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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

耽美の海∞谷崎潤一郎NO.4・・・metro演劇公演「痴人の愛~IDIOTS~」

2010-05-27 | 谷崎潤一郎
■日時:2010年齢5月22日(日)
■劇場:神楽坂die pratze
■原作:谷崎潤一郎 
■演出:天願大介
■出演:月船さらら、池下重大

谷崎潤一郎の小説「痴人の愛」を読もうと思ったきっかけは、この演劇ユニット「métro」の公演チラシを見てからであります。この「métro」については。ボクは以前、江戸川乱歩の「陰獣」を題材にした旗揚げ公演を見に行ったことがあること、そしてそれは中々しっかりと作り込んだお芝居であったこと、また演出の天願大介は敬愛する映画監督・今村昌平のご子息であることなど、この演劇ユニットの動向が気になるところではあったのですが、何よりも興味をひいたのは公演テーマに選んだ題材でしょう。何しろ旗揚げ公演に江戸川乱歩の「陰獣」を持ってくるわけですから、インパクトあります。そしてそれを上演する主催者が、男ではなく二人の女優であるところがさらに面白いと思うのであります。何と言うか男(=乱歩や谷崎)の脳内で作り上げたエロティシズムの世界を意識的なのかしていないのか?それはわかりませんが、綺麗な女優からのアプローチというのが、そそられてしまう、そんな感じで、今回の谷崎の「痴人の愛」もボクから言わせれば<センスがいい!>となるのです。

さて、その興味深い舞台ですが、期待していた以上によかったです。もしかしたら忘れ得ぬ記憶に残る舞台になるかもしれません。その要因として劇場と芝居の内容がうまく合致したということがあると思います。劇場の神楽坂diep ratzeはこじんまりとした小劇場で客席をコの字型にして舞台を囲むようにしてありました。そのことにより一層、役者の息遣い、滴り落ちる汗、大袈裟にいえば体温まで?が生々しく伝わってくるような感じになります。それがこの芝居において密室性という男と女のことを見せる空間を作り出しており、効を奏していました。なぜなら、まるでナオミと譲治の二人だけの会話を覗き見するようなリアルな感覚になってくるからです。しかし舞台の展開は、観客の感覚を混乱させるかのように時間軸が逆流していく構造をとっています。目の前で繰り広げられるナオミと譲治の関係はだんだんと出会った時の時間に近づいていくのです。直前に谷崎の小説を読んでいたボクはその遡行していく場面、場面がああ、あそこのところなどとわかったのですが、谷崎の小説を読んでいない人や遠い昔に読んだけどすっかり忘れてしまった人などは、多少なりとも混乱したのではないでしょうか。



ただしそれも、あるポイントにおいてナオミと譲治の二人の関係が、本来の二人のあるべき姿?あるいは一番落ち着く姿?の関係に回帰していくところがあって、それはもうどちらが未来でどちらが過去なのか、そんなことどうでもいいようなポイントなのですが、まるでそこをひとつの終点としてメビウスの輪のごとく永劫回帰しているような、さながら二人は最終的にそこに回帰するために時にダンスしながら円環運動を繰り返していような、終点としての濃密な一瞬をクローズアップさせていました。それはもうナオミ&譲治の「痴人の愛」ゲームといったふうに何度もロールプレイングが行われるのかもしれないといったことを想像させてくれるのです。ボクが思うには、ゲームの起点は二人が出会ったころのあの幸福な時間(=雨宿りしながら譲治を待っているナオミ)であり、どこか心の隅にダイヤモンドのように輝きをたたえながらも、しかしもうそこに二人は帰ることが出来ない時間のため、捻れたロールプレイングのような関係を続けながら、いつかきっとと思いながらも見果てぬ夢のような起点を追い求めているかのような切ない永劫回帰のゲームを繰り返すのでしょうか。はたして二人の出会いを人形劇にしたのは正解であったとボクは思うのです。なぜなら、二人の物語はあの至福の時間を起点とし、譲治がナオミ追に傅くところを終点とする円環構造を持った今となってみればお伽話のような話なのだから…。

ナオミを演じた月船さららも、譲治を演じた池下重大もともに熱演で、ややもすると台詞中心の2人きりの舞台なので弛緩しやすいところを、舞台上の緊張感を途切れることなく最後まで持続させ続けていました。もし主演女優賞とか主演男優賞なるものがあるならばこの二人にあげたいなあと勝手に思ったのであります。特に月船さららは登場から、ピンと前に張った豊かな胸という、男にとっては目のやり場に困る暴力的とも言える挑発的なセクシーな洋服で現れ、一気に男性諸君の視線を釘付けにしたはずでした。それはトイ面に座った男性客のにやけた顔を見れば充分なのでしょう。その後の月船さららの演技は、さらに小悪魔性、魔性性を加速させていき、新しいナオミ像を作りあげたと思いました。それは、ボクにしてみれば一番共感でき、一番魅力的なナオミであったので、「痴人の愛」のナオミ=月船さららの演じたナオミというインパクトの強い記憶に残る舞台になるようです。

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2 コメント

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TB、多謝! (まつぞう)
2010-05-28 22:55:04
こんにちは。

いつもTB頂戴して、嬉しいです。
ありがとうございます。

「痴人の愛」、面白かったですよね。
うなじの産毛剃りシーンなんか、
余りのエロさに息飲んじゃいました!

metroの次回作も楽しみですね
コメント (飾釦)
2010-05-28 23:16:02
ありがとうございます。TB何度もさせていただきすいません。

“「痴人の愛」、面白かったですよね。
うなじの産毛剃りシーンなんか、
余りのエロさに息飲んじゃいました!”

ホントにそうですね。また、客席に走った緊張感がたまりませんでした。次回も楽しみです!

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