まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

『そして父になる』

2013-10-24 12:57:52 | 人間文化論

先週、映画 『そして父になる』 を見てきました。
正しい福山雅治ファンでもないし、カンヌ映画祭と言われても特にピンと来ないし、
当初見に行くつもりはありませんでした。
しかし、Facebook 友達の何人かが公開直後に見に行って、Facebook に記事を書いてくれていて、
それで大まかなあらすじがわかり、これはぜひ見に行かねばと思うようになりました。
私、血のつながりという類の話がキライで、
(昔で言うと 「赤い」 シリーズとか最近なら 『ライオンキング』
二世議員や二世タレントも毛嫌いしておりますが、
その反動として、以前にも書きましたが、血のつながらない親子ものの物語が大好きです。
角田光代の 『八日目の蝉』誉田哲也の 『ソウルケイジ』
東野圭吾の 『カッコウの卵は誰のもの』 などどれも大好物です。
『そして父になる』 はテーマがずばり子どもの取り違えということで、
これはどちらにも転びうる素材です。
本当の (血のつながっている) 子や親を探し求めていくという方向にも発展できますし、
血はつながっていなくても時間を共にした子や親のほうが大事というまとめ方もできます。
まあたぶんみんな知っていると思うのでネタバレしてしまいますが、













(いやいや、まだこれから見るつもりの人がいるかもしれませんね。
 そういう人はここから先を読むのはやめて、早く映画を見に行きましょう!
 もう見てしまった人、一生見るつもりのない人だけ先に進んでかまいません。)













この映画はけっきょく私の好きなタイプのほうの話に落ち着いてくれました。
めでたし、めでたし、見てよかったです。
映画のホームページにはこんなキャッチコピーがありました。

「息子を取り違えられた二つの家族
 血のつながりか、共に過ごした時間か。
 突き付けられる慟哭の選択」

いい対比だと思います。
本編中にも、仕事が忙しくて息子のために時間を取ってあげられない主人公に対して、
しがない町の電気屋であるもう1人の父親が、
「父親は時間だ」 (よく覚えていないけどそんな感じのセリフ) と断じるシーンがあって、
なんかリリー・フランキーのくせにやけにカッコよく見えたものでした。
そう、まさに私が前に論じたあの問題、
「愛は時間である」 という主題がここで繰り返されているのです。
親子の愛もまた相手のためにかけた時間に比例するのです。
その時間のつながりのほうが遺伝子のつながりよりも強いのは当たり前でしょう。

この映画、実は意外と複雑なのは、主人公の福山雅治のほうは6年間育ててきた息子にも、
これまであまり時間を割いていませんでした。
だから今ごろ現れた電気屋に、これまで育ててきた子どもも取られそうになってしまいます。
今まで負けを知らずに生きてきた主人公は2人のつながりに嫉妬して、
一時は血のつながった息子のほうを選んでしまうのですが、
彼が嫉妬したのは彼らの血のつながりに対してではなく、
彼らの濃密な時間によって芽生えつつあった愛に対してでした。
その彼がどう変わっていくのか。
たしかにこの映画は息子を取り違えられた二つの家族の物語ですが、
タイトルが意味している主人公は、あくまでも福山雅治ただひとりだけでした。
その重たい要の役に福山雅治というキャスティングでよかったのか、
いろいろな意見があるところでしょう。
そこそこの福山ファンとしては十分見応えがありましたが、
別の役者が演じたらどうなったか興味がないわけではありません。

ところで、親子にとって時間が大切であるというのは、
人間が 「本能の壊れた動物」 であり、
「文化を伝達・学習しなければならない動物」 であるということから必然的に帰結する結論です。
文化の伝達・学習には長い時間が必要だからです。
人間は遺伝によって伝えられるものよりもはるかに文化の伝承によって得るもののほうが多いです。
にもかかわらず日本人はなぜこんなに血のつながりが好きなのでしょうか?
議員にせよ、タレントにせよ、スポーツ選手にせよ、二世や三世の人気って高いですよね。
長い時間をかけてそういう文化を作り上げてきたからなのでしょうが、
近代合理主義者の私としてはそこのところがどうも納得いかないのでした。
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2 コメント

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Unknown (神崎和幸)
2013-10-24 18:22:23
こんばんは。

自分もこの映画見ましたよ。

これは派手に見せたり、大げさにしたり、奇をてらったりするのではなく、
地味でも地に足のついた、何かを訴えかけてくるような作品だったと思います。

それぞれ全く違う環境で育った子供たちのキャラクターも説得力がありました。
親の顔色を見ていい子でいようとする姿、子供らしい子供の自由奔放な姿、
どちらも本当に強く胸を打たれました。
豪華キャスト (まさおさま)
2013-10-25 16:47:58
神崎和幸さん、コメントありがとうございました。
「派手に見せたり、大げさにしたり、奇をてらったりするのではなく、
地味でも地に足のついた、何かを訴えかけてくるような作品」
という評はまさにそのとおりだと思います。
子どもたち、それぞれの妻、それぞれの親、共演者たちがみんなよかったですね。

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