飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

永遠の妖女#55・・・「サロメ図像学」井村君江(あんず堂)②

2008-04-25 | サロメ
「サロメ図像学」井村君江(あんず堂)

昨日も書いた井村君江による分厚い書物「サロメ図像学」は、サロメ図像のさしずめデータベースとでも言った内容でありました。その中でサロメとヨハネの恋物語と題した項で、サロメの叙事詩が紹介されています。それは1100年頃に成立したヘントのニヴァルドゥス作の「イセングリムス」という叙事詩であるそうです。以下はその詩を引用したものです。(月川和雄の訳と脚注にあります/ちなみにこの作品についてはまったくボクは知りません))

  この子孫(ヘロディアスの娘)により、
  ヘロデ王の声望は高まり、ヘロデ王は彼女によって幸福になったろう。
  もしこの不幸な愛が、彼女の心臓を射止めなければ。
  サロメは洗礼者の妻になろうという欲望に身を駆られ、
この男を自分の夫にできないなら、
  誰にも嫁ぐつもりはないと言った。
  だが父はその愛に気がついたとき、
  恐ろしい怒りにかられ、この無辜の聖者を斬首した。
  絶望した少女は、切られた生首を
  自分のところに持ってくるように要求し、
  ヘロデ王の従者は深皿に入れて運んだ来た。
  か弱い腕でそれを愛撫し、愛しい生首を涙で濡し、
  熱烈な口づけをしようとする。だが、
  口びるがそれに触れようとすると、
  首はサロメから退き、サロメを吹き飛ばす。
  サロメは激しい風の渦巻きによってよって
  空へ舞い上がる。ヨハネの怒りは
  広大な天空の風の道を通り、サロメに復讐をせまる。
  死者は、この生前愛していなかった哀れな者を苦しめる。
  だが、運命は完全にサロメを滅ぼしたのではない。
  サロメに与えられた名声と尊敬は、嘆きと苦しみを和らげる。
  人類の三分の一は、彼女を愛しているのである。
  真夜中から黒い雄鶏が鳴くときまで、
  サロメは地上で休息している、カシかハシバミの木にとどまって。
  いまや、ヘロディアスがかつて読んだように、
  フィライルディスという名を担うことになった。
  もはやサロメを見ることはできないが、
  何時か彼女のような女をみいだすだろう。


話の筋は簡単で“サロメが洗礼者ヨハネに恋をし、これを嫉妬したヘロデ王が聖ヨハネを殺したので、サロメがその首を所望し口づけしようとする。しかし聖ヨハネの首はそれを許さず、サロメはこの世から消え「フィライルディス」という名になって木の上にとどまっている”というもの。しかしここで注目されるはサロメが断首されたヨハネの首に口づけしようとすること、“ヒロイン、劇的な破滅への要請”すでに考慮されている点に著者に井村は注目しています。残酷な倒錯した行為、それはオスカー・ワイルドの特許ではなかったようです。

--------------------------------------------→
本当に「あの人」でいいの?




原色鮮やかグラビア・アイドルDVD激安ショップ

--------------------------------------------→
◆クリック、お願いします。 ⇒
◆関連書籍DVDはこちら↓↓
サロメ図像学
井村 君江
あんず堂

このアイテムの詳細を見る

サロメ (岩波文庫)
ワイルド,Wilde,福田 恒存
岩波書店

このアイテムの詳細を見る

R.シュトラウス:楽劇《サロメ》全曲

ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る

英国ロイヤル・オペラ R.シュトラウス:楽劇《サロメ》全曲

ジェネオン エンタテインメント

このアイテムの詳細を見る

リヒャルト・シュトラウス 楽劇《サロメ》全曲

ワーナーミュージック・ジャパン

このアイテムの詳細を見る

楽劇《サロメ》全曲

ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 永遠の妖女#54・・・「サ... | トップ | 永遠の妖女#56・・・「ク... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サロメ」カテゴリの最新記事