*)に株主届出印を押印して譲受人に交付
4) 譲渡日に代金を支払い
5) 譲受人が記名押印して名義書換請求書を本会社に提出
6) 本会社は、株主名簿に記載・記録し、株主証明書(=株主名簿記載事項証明書)を譲受人に発行

* この請求書の記載事項:譲渡株式の種類・数等。譲渡人は、本会社の株式を譲受人に譲渡したので名義書換してほしい旨。譲受人は、譲渡人から譲り受けたので名義書換を請求する旨。

上記の3)&4)を同時に行っても良いですし、3)-6)を同日に行ってもよいですね。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黄金株発行会社の普通株等の上場

2007-02-24 00:15:58 | 株式関連

○ 「合併等の特別決議事項や取締役の選任等の重要事項に拒否権を有する黄金株を発行している会社の、普通株・種類株等の株券の上場は認めない」とする上場規則試案を、当初、東証は発表しました。しかし、政財界から強い反発が出ると一転して容認し上場企業にも条件付き(株主総会や取締役会の決議で消去できる場合に限って認める)で認めると方針を変更しました。

     皆さんは賛成ですか、反対ですか、あるいはその他の代替案なら構わないか、如何でしょうか。

私は、黄金株発行会社の普通株式・種類株式の株券の上場は、まあ特別な理由・誰しもなるほどと思われる理由が有る場合は、例外的に認めても仕方ないと思いますが、原則反対ですね。

特別な理由日本の安全保障等が考えられますね。

私の知る限り日本で唯一(多分)黄金株を発行している上場会社は、国際石油開発帝石ホールディングスですね。日本の石油・天然ガス確保を行う国策会社から出発しましたからね。経済産業大臣が、黄金株=甲種類株式1株の株主ですね。普通株でも、経済産業大臣は29.35%の株主であり、他の株主は、同社と共同して利権などをもつ石油会社・商社等の安定株主であり、まあ安定株主比率70%ぐらいでしょうか。

○賛成論と反対論

・政財界の主張:過剰規制だ。一律に禁止するのはおかしい。多数の株主の意思で消却できるのであれば、開示した上で上場を認めるべきだ。禁止すれば、親会社が過半数の株式を取得し、実質的に拒否権を持つ子会社上場を認めていることと整合性が取れない。

会社法で認めているものを東証が認めないのはおかしい等が言われました。

・投資家等の主張:東証の方針が覆されると日本市場への信頼を損ね、資金が流出することにつながりかねない(企業年金連合会)。新規上場でも原則認めるべきではない(学識経験者)→東証の方針は変更されたが資金流失は起こらなかったですね。

○黄金株は株主平等の原則(ここでは従来の考え方。会社法では、「各株式の内容が同一である限り同一の取り扱いがなされるべきである」と株式平等という視点ですが)に反していますね。多額のお金を投資して経営に影響力を与える比率を買収確保して、いざ取締役を送り込もうとしたら黄金株で拒否では、何の為に株式を購入したかわかりませんからね。勿論、会社の内容をきちんと調べないで、そんなに莫大なお金をつぎ込む人もいないとは思いますが。

個人投資家には、この会社は黄金株を持っているぞという、黄金マークでもつけて、誰でも直ぐにわかるようにしておいて貰わないと困りますね。株主・持株分布、株価の動きがやはり黄金株発行会社は、他の同種・類似会社と違うでしょうしね。素人の投資家は、きちんとEDINETや会社のホームページ等読まないですからね。

○黄金株論議がされた0512月ごろ、会社法で認めるものを東証が認めないのはおかしいという発言をされた大臣の方もおられますが、父ちゃん母ちゃん会社から社会に大きな影響力を持ち株式を公開している会社まで律する会社法と、証券取引法でも規律しているも公開株とはちょっと違うような気がします。

○証券取引法は、国民経済の適切な運営及び「投資者の保護」に資するため、有価証券の発行・売買等の取引を公正ならしめ、且つ流通を円滑ならしめることを目的とした法律ですね。「投資者保護」ですね。

私が気に入らないのは、東証は、「投資者」をはじめ市場利用者の視点に立って、高い信頼性と利便性を備えた健全な市場の構築を目指し、豊かな社会の実現に貢献することを企業理念とすると公に宣言しています。政治家や経済界の言っている事を尊重しますとは言っていません。しかし現実は、政府・経済界の意向に従って、ころりと態度を代えてしまったということです。これでは東証など信用出来ないと思いたくなるということです。方針を変えるなとは言いません。何故変えるか、東証内部でもしっかり議論の上合理的理由をしっかり開示・説明してから変えて欲しいと言うことです(東証内部でも議論したでしょうけど、少なくとも私の目には圧力に屈したと写りました)相変わらずの投資家(特に個人投資家)軽視ではないでしょうか?

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする