がん(骨肉腫)闘病記

本ブログは、アメブロ掲載の「ガン闘病記~骨肉腫になって~+α」を転載しています。

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東電に公的資金を投入するなら、まずは株主と経営陣の責任を問うべき

2011年04月28日 | Weblog
2011年04月25日 23時29分29秒

小宮一慶(こみや・かずよし)の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」



URL http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110421/267778/?ml  



「 前回 、東京電力の命運は政府がどこまで肩代わりするかに懸かっているとお話ししました。今回はそれに引き続き、東京電力がどのようなやり方で損害賠償をしていくのか、また負担はどう分担すべきかなどについてお話ししていきます。
 結論は、もし東電が損害賠償などで実質債務超過になり、かつ、公的資金を投入するというのであれば、株主責任、経営責任をきちっと問うべきであるということです。そして、社債権者や金融機関にも幾分かの負担をお願いするべきだと私は考えます。



東京電力だけでは、損害賠償を支払えない



 現在、東電の損害賠償を行うために「原発賠償機構」の設立が検討されています。前回 もお話ししましたが、原発問題に関する被害額がどこまであり、そのうち政府あるいは、検討されている原発賠償機構がどこまで肩代わりするかで東京電力の命運が決まります。逆に言うと、「一義的には東京電力で全て補償しなさい」ということであれば、おそらく東京電力自身ですべてを賠償することはほぼ不可能と考えられます。(東電の財務内容や、キャッシュフローについては前回 に詳しく説明しました。)

 賠償額によっては何兆円も債務超過になる可能性がありますが、それを放置すると銀行は資金を貸さず、現状でも発行ができなくなっている社債の発行は不可能になります。そうなると、会社更生法なり民事再生法なりを適用して、倒産するしかなくなります。もちろん、それは会社のオペレーションをやめるということではありません。電力会社としてユーザーに電気を供給する責任はありますし、東電がオペレーションを止めるという選択肢はありません。あくまで、公的資金を入れずに放っておくと、株式会社として法的な破綻処理をせざるを得ない状況に追い込まれる可能性があるということです。

 じゃあ、どうすればいいのか。ここで、いくつか考えなければならないことがあります。



当然のことながら、東京電力は損害を受けた人たちに補償をしなければなりません。おそらく、その規模から考えたら、先に話したように、東京電力だけでは、損害賠償を支払うことはできないでしょう。

 すると、政府あるいは賠償機構が肩代わりをせざるを得なくなりますが、それをどのような形でやるか、というのが問題になります。つまり、東京電力が負担しなければならないものを、政府が肩代わりするのか、原子力賠償法の枠内でやるのか、もしくは特別法を作って第三者なりが対処するのか。いずれにせよ、東京電力に損失を出させたら、高い確率で債務超過になります。

 ここで一つ、頭に入れておきたいポイントがあります。それは東京電力が抱えている負債額です。バランスシートの「負債の部」を見てください。

 2010年12月末で、「流動負債」の中の「1年以内に期限到来の固定負債」が1兆151億5800万円、「短期借入金」が3846億4500万円。つまり、短期で返済しなければならない借金だけで約1兆4000億円あるのです。

 それから、「固定負債」の「社債」が4兆5046億3300万円、「長期借入金」が1兆5666億7700万円。合計で約6兆円あります。



株価はゼロにすべき



 つまり、全部で約7兆4000億円の有利子負債を抱えているのです。それにプラス2兆円ほどさらに銀行から借りたわけですから、東京電力は10兆円近い借入金を持っているということです。

 これで倒産して、民事再生するということになると、社債権者や銀行の負担額にもよりますが、社債を持っている投資家や銀行が大きな損失を被る可能性が出てきます。東京電力が破綻すれば、場合によっては銀行などに兆円単位で損失が出る可能性があるわけです。

 ですから、その銀行や社債を持っている人(個人や機関投資家)をどう保護すべきか、という問題が出てくるのです。ここが難しいところだと思います。

 資本主義の原則からして、東電の株式を持っている人たちは、これで儲けようと思って買ったわけですから、債務超過になって公的資金が補償の一部を肩代わりするといった段階で、株価はゼロにすべきです。つまり、株券を紙くずにするということです。それは、日本航空が破綻した時と同じです。

 確かに電力会社は公共性が高い企業です。国がある程度支えるのは仕方が無いという意見もあるでしょう。しかし、それは事業継続を支えるという意味で、資金運用の目的でリスクをとった株主まで完全に保護するという意味ではないはずです。



資本主義の原則を守るべき



 とくに、公的資金を入れるとなると別です。つまり税金を投入するわけですから、それに納得してもらうためには、株価をゼロにしないと、おそらく世論は収まらないということです。関東圏に住んでいる人たちだったら、電力を供給してもらうという恩恵がありますが、関東以外の人は、なぜこれを公的資金(=国民のお金)で負担しなければならないのかという話になるでしょう。一義的に東京電力と政府が悪いわけですからね。

 もし株価をゼロにしなければ、「電力会社はどんなことがあっても絶対に潰れないから、持っていて必ず安全だ」ということになってしまいます。結果的に公的資金で既存株主の利益を図ったことになるわけです。そんなことはあってはいけないことで、それは資本主義の原則に反します。リスクとリターンの関係をゆがめてはいけないし、公平性の観点からも大きな問題があります。

 下の表は、東京電力の大株主の名簿です。



 筆頭株主が日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社とありますが、これは具体的には海外の投資家か年金基金などが持っていると考えられます。以下、大手保険会社や大手銀行、東京都などが名を連ねています。これらの企業や組織も、期末で大分評価損を出さないといけないでしょう。



東京電力の債務カットは金融不安を招く可能性



 次の問題は、公的資金を使って破綻処理を行う場合に、有利子負債を持っている人たちの負担をどう考えるかということです。有利子負債だけではなく、発電所に納入している人たちもいますので、もし、法的に破綻処理するとすれば、その人たち全てに「払えません」と言ってしまうのかどうかも問題です。もし支払わないという選択をとれば、大変なことになります。額も規模もJALの比ではありませんからね。

 有利子負債を貸している人たちに、社債と借入金をどこまで負担(=減額)してもらうか。ここは政治的に決着させないといけません。

 しかし、ここでもまた問題があります。兆円単位で損失を出してしまうと、一部の金融機関まで信用不安に陥る可能性が出てくるのです。つまり、金融危機まで発生させてしまうことも考えられるということです。この状況で、金融危機まで引き起こしてしまったら、日本国としては大変なことになってしまいます。

 ただ、東京電力は原発の事故処理が安定さえすれば、将来的にはコンスタントに収益を生み出せる業態です。ですから、あまり有利子負債を減らすことを考えなくても、被害の補償さえしてしまえば、数年後からは事業もある程度は安定化し、返済も順調に回るのではないか、と考えられます。

 4月15日付けの日本経済新聞朝刊に『原発賠償へ保険機構案』という見出しで取り上げられた専門組織「原発賠償・保険機構」(仮称)もそんな考えに沿ったものだと思われます。記事によると、新機構が東電の補償支払いを肩代わりし、その代わりに優先株の割り当てを受け、配当を受け取る。東電は配当で補償資金を実質的に分割払いするかたちだ。電力料金が高くなり過ぎないことにも配慮するとしています。ちなみに、この記事では株主の責任には触れられていません。



経営陣は全員退職すべき



 政府はこの先、政治的にも財政的にも難しい判断を迫られるでしょう。国民からコンセンサスを得られる形で処理していくしかありませんが、もし、その機構に公的資金を使うとすれば、それが容易ではないのです。

 事故直後に、経営陣が2割ほどの報酬をカットしたという報道もありましたが、その程度で済む問題ではないのです。ようやく4月中旬になって、不動産の資産売却や従業員の給与カットに動き出しましたが、なかなか国民や長期間の避難を余儀なくされている方々の納得は得られないでしょう。動きが遅すぎます。

 もし、公的な資金を1円でも使うのであれば、株主には全額負担(=株価を一旦ゼロにする)していただき、経営陣は全員退職金無しで退任、社員の給料も数割カット。その上でどれだけ公的資金を投入するかを考えるべきです。

 どちらにせよ、東電の資金だけでは解決しません。公的資金を入れないとするならば、その資金を負担する人たち同士で決着させればよいでしょう。そうであれば、我々がつべこべ言うべき問題ではありません。

 しかし、公的資金を投入するなら、一旦法的整理をし、まずは株価をゼロにすることで、株主責任を取らせることが必要です。その上で、大きな問題として、東京電力に融資をしている銀行などに、何割負担してもらうかということを考えなければなりません。



公共性や公平性についてどう考えるか



 先程もお話ししましたように、全額負担してもらうと、金融危機を招いてしまう恐れがあります。ですから、何割負担してもらうかという話になると思いますが、そのさじ加減が非常に難しくなるでしょう。

 そうしないと、国民が納得しませんし、資本主義の原則に反してしまいます。貸し出している銀行も社債権者も慈善事業ではなく、なんらかの経済的メリットを考えて東電に資金を入れたわけですから。場合によっては、負担した分のいく分かを新たに発行する株式に変えて(デット・エクイティコンバージョン)でもかまわないと思いますが、幾分かの負担はするべきだと考えます。

 考えることはそれだけではありません。公共性や被害者の保護なども考えなければなりません。公平性なども十分に議論されなければ成りません。さもなければ、大きな政争の具になりかねません。政府がどういった結論を出すのか。ここも非常に注目したいポイントです。

 当面は結論が出ないでしょう。今の政府には、それを十分に議論している余裕がありません。ですから、世論の方が先に動くのではないかと思います。東京電力に対する国民の批判が高まっている状況ですからね。世論の方が政府や東京電力を追い込むのではないかと私は考えています。

 銀行は今、戦々恐々としていると思います。福島原発事故の後、銀行は東京電力に2兆円を融資しました。それに対し銀行内でも融資するか否かの議論はあったそうです。あの時に融資をしていなかったら、東京電力の社債は暴落し、資金繰りがつかなくなっていた可能性があります。当時、東京電力は「資金はいくらあっても足りない」としていました。それは、事故の資金繰りや経営に及ぼす影響が全く想像できなかったからです。



原発問題はもはや福島だけの問題ではない



 原発事故は海外にも大きな影響を与えました。事故直後にはフランスのサルコジ大統領が来日しました。フランスは、国内の電力の80%が原子力発電所によって賄われています。。

 今回の震災で、世界一安全性が高いと言われた日本の原子力発電所で大事故が起こったことによって原子力の安全神話が崩れてしまいました。サルコジ大統領は、世論の反発を恐れ、いち早く日本にやって来たのです。

 すでにドイツでは原発反対運動が起こり、ドイツのメルケル首相は国内の旧型原子力発電所の稼働延長を見直しました。しかし、フランスでは死活問題になりますから、すぐに原発の稼働を止めることはできません。日本の原発事故は、世界のエネルギー政策に大きな影響を与えているのです。

 原発の被害は日本全体に及んでいます。私は二週間ほど前に京都を訪れたのですが、普段はたくさん訪れている外国人観光客の姿がほとんど見あたりませんでした。この現象は京都だけではありません。日本各地の観光地も、外国人観光客が激減しているのです。

 こうした被害を東京電力に賠償請求できるかどうかは難しいところです。原発問題の影響でキャンセルが出ていることは間違いありませんから、私はある程度は補償されるべきだと思います。しかし、どこまでが補償の範囲か、具体的に議論されるのはずっと先のことでしょう。とにかくまず放射能漏れを防がなければなりません。



「人災」なのか「天災」なのか



 今回の事故は「人災」と「天災」のどちらかというのも大きなポイントです。本来、人災であれば補償しないといけませんが、天災であれば補償はされません。人災をどう立証するか。今後行われる議論でしょう。

 この問題を「人災」と見るのか「天災」と見るのか。とても難しい問題だと思います。宮城県の女川原発は、震源に近いことから福島原発と同じ状況であったにも関わらず、大きな被害は出ていません。ではなぜ福島原発だけ問題が起きたのか、ということを考える必要があると思います。特に福島第一原発の脆弱性について、以前から指摘されていたのです。それを解決していなかったという点は、議論でも大きなポイントになるでしょう。

 そして、事故発生後の東電の経営陣の対応も国民感情に大きな影響を与えていることも見過ごせません。社長が福島まで行っているのに、被災地も原発事故現場も訪れず、「報告を受けている」では普通の感情を持っている国民で納得できる人はいないはずです。

 私は本業が経営コンサルタントで、レベルの低い経営者を今までたくさん見てきましたが、ここまで責任感の低い人は見たことがありません。ご病気かもしれませんが、それを斟酌しても許容範囲を超えています。もし、東京電力全体がこのような責任感のない体質なら、経営陣を一掃しない限り、公共性の高い事業を任せておくのはおかしいのではないでしょうか。

 いずれにしても、東京電力が稼ぎだすキャッシュフローだけでは、全てを賠償することは難しいと考えられます。最後はその判断を、政府が行うことになります。民主党政権がするのか、連立政権がするのかは知りませんが、国民感情を逆撫ですると、それでなくとも政権基盤が脆弱な中で、大きな政争の具となりかねません。

 政府は今後、公共性や、避難されている方達の問題や、公平性や資本主義の原則に反していないかという問題を議論しつつ、さらには原発を含めたエネルギー行政をどうしていくのかという難しい判断をしていかねばならないのです。」

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1 コメント

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Unknown (東電への税金投入反対者)
2011-04-28 08:30:56
東電への損害賠償請求が大幅に今後、ありそうですが、ただでさえ諸外国に比べ、電気料金が高い(およそ2倍以上の水準)にもかかわらず、更なる電気料金の値上げをはかる、しかもすべての電力会社横並びで!!
信じられない体質です。
その前に東電は新卒採用しないという愚挙でなく、既存社員の給与半減や年金支給カット、退職金カット、人員整理などやることがあるだろう。
今まで、組合は民主党と経営陣は自民党と密に結びついてきた御用会社ならではの体質ではないでしょうか。
まさか政府はこの会社に、国民の税金投入なんかしないでしょうね。

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