飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

20世紀のアート#3⇒「20世紀美術探検」展からお勉強②

2007-02-07 | 美術&工芸とその周辺
国立新美術館開館記念で開催されている「20世紀美術探検」展の展覧会カタログに掲載されている浅野智子さん執筆よる20世紀美術史年表からそのエッセンスを引用し、自身のブログに書き込むことにより美術の知識を深めるお勉強の試み(その2)

《40年代―戦禍の記憶から脱却する手段として、感情や思想をより直截的に映し出す抽象表現が盛んに用いられるようになる》
★1941年
中心地の移動―「伝統」に阻まれたヨーロッパ生まれの前衛芸術は戦禍を逃れて新天地をアメリカに求めていった
★1942年
「抽象性」「スケール」「身振り」といった新しい表現方法による自己再認識の作業としての美術が新たに登場
★1943年
辛酸な現実に対する反骨精神の有効な表現方法として抽象表現は一層高まりを見せる
★1944年
前衛芸術新世代の解放―カンディンスキーらの抽象表現の精神はポロック、マザウェルらの新たな造形表現へと展開していった
★1945年
抽象絵画の解放―戦争の終結と共に各地で抽象芸術が紹介され、抽象は戦後美術の象徴となっていく
★1946年
「物質的」絵画の登場―画面上の手蹟と物質感を強調した新たな抽象絵画の展開が世界で同時多発的におこる
★1947年
ニューヨークを中心に均一化された大画面を特徴とする「抽象表現主義」絵画(オールオーバー)が登場
★1948年
戦後の封建的な因習からの脱却を目指す新世代作家による新たな美術運動、美術団体が次々と創立される
★1949年
アール・ブリュットの思想広まる―芸術の新たな「作り手」の発見は、より身体的で直感的な表現活動を容認させる契機に
★1950年
絵画における形象表現や象徴性は放棄され、色彩による感情や感覚の直截的な表現へと向かっていく

ジャクソン・ポロック「ナンバー9」(1950年)

《50年代―新たな芸術概念を求めて「創作行為」や「素材」といった要素への挑戦が始まり、アクション・ペインティングやアンフォルメルが登場》
★1951年
不定形な厚塗りや錯綜した手蹟、身体性の強調によって「描くこと」への問いかけが始まる
★1952年
絵画表現は、物質と描画の「痕跡」に生じる緊張感に、行為と思想と直截的で瞬間的な現在を求める抽象表現へと向かっていく
★1953年
リアルな物質感を求めて、従来は用いられてこなかった物質の、造形素材への積極的転用が進む
★1954年
日常的イメージの「象徴化」「記号化」により視覚と認識の差異を提示する作品が登場
★1955年
卑俗な事物を芸術に持ち込むことで芸術と生活との境界を問う「ネオ・ダダ」の台頭
★1956年
ポップ・アートの萌芽―戦後の大衆消費文化への賞賛と抽象表現主義への反動として広告やメディアを含む大衆文化に注目が集まる
★1957年
一切の具象性や指示性を排除し偶発的な「現象」や「作用」によって表現する「純粋抽象」は加速度的に拡がりを見せていく
★1958年
ジャンク・アート(廃物芸術)の攻撃―機械部品など現代文明の廃物を強烈な形で大規模に用い良識的な美意識をを問う新たなオブジェ観の登場
★1959年
アンフォルメルの波は過ぎ、「鬱積した表現意欲」は従来の表現形式を凌駕したパフォーマンス表現へと向かう
★1960年
作品としての「物体」ではなく創造表現としての「行為」を直截的に「反芸術」の新しい芸術表現が広まっていく


《60年代―拝物主義の風潮はオブジェへの関心を増し、「ジャンク・カルチャー」や「アッンブラージュ」を美術の新ジャンルとして認めさせた》
★1961年
時空概念をテーマとするキネティック・アートや、廃材を扱ったポップ・アートなどの先鋭芸術が拡がりを見せる

ジム・ダイン「帽子」(1961年)
★1962年
リキテンスタイン、ローゼンクイスト、ウォーホルらが相次いで個展を開催しポップ・アートの幕間を一斉に告げた

トム・ウェッセルマン「静物#45」(1962年)
★1963年
既製品や量産品、匿名性の高い使い捨て用品、日用品などに美術を直接反応させて作品を創出する動きが広まりを見せる
★1964年
物質固有の物理的特質の強調によって現実世界の「リアリティ」を描写する抽象芸術の興隆
★1965年
純粋に視覚上の効果のみを追求した抽象画の一群として「オブ・アート(視覚的・光学的美術)」が登場する

アンディ・ウォーホル「4つの彩色をしたキャンベルスーツ缶」(1965年)
★1966年
「空間」から「環境」における表現へ―アメリカを中心に幾何学的な抽象を極限まで切り詰めた「ミニマル・アート」が誕生する
★1967年
物質の造形的側面よりも観念や意味性を重視した「コンセプチャル・アート」が世界的な広がりを見せていく
★1968年
変貌するオブジェ―物質存在の直截的な表現により極端なまでに思想を強調し美術の意味を問う作品が次々と登場してくる

ドナルド・ジャッド「無題」(1968年)
★1969年
「もの」ではなく、創造活動の「過程」や「行為」「現象」そのものを「芸術」として提示する動きが進む

ジャスパー・ジョーンズ「パン」(1969年)
★1970年
コンセプチャルな芸術論は進歩主義的モダニズム論に組み込まれ、テクノ・アートとして開花した


《70年代―科学や文化、社会の諸相を通して「もの」の存在や状態を概念や言葉によって強烈に提示することで美術の根源や制度への問い直しが進む》
★1971年
環境問題を背景に、自然界の脆さ、人間と自然との歴史的・精神的な相互依存への関心の表現が増える
★1972年
物質的な「もの」に付随する「意味」への取り組み―「もの」は概念や思考過程のための資料、記録として意味を強める

ロイ・リキテンシュタイン「赤ワインのある静物」(1972年)
★1973年
戦災・災害といった現代社会の深刻な諸相を目前に美術は社会問題への取り組みを始め、思考操作としての美術が登場し始める

ジョージ・マチュナース「フルクサス排泄物」(1973年)
★1974年
モダニズムの限界が自覚され、その相対化が始まる中で、ビデオ・アートが新たな表現手段として広まっていく
★1975年
公共空間と野外彫刻のあり方を問う社会の動きを契機に、「公共」と「芸術」との関係性に対する問いかけが始まる
★1976年
70年代末より抽象表現の拡大により失われた絵画性や物語性の回復を試みる「新表現主義」の傾向が顕著となってくる
★1977年
西洋美術世界から「美術」の系譜に対する多文化主義的な読み替えが行われ始める
★1978年
不整合な形態同士のぶつかり合いや雑多な素材の混合などによって破壊的なデザインが流布する
★1979年
造形表現の新たな素材としてエレクトロニック技術やデジタル技術などの非物質的な要素が登場し始める
★1980年
「反芸術」の作品は、芸術の「まがいもの」として市民権を得ることで、「ユーモア」として美術史の中へ回収されていった


※国立新美術館/「20世紀美術探検」展カタログ掲載の浅野智子作成の20世紀美術史年表から引用

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