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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

偏在する乱歩・A‐C→歌舞伎「江戸宵闇妖鉤爪―明智小五郎と人間豹―」

2008-12-01 | 江戸川乱歩
「江戸宵闇妖鉤爪―明智小五郎と人間豹―」

■日時:2008年11月22日(土)AM11:30~
■劇場:国立劇場
■作 :江戸川乱歩「人間豹」より
■脚色:岩豪友樹子
■演出:九代琴松
■出演:松本幸四郎、市川染五郎、市川春猿、市川高麗蔵、他


江戸川乱歩の小説が歌舞伎になった。それも「人間豹」が。今年になって初めて歌舞伎を観て、これは面白い!と遅まきながら歌舞伎を発見しました。で、乱歩の歌舞伎、「江戸宵闇妖鉤爪」です。乱歩については、このブログの記事で一番多いテーマであります。一時期は乱歩づけの毎日だったことも。そんなわけで一体どんなお芝居なんだろうと期待も一杯で劇場に行きました(一週間以上前のことなんですが)。

幕が開くとそれは最高に楽しい舞台でした。今年になって、いくつかの舞台を観て、これは最高だと思うのですが、それが毎回塗り替えられるような観劇体験の連続。実際は舞台の優劣などつけられないのですが、その観劇後の余韻がうれしいのです。だから、ほんとに素晴らしい完成度の高い舞台を観ると幸せだなと感じます。今ここでしか味わえない最高のパフォーマンスによる至福の感覚。「江戸宵闇妖鉤爪」はそれに該当します。だって感想はというと、よかった、楽しかった、感動したという言葉が、前面に出てその感覚がすべてを覆ってしまうような感じになってしまい、こうして書くのが難しいと思ってしまいます。メチャ面白かった、それが感想という・・・。

それでも自分なりにまとめていくに、まず思うことは、よくあの荒唐無稽な乱歩の原作を手際よくまとめたなという印象。これには感心しました。その作家が女性であったというのが、さらにびっくりです。原作にはない人間豹の出自の部分(お芝居では人工製造というか、人獣相姦というか同じ乱歩の作品「孤島の鬼」を連想させるような設定です)と明智小五郎と人間豹の哲学的な対決を加えたことが、より作品を原作に比べ明確化しわかりやすくしたことは間違いありません。それにより親と子、悪と正義、排除するものと排除されるものの葛藤が生まれ、単純な二元的な対立項では語ることができない奥深さが出ているのではないかと思いました。

さらに、冒頭の不忍池・弁天島の茶屋における神谷とお甲の濡れ場の場面(一転、殺戮の場面へ)や、人間豹である恩田とその母の百御前が明智の奥さんであるお文を捕らえ、早くモノにしてしまえという場面(つまり、百御前の目の前でエッチしろということか)や見世物小屋において捉えられたお文が豹の着ぐるみを着せられ、恩田とともに見世物の檻に入れられているところの口上「雄の黒豹と雌の豹を一つの檻に入れ、豹のまぐわいをお目にかけようという趣向にございます」とは、性的な大人の表現も盛り込まれており乱歩のエロティシズムの要素もきっちりと入っております。

しかし何といっても一番は、先にも書いたように人間豹と明智の哲学的な対決、恩田=人間豹の魅力的な悪の言い分です。本音が直球で出ているような印象を受け、観ていて内容は違うものの黒沢明監督の映画「七人の侍」における三船敏郎が熱演した菊千代の独白を想起させました。どちらも痛快な印象でありました。恩田の台詞“いくら時代が変わろうと人間はてめえが一番かわいいのだ。己の欲のためにゃ親でも子でも殺す腐り果てた蛆虫ども、それが人間だ。俺は俺の思うがままに生きる。この世に俺を裁く掟はねえんだ。”“くだらねえ。正義だの何だのと、人がつくった安っぽいしがらみにがんじがらめになって身動きならねえ明智小五郎。つくづくお前が不憫でに見えるぜ。俺にゃぁ、しがらみもねえ、義理ものねえ、俺にあるのはこの自由な大空と世の中に受け入れられねえ不幸な人の魂だ。貴様らが踏みにじったその魂道連れに、俺ぁ、空高くどこまでも、この身一つで飛んでいくんだ。”

そして最後は人間豹の宙乗り。これが物語の全てを締める。スケールが大きく、幻想的でエキサイティング。スペクタル感がたまらない。人間豹の哲学の後だからこの演出が一層生きてくるような。歌舞伎の観劇はこれで4回目、まだまだ初心者なのでこのようなケレン味ある演出にはすっかり参ってしまうのか?今回の「江戸宵闇妖鉤爪」を観て、もうひとつ歌舞伎の魅力を発見したようです。いゃー、よかった。できるならもう一度観てみたい気になりました(再演してほしい)。




乱歩と歌舞伎と題して遺品も展示されていました。

百御前の台詞にも出てきた「うつし世は夢 夜の夢こそまこと」という乱歩の有名な言葉も。

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6 コメント

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ありがとうございました。 (wataNabe)
2008-12-02 02:03:01
トラックバック。ありがとうございます
(が、ワタシ、機械(ネットの仕組)にうとくてトラックバック返しできずごめんなさい)。
識者の方々から見るとつっこみ所満載のようでもありますが、
暗部のあるエンターテインメントの興味深さを見せてもらったような、そんな舞台に感じられて、幸せでしたー。
コメント (飾釦)
2008-12-02 22:09:47
ありがとうございました。
おもしろければ少々おかしくてもいいと思いました。最後の宙乗りの場面は最高でした。よろしければまたこのブログを見てやってください。
TBありがとうございました。 (琴紗)
2008-12-02 23:28:30
 TBありがとうございました。
 私のブログにはちょっとしか感想を書いていなかったのに、こんなに本格的な鑑賞録をお書きのページにTBしていただき恐縮です^^;
 今回の国立の歌舞伎は、新たな挑戦、という感じの舞台でしたよね。本格的な歌舞伎とはちょっと違うけど、初めて歌舞伎を見る方や、中学・高校生など若い方も楽しめる娯楽色の強い演出だったと思います。
飾釦 (コメント)
2008-12-03 23:04:09
ありがとうございます。

私はまだまだ歌舞伎鑑賞の経験が少なく、ハッタリやおどかし的な要素に素直に反応してしまいます。

エンタテイメント性が洗練されているような感じで日本文化もすてたもんじゃないなと思います。
ありがとうございます。 (かとう)
2008-12-07 21:38:45
TBありがとうございます。
久々のネットで今頃気付きました。
申し訳ありません…。

賛否両論あると思いますが僕はあんな感じくらいの歌舞伎の方が色々な人が入っていけてどんどん盛り上がっていくと思います。
これからも歌舞伎は決して敷居の高いものではないという舞台を作ってほしいですね。
かとうさま (飾釦)
2008-12-07 22:44:13
コメントありがとうございました。

私も歌舞伎自体はくわしくないのですが、楽しくないと長い時間なので疲れるし、すなおにエンタテイメントなつくりであって欲しいと思います。

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2階に消えた!(舞台/歌舞伎:江戸宵闇妖鉤爪) (美味!な日々)
すっかり記事にするのを忘れてました~。 今月初めに「乱歩が歌舞伎になった」という文句に魅かれ、初めて歌舞伎を観に行きました。