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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

乱歩を巡る言葉3・・・「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」日本カルト映画全集1

2006-05-30 | 江戸川乱歩


「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」
日本カルト映画全集1・ワイズ出版


映画「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」を監督した石井輝男は、キング・オブ・カルトと最近はとみに注目されている。彼が監督したこの作品はビデオ・DVD化が難しいらしいので特別上映などでしか見ることができない、そんな故もあってか一本の作品が丸ごと本になっている。ロードショー前の宣伝的要素が強いものや巨匠(黒澤や宮崎)の作品は別として、星の数ほどある映画作品が一冊の本になることはめったにない。裏を返せばそれだけ吸引力の強い映画なのである。

この本には、映画のシナリオ、乱歩の小説、当時の映画評論、監督へのインタビューなどが収められている。ボクがこの映画の中で一番好きなシーン、暗黒舞踏の土方撰が荒れ狂う日本海を剥き出しの岩肌で踊る場面、石井監督へのインタビューでこんなふうに語っている。



「あの波のダーンと立つところがありますんでね。ロケハン的にそれを見てきまったんですけど。ただ、あそこは非常に波の荒いところで、土方さんが波にもっていかれたら危ないってことがあったんです。僕も言いかねていたんですけど、でもどうしてもあの荒波から出したかったんで、雑談しているときにあそこから出るといいでしょうねえ、なんて言ったら、やるっていいだしたんでね。事故があったらと、なかばハラハラしながらやってもらったんですけど、でもきっと土方本人もあの波と岩を見てて、危険を冒してでもやりたいって意欲が湧いたんですね。だからまあ、本人もいい気持ちでやったんじゃないですか。」

危険度100%は画面から観て十分分かります。そこに土方と石井の役者&監督魂を感じずにはいられません。映像的なエクスタシーを伴った屈指の名シーンと言えるのではないでしょうか。

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江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

ワイズ出版

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おかーーさーーん (ぶーすか)
2006-06-03 16:37:45
こんにちは。この映画、改築される前の池袋文芸座の「乱歩特集」オールナイトで観ました。土方撰の舞踊がすごかったです。そうかー!あれって合成でなく、命はったロケ撮影だったんですね!また観たいと思いますが、なかなか地方では上映されないですね
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コメント (飾釦)
2006-06-03 22:53:47
ありがとうございました。土方撰の舞踊がホント印象的ですよね。「おかーさん」のシーンは胸が苦しくなってきます。
返信する
土方巽とその仲間たち (フォスカ)
2006-06-12 17:49:15
トラックバックを頂いたのでやってきました。



土方巽の暗黒舞踏を映画で堪能するのでしたら「卑弥呼」がお勧めです。監督は「写楽」や「梟の城」の篠田正浩、音楽は今年没後10年の前衛作曲家・武満徹です。



日本映画データベースの一覧が役立ちます。↓

http://www.jmdb.ne.jp/person/p0301070.htm

私も「恐怖奇形人間」を観てみたいです。
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詳細な (飾釦)
2006-06-13 09:15:34
情報をいただきありがとうございます。参考にさせていただきます。
返信する

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