LiveReport

Liveや舞台の個人的レポート
SOPHIA・THE BOOM
宝塚・歌舞伎・能

能 邯鄲

2009年06月09日 | お能
能 邯鄲(傘之出)
喜多流 シテ 友枝 昭世

国立能楽堂

久し振りのお能でした。
知人からチケットをいただいての1人お能、は実は初めてでドキドキでした。
最前列センターの素晴らしい席で、演目の「邯鄲」もとても良かったです。

「邯鄲の枕」や「一炊の夢」という言葉で語られる中国の故事を典拠とする演目で、
静と動のコントラストが効いた、とても個性的なお能でした。

コミカルなようで儚くて、人生について考えさせられるような内容。
夢の栄華の途中で足を踏み外しそうになる時の、全身が冷える感じ
その後うなだれて座り込んでしまうシテが、虚しくもどこか滑稽にも見え
本当に「イイ!!」もう一度見たい演目です。

ちなみにシテの面は「邯鄲男」という専用のものらしいのですが
お能を見ながら、この面最高!髪型もロックな感じでかなり好み!
最初は笑っているように見えた顔が、場によって泣いてる顔にも見え
すごくカッコ良かったので、どんな面かネットで調べてみると
薄らヒゲの冴えない(失礼)感じの顔・・・こんなだったかな・・・

演者の力や場の空気もありますが、見る人により全く違うものが見えるのが
お能の不思議な魅力だと(私は)思います。
捉え方も感じ方も、見る方にお任せします・・・みたいな感じが好き。
邯鄲男・・・かなり美形でした(笑)

能「道成寺」

2008年06月07日 | お能
何回目だ?の道成寺。
今日は万三郎さんの円熟な道成寺。

激しかったり危険も多い道成寺は、若手が努めることが多い演目だそうです。
今まで観たものも演者によって本当に様々。
今回は万三郎さんも30年ぶりの道成寺との事。
全く時間を感じさせない張り詰めた乱拍子から急ノ舞。
鐘から出てきた蛇体は・・・今まで観た中で最高の怖さでした。
激しい動きはないけれど、渦巻く蛇オーラとも言いましょうか。
静でありつつ他を寄せ付けない迫力と存在感、さすがの道成寺でした。

ちなみにこの夜、蛇の夢を見ました(笑)

能「求塚」

2008年05月24日 | お能
求塚(もとめづか)
西国の僧が、摂津生田で会った若葉摘みの女に求塚へ案内してもらう。
女は求塚についてしく語ると、自分は二人の男の求婚に悩み入水した
菟名日処女(うないおとめ)であると名乗り、塚の内に消える。
回向する僧の前に女の幽霊が現れ苦患を訴える


この時代、女性は女性に生まれたというだけで
罪深いとされ、成仏できないとされていたとのこと。
女を追って死んだ二人の男、火や水などにより
地獄の責め苦の中苦しみ続ける女の姿・・・
これぞお能!というおどろおどろしさと悲しさ。
重く、見ごたえのあるお能でした。


狂言「しびり」 能「二人静」

2008年04月02日 | お能
国立能楽堂 定例公演
狂言「しびり」 茂山千作 茂山正邦
能「二人静」 今井清隆 種田道一


今日は茂山狂言と、一度観てみたかった「二人静」の公演ということで
休暇を取り平日昼間の能楽堂へ。

しびり
使いに行けと言われると歩けなくなり、
御馳走が出ると聞くと途端に治る、太郎冠者の持病「しびり」

これこそ「太郎冠者」というお話。
まだ若い主人に使いを命じられ、その場ではハイハイと聞くが
裏では「なんと迷惑な!」「はなはだめんどくさい!」と吐き捨てる(笑)
持病の「しびり」はイタイイタイイタイ!!!もう一歩たりとも動けぬ!!
という大変な状態なのに、都合によって治ったり再発したり自由自在。
この技、使えないかな・・・と思いました(笑)

「二人静」
若菜摘みの女に取り憑いたのは、静御前の霊。
本体と影のようにぴったりと寄り添い、古の舞装束を身にまとい相舞を舞う。

二人静は、本などで写真を見る機会があり
同じ面と装束をつけた二人の静御前が舞うという、一度観てみたい演目でした。
が、視界の狭い能面を着けての相舞(二人がぴったり同じ動きで舞う)は
危険で難しいということで、あまり演じられる事のない作品だそうです。
最初から相舞(二人がぴったり同じ動きで舞う)をせず、
別の舞をする流派もあるとのことで
今回、相舞をする流派での二人静は、観なければ!と思いました。

相舞、二人の動きがぴったり合い、ゾゾ~っという瞬間はありましたが
シテとツレに技量の差がありますし、やはり難しいのか
始終ゾゾ~っとはいきませんでした。
同じ舞でも、扇の動かし方や間の取り方でだいぶ違うものなんだなと思いました。

ですが、二人の静の舞装束はこれぞお能!という美しさで、充分満足でした。
やはりもっと色々観てみたい。
まだまだ奥が深いです・・・

千作千之丞の会 第三回

2008年03月20日 | お能
茂山千作 文化勲章受賞記念
国立能楽堂

空腕(そらうで) 茂山千之丞 茂山千五郎
業平餅(なりひらもち) 茂山七五三
月見座頭(つきみざとう) 茂山千作 茂山千之丞


茂山家の狂言の会でした。
茂山狂言は何回も観ているので、ようやく顔を見ただけで
これは誰々と分かるようになってきました。


空腕
臆病なくせに、嘘八百を並べ立て主人に大げさな腕自慢をする太郎冠者の話。
まさに福顔といった雰囲気の千之丞さんが、怯えて平身低頭していた矢先に
嘘八百の武勇伝を始める姿が面白い。
本当にこういうお人なのでは?と思うような自然な狂言がステキです。

業平餅
在原業平が大勢の供を連れて餅屋で休息する。
餅を買う金を持ち合わせていないため、餅屋の娘の宮仕えを承知する事で餅にありつくが、
現れた娘の姿を見て・・・という狂言。

娘は文字通りの「おかめ」、恥らう姿も滑稽にしか見えず
今も昔も娘はキレイであってこそなのね・・・と思いました(笑)
お供の一人として、子形が出ていましたが
じっと座って待つ場面で、顔や鼻をいじったりパタパタ落ち着かない。
後ろにぴったり付き添う後見が、何度も手を取って嗜めるが、
少しするとまたゴソゴソ(笑)
そのたび後ろでなにやら囁く姿が微笑ましかったです。

月見座頭
十五夜の名月の夜、野辺で虫の声を楽しむ座頭と意気投合する上京の男。
酒を酌み交わしたのち、機嫌よく別れるが
上京の男が別人のふりをして引き返し、座頭に因縁を付けて突き倒す・・・といった
狂言にしては重々しい雰囲気で終わる作品。

座頭に扮するおじいちゃん(千作さん)はご高齢のため、
立ち上がる際は後見に腰を支えてもらいながら動きます。
ですが、舞うし跳ねるし謡の声はよく響き、すごいなぁといつも思います。
そんなおじいちゃんと楽しく歌い呑んでいたのに、
別人の振りをして突き倒しに戻る千之丞さん。
人の二面性や、全て気づいて崩れ嘆く座頭の悲しさが
なんとも重たい作品でした。

いつも面白おかしい狂言ですが、
その中に笑えないテーマが隠されていることがよくあります。
ずるくて怠け者で欲深いけど憎めない太郎冠者は、
どんな人の中にもきっと居るはず。
それでも笑ったり怒ったりしながら、なんとかやり過ごしていく人の姿は
今も昔も変わらないんだな・・・と切なくなったりします。

そう考えると、美しかったあの頃の姿に変化し謡い舞って消えていく・・・
という、お能の世界のほうが幸せな気がしてきました。

狂言「痩松」 能「小塩」

2008年02月15日 | お能
国立能楽堂定例公演
席:脇正面 橋懸寄り

狂言「痩松」
シテ/山賊 山本 東次郎
アド/女  山本 則重

能 「小塩」
前シテ/老人 後シテ/在原業平 友枝 昭世
ワキ/花見の者 宝生 関
アイ/里人   山本 東次郎


今回は、いつもご一緒しているお能のお姉さん方からチケットを頂き、観ることが出来た友枝さん。
能を初めて見る友人と一緒に、能楽堂に行ってきました。
今回のお能はどちらかというと地味めで、初心者向けではないとお聞きしていたのでどうかな?と思っていましたが、内容はシンプルでそして美しく、楽しむ事が出来ました。

狂言「痩松」とは山賊言葉で「収穫がないこと」
山賊は追いはぎをしようと女を捕らえるが、収穫物に気を取られている間に女に武器を奪われ、逆に身ぐるみ剥がされ「痩松」に といった内容。

能や狂言では、人物が登場し第一声めは必ず自己紹介。
「このあたりに住む者でござる」
「○○に仕える太郎冠者という者でござる」
今回の山賊は「人のものを奪うことを生業とする者でござる」(ちょっとあやふやですが)
分かってるならやめなされ と思いつつも、狂言に出てくる人物達は皆なぜか憎めない。
欲深かったり浅はかだったり、ばれてもシラをきり続けたり、
また逆に騙されて騙されて、また同じ手で騙されるとか(笑)
そんな現代にもいる困ったヤツを、面白くオーバーに表現しているだけなので、なぜか共感できてしまう。
長刀を使って相手を脅し者を盗むのですが、長刀さばきが見事でした。

能「小塩」、大原野小塩山の花見に現れた風流な老人の正体は「伊勢物語」の貴公子、在原業平の霊。
業平のことを尋ねるといつしか老人は姿を消し、在りし日の業平が現れ恋物語を舞う・・・
老人が業平の霊だと知った花見の者達は、奇特を見ようと待つ。
現れた業平の恋の詠や舞を夢うつつの中で眺め、業平が消えると共に呆然と去っていく感じが、まさに夢幻能といった雰囲気で素敵でした。

後場、業平の「序の舞」がとても美しかった。
謡が入らずゆったりと上品で、ずっと続けばいいのに・・・と思ってしまった私も夢うつつ状態(眠気ではなく)
花見車や薄紫と薄黄色の装束など、とても春らしいお能だったように思いました。



能「実方」 狂言「夢てふものは」

2007年12月13日 | お能
国立能楽堂特別企画公演
新作狂言と復曲能


新作狂言「夢てふものは」
茂山 千之丞
茂山 忠三郎
茂山 あきら
野村 小三郎
茂山 良暢

復曲能 「実方」
シテ/藤原実方の霊 大槻 文蔵
ワキ/西行法師    宝生 閑
アイ/里人       野村 万作


今回は茂山家の新作狂言と、鬘物(かづらもの・女性の霊や天人など優雅な舞の演目)が、
色っぽくて素敵と聞いていた文蔵さんの公演でした。

新作狂言「夢てふものは」
「宇治拾遺物語」から「夢買ふ人の事」という話を基にした、遣唐使・大臣として名を残す吉備真備が、
当時の主人の見た立身出世の夢を占い師から買い取って自分の人生にしたというお話。
吉夢の通り出世を果たした真備と、当時の主人が数十年ぶりに再会するという話なのですが、
いつもの笑い転げる狂言というよりは、人生を考えさせられるような深い内容でした。

心のゆとりもなく必死に働いて出世を果たすか、
貧しいけれど四季の移ろいを感じながらのんびり団子を売って暮らすか、
現代人にとっても永遠のテーマといえる内容でした。

復曲能「実方」
世阿弥作と推定される作品。
平安中期の歌人で舞の名手ともいわれた藤原実方、陸奥へ左遷されそこで没した実方(の霊)は、
昔を思い出し水鏡に自らを映し恍惚として舞を舞う。
さらに舞いすすめ、よくよく水鏡を見れば、そこに映っていたのは見るかげもない老残の姿だった。

というなんとも物悲しいお話。
最初西行法師と出会うのは老人の姿のシテ、歌物語をするうちに眠りに落ちる西行法師。
後場で実方の姿で舞うシテのお姿が、悲しくも美しかった。
最近狂言を見ることが多く、アイ狂言(前場・後場に分かれる能で、シテが装束を変える間を繋ぐ狂言)が入るような
長いお能を見るのが久しぶりだったため、美しくて哀れで哀れなまま終わる、お能らしいお能はやっぱり素敵と思いました。

打ちひしがれてゆっくり静々去っていくシテの姿を、身動き一つ出来ず息を詰めながら見送る観客、なるほどこれなのねと思いました。
(お能では拍手をしないのが礼儀とされています)

今回は文蔵さんの他にも、私の好きな万作さん(野村万斎の父)や、素晴らしい囃子方が出演されていて大満足でした。
久々に金春流の独特な太鼓の打ち方(勝手に「変身ポーズ」と呼んでいる)が見れて嬉しかった☆

東京茂山狂言会 第十三回

2007年11月01日 | お能
東京茂山狂言会 第十三回
国立能楽堂
狂言「庵の梅」 茂山千作
狂言「文荷」 茂山千之丞
狂言「三人かたは」 茂山七五三

久々の能楽堂でした。
今回は「おじいちゃん」こと茂山千作さん米寿記念公演、
茂山家の狂言三本を見てきました。

「庵の梅」(いおりのうめ)
梅の盛りに女たちが老尼を尋ね、皆で美しく咲いた梅の花を眺めながら和歌を楽しむ。
やがて酒宴になって女達は互いに謡い、舞い、老女もひとさし披露して・・・

おじいちゃん扮する老尼のもと、茂山家のお孫さんたち5人扮する女たちが訪ね、謡い舞い・・・
という、華やかな演目でした。
白い布を被り、達磨さんのようにちんまり座るおじいちゃんは、
出てきただけで客が皆笑顔になる、どう見てもヨーダのようで可愛くて癒される~(失礼)
女達に促され、老尼もひとさし。
さすがに声は通るものの、米寿のおじいちゃん、足腰は震えているし、ゼーゼーと激しい息遣い。
年を重ねてこその、性別などを超越した姿ってあるのだなぁと思いました。
気に入ったのは、おじいちゃんが恥らいながら「いたづらなお方」って、かわいいのだ。

文荷(ふみにない)
主人が二人の冠者を呼んで稚児へ手紙を届けるように命じる。
恋文と察した二人は互いに持つのが嫌で、竹ざおに結わえて荷い謡いながら運ぶが、
途中で手紙を開けて、主人の文章をあげつらって読むうちに引き裂いてしまい・・・能「恋重荷」のパロディ。

私の見た中で一番多い、「主人」と「太郎冠者」「次郎冠者」の狂言。
大抵くそ真面目で厳しい主人と、陽気で欲深くておバカな二人の冠者。
主人の留守に酒蔵を荒らしたり、悪事がばれてそれをなすりあったり、時には主人を屁理屈で打ち負かしたり・・・
黄金パターンだけどクセになる、日本人のツボなのかな。

今回は主人から託された恋文を開いて、馬鹿にしながら読み上げて歩く二人。
俺に読ませろ、いや俺が先だとやってるうちに文が真っ二つ。
それを「風の噂で相手に届くように」と扇子で文を扇ぎ追い回す・・・
そこにお約束ながら「文を託したが二人の帰りがあまりに遅い、様子を見に行てこよう」と現れる主人。
様子を知った主人は、裃の片肌を脱いで扇子を振り上げて足を踏み鳴らし
「やいやい!!」と踏み込む、逃げ惑う冠者たち。
お決まりのパターンだがやはり面白い。
私の頭の中では、ドリフのコントのクライマックスの音楽が流れた(笑)

「三人かたは」(さんにんかたわ)
身体の不自由なものを大勢召し抱えようという奇特な有徳人(金持ち)の元へ、
食い詰めたばくち打ちたちが身障者を装って次々にやってくる。
それぞれに蔵をあずけて有徳人が外出すると、三人はさっそく酒蔵へ入って酒宴を始め、舞えや謡えの真っ最中・・・

これもお決まりパターンで、早めに戻った主人が酒宴に踏み込み、ばくち打ちたちは言い訳をしながら走り去る。
主人も、悪賢い冠者たちも、皆に愛嬌があって憎めない。

狂言を見て思う事は、庶民である冠者たちの酒宴でも、酒のつまみに誰もがひとさし謡い舞う。
「お前も何かやれ」「いやいや私は不調法者で」「俺もやったんだからお前もやれ」「ではお目汚しに」
と、和歌を詠みながらさらっと舞うのを、昔は庶民もやっていたのかな~?と考えます。
本当の農民達は酒宴の機会などあるはずがないから、冠者たちも侍のはしくれなのかしら?など、
勉強不足で分からない事はたくさんあるのですが、日本古来の伝統や風習などはやはり大切にしたいなと思います。

狂言の会

2007年01月26日 | お能
国立能楽堂新春公演
狂言の会


鍋八撥(大蔵流)
 シテ 茂山 千之丞
 アド 茂山 千作

柑子(大蔵流)
 シテ 善竹 十郎
 アド 善竹 富太郎

鬮罪人(和泉流)
 シテ 野村 万作
 アド 野村 萬斎


久しぶりの能楽堂、狂言を3本観てきました。
久しぶりに国立能楽堂に行って驚いたのが、各席の前に一つずつ小さな画面が設置され、
スイッチONで、各演目の内容や唄、言葉の説明の字幕が出るようになっていました。
これなら狂言なら予習ゼロでも充分楽しめますし、お能も分かりやすくなって良いです。
歌舞伎のイヤホンガイドよりずっと親切~と思いました☆

今日の狂言3本はどれも分かりやすく面白いものばかり。
特に関西の大蔵流の面々は芸達者(って言うのかな?)姿を見ているだけで面白い。
大いに笑わせていただきました。
日本の「おじいちゃん」ならではの愛嬌、なかなか良いものだと思います。

野村さんちの狂言は何回も見ていますが、万作・萬斎の親子共演を見るのは初めて。
萬斎さんの狂言は・・・なのですが、今回は怖~い主人の役がとても似合っていて良かったです。
罪人の扮装をして立ち回る姿はカッコイイ・・・(#^^#)と思わず思ってしまいました。

能楽堂は舞台が本当に目の前で、毎度の事ながらドキドキ。
この臨場感はやはりたまりません。



川越氷川の杜 薪能

2006年08月20日 | お能
川越氷川の杜 薪能
能:金春流 「道成寺」
席:◎

今日は川越氷川神社での薪能でした。
氷川神社での薪能は20回目ということで、神社全体の大きなイベントのような雰囲気でした。
天気が良く、でもいい感じに風が吹いていて見所(客席のこと)は木陰で涼しい♪
席も2列目で見やすいですし、良いコンディションでのお能が始まりました。

薪能は3回目でしたが、今までの中で一番「神事」っぽい薪能でした。
舞台に神様へのお供え物が用意され、お祓いをし神様を呼び出し・・・と、地鎮祭の特大版のような感じでした。
薪の火も、装束を着た人たちが弓のような道具を使って手で熾しました(5分くらいかかった・・・)

「翁」の謡いから、道成寺の始まり~
道成寺は3回目でしたが、今回はとても「カッコイイ」道成寺でした。
乱拍子は、イマイチ小堤くんの迫力負けで緊迫感に欠けましたが、急の舞になるとカッコイイ~~!
蛇になるのはまだ先なのに、すでに蛇に変体しているかのような迫力でぞっとしました。
無事鐘入りをし、蛇になって再び鐘から出てくる・・・しかも赤頭♪(赤い鬘をつける場合とつけない場合がある、流派によるのかな?)
これから蛇体と僧侶の戦い、ロックな場面という所で・・・ポツポツ・・・??

・・・信じられない事に雨!!(>_<)
お能の面は水性の塗料が使われているので、水厳禁!
何があっても面を雨に濡らす事は出来ないので、薪能の途中で雨が降った場合容赦なく中止もありえるとの事です。
一緒に行ったメンバーに強力な雨女が潜んでいたようで(前回彼女と行った薪能でも降られた・・・)一斉に恨みの視線が彼女に・・・(笑)

幸い鬘があった事と、あと少しで終わりという事で最後まで観ることが出来ましたが、結構な勢いで降ってきた雨に気が散って、一番良い場面をしっかり見ることが出来ませんでした(>_<)
舞台も雨ですべりが悪いのか動きにくそうですし、お能が終わると演者も客も一斉に退散みたいな雰囲気になってしまい、余韻に浸る間もありませんでした。

お能自体はとっても良かったので、最後までじっくり観たかった・・・
薪能は雰囲気も良いし、ステキなのですが天候の不安が付きまといます。
即中止!の危険が潜んでいるので、雨降らしさんが来る場合は注意・・・というか覚悟が必要です(^_^;)


能 安宅

2006年07月17日 | お能
第十二回 花祥會
観世能楽堂
能  菊慈童
狂言 蚊相撲
能  安宅

席:脇正面1列目


今日は渋谷松涛の観世能楽堂に行ってきました。
渋谷の駅から15分弱の場所なのですが、駅前とは雰囲気がまったく異なる高級住宅街。
個性的でステキな豪邸がたくさん並んでいたので、見入ってしまいました。
思った事は、どこも防犯対策がしっかりされているな・・・ということ。
一階に大きな窓がバーン!なんていうことはありえないんですね、シャッターと壁に覆われていて、どこから入るのか分からないような家が多かったです。

能 安宅は、歌舞伎で言うところの「勧進帳」
山伏に扮した義経、弁慶一行が安宅の関を突破するために、偽りの勧進帳を読み上げたり、主君である義経を杖で打ち据えて関守の目を欺いたりという弁慶の逸話。

能の中では最高の登場人数とのこと。
義経一行が弁慶も入れて十二人!これが義経や弁慶に反応して身構えたり体制を変えたりと、面白いほどコミカルだった。
強力(荷物運び)に扮して関を超えようとする義経が関守に見破られそうになると、一列に並んだ従臣一同が声を揃えて「我が君についてとがめだてをするとは・・・」と殺気立って関守に太刀を抜こうとするのを、弁慶が「あわてて事を荒立てるな」と抑えるなど、大真面目だからこそ面白いという感じがしました。

シテ方 関根祥人氏の弁慶はとにかく大きくてカッコイイ!!
今回は真面(ひためん・面を付けない事)の弁慶でしたが、強くて優しくて本当にステキでした。
以前見た、恋人を待って待って狂ってしまう「班女」を演じたお人とは思えないほどの男前でした。

とても見たかった演目の一つだった「安宅」
能にしては珍しく、すっきり爽やか!義経役の子方(こかた・子供が演じます)も可愛いし、お囃子もわらわらと華やか!
基本お能は、死者や成仏できずにいる幽霊の話が多いため、その余韻を壊さないためにも拍手をしないのが礼儀。
しかし今回はよくぞ切り抜けた!!と思わず拍手してしまいたくなる演目でした。

違う流派で、また違う席でもう一度見たいお能です。


能 「井筒」

2006年06月17日 | お能
横浜能楽堂開館10周年記念 特別公演
狂言 文蔵
能  井筒

横浜能楽堂:席 2列目左端でしたがとても見やすかった。

能の中でも名作といわれる演目の一つが今日見た「井筒」、しかも友枝さんということで、予習にも力が入りました。
亡き在原業平を偲び、形見の冠と着物を身に着けて舞う井筒の女。
本当にうつくしいっ~~!!
友枝さんはまず立ち姿がスラっと美しく、なで肩なのかな?儚げ・・・というか、やはり凛と美しい。

キレイ~~としか感想を言えない未熟な自分がもどかしいが、とにかく綺麗なものが好きで、それを探すのがライフワークのようになっている私の中でも、お能の美しさは他に例えようがないい無二のものになりつつあります。

よく表情の無い顔のことを「能面」と言いますが、お能を観ていると、能面ほど表情豊かなものはないのでは?と思います。
同じ面(おもて)を着けているのに、場面によって笑ったり泣いたり恨めしがったり驚いたり、様々な表情に見える(時がある)のです。
緊張感と無音の中で良い感じに入り込んでいると、面の表情が変わる様が見えてゾクッとする事があります。
そのゾクッを感じてしまったら、やめられないのかなぁ・・・
私が始めてそれを感じたのは2度目に観た「源氏供養」の紫式部の霊です。
面の表情ではありませんでしたが、ゾゾっとくるような美しさだったのを覚えています。
初期のころに見たお能・・・少しは経験値が上がった今、もう一度観たい・・・

能 「巴」

2006年05月25日 | お能
【琵琶と能楽・蝋燭の灯りによる】
平曲「横笛」
狂言「越後聟」
能 「巴」

国立能楽堂:席◎ 正面二列目真ん中

「巴」は平家物語に出てくる女武者「巴御前」が、亡き木曽義仲を偲ぶ・・・というお話。
唯一の女修羅能というのと、巴御前は私の実家のご先祖にあたると祖母から聞いたことがあり、とても興味がありました。
しかも巴を演じるのは、美しさではピカ一の友枝さんという事で、引越し直前ではありましたが観に行ってきました。

そして始めての「蝋燭能」
能舞台の前面に30本近くの蝋燭の灯り、私は2列目でしたので舞台も良く見えましたが、中ほどより後ろでは見えないのでは?という暗さ。
でも蝋燭の灯りに映る能舞台は、本当にタイムスリップしたかのような不思議な空間。程よい緊張感とで癒されました~~

長刀を振るう姿も、勇ましいというより悲しくて美しく、長刀の刃の部分が蝋燭の灯りで輝くのがキレイでうっとりでした~
本当は敵の大軍の中に独りで突入して、大将の首をもぎ取ってくる鬼のような強さだったという巴御前。
きっと演者によって色々な姿が見えてくるんだろうなと思いました、奥が深い~~

立ったり座ったりという動きの多いお能でしたが、ふらつく事なくきっちり美しい友枝さんの動き、素晴らしいです。
何人かのシテ方を観てきましたが、私の中の「お能」というとやはり友枝さん。
息が出来ない程の緊張感と、張り詰めた美しさ。
人にどう説明しようとしても、こればかりは表現しようがありません。

道成寺 2回目

2006年04月30日 | お能
宝生能楽堂 席:○ 最前列の端の方でした

能  花月
狂言 樋の酒
能  道成寺 赤頭

以前道成寺を見て見て惚れた私、違う流派のも見たくて今日を楽しみにしていました。
前回は若手の能楽師が初めて披いた道成寺、とにかくフレッシュで楽しかったのですが、今回の演者は14年振りの道成寺との事。
前回とはまた違った、円熟した道成寺なんだろうなと期待満々でした。

結果…今日の道成寺は楽しみにしていたのと違い…少し残念でした。
乱拍子の緊張感までは良かったのですが、無音の乱拍子から一変して激しくなる「急之舞」が迫力不足!
鐘入りもポイントがずれイマイチでしたし、蛇体になって再び鐘から出てくるところも蛇体の迫力無し……

あぁ、急之舞の迫力と烏帽子をパシッとはじいてのカッコイイ鐘入りが見たかった…
蛇体も僧侶に負けっぱなしで戦いになっていない…
迫力と歯切れ良さを求めて見に行ったので、消化不良の道成寺でした。
次回に期待です(カッコイイ道成寺を求めて彷徨ってやる)

今回期待していたもう一点はお囃子。
国宝級の囃子方という事で、どんなだろうと期待していました。
詳しいことはよく分からないのですが、声が良いのと鼓や笛の調和が取れているなぁと思いました。

数えてみたら今日で7回目のお能、結構行ってます…
でもまだまだお能の演目は沢山ありますので、少しずつ見続けていけたら良いなと思います。