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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「リダクテッド 真実の価値」を見た・・・<恍惚の視線>デ・パルマ監督NO.1

2008-11-05 | ブライアン・デ・パルマ

■製作年:2007年
■監督:ブライアン・デ・パルマ
■出演:パトリック・キャロル、ロブ・デヴァニー、イジー・ディアズ、タイ・ジョーンズ、他
※2007年ヴェネチア国際映画祭・銀獅子舞賞

ブライアン・デ・パルマ監督の「リダクテッド 真実の価値」を観てきました。最近は映画館へ足を運ぶことがめっきり減ってしまったのですが、久しぶりの映画館での観賞は、デ・パルマ監督がイラク戦争をテーマにがっぷりと四つに組んだ作品で、とてもヘビーな内容のものでありました。

デ・パルマ監督は、かつての作品においてそのテーマもさることながら、独特の映像美学を持っている監督で、それは流れるようなというか、恍惚的でエロティシズムさえ内包しているかのような素晴らしいカメラワークを魅せてくれ、ボクの一等好きな映画監督の一人であります。今回の作品もそのような部分を感じさせる描写の部分はあったのですが、そんなものを吹っ飛ばすような強烈かつ衝撃的な内容で終始圧倒されっぱなしでありました。

むしろ、デ・パルマ監督は映像派というか映像にこだわっている作家の観点からか、巷に溢れる多様な映像(プライベート・ビデオ映像、インターネット映像、取材映像、各国のニュース映像など)を駆使し巧みに構成して、戦争の現場で起こった悲惨な事実の真相を暴こうとしています。その姿勢には監督の戦争そのものへの怒りを感じ取ることができました。同じデ・パルマ監督の作品でベトナム戦争における、やはり少女のレイプ事件を扱った「カジュアリティーズ」がありますが、アプローチの方法論は全く違います。ただ、共通しているのは戦争において生命の危険に晒された極度のストレスから兵士はモラルを捨てた野獣と化し、その捌け口を相手国の無力な女性に向けていき、その醜さを描いていること。そういった恥ずべき事態を引き起こさせてしまう戦争を憎むべし、2つの映画からそんなことが伝わってきます。

ところで、巧みなカメラワークによって映像で語るという特徴ともうひとつデ・パルマ監督には、“下世話”という言葉がピッタリするような、欲望を剥き出しにした展開があるようにボクは思います。今回観た映画も兵士の欲望が悲惨な結果を生んでいくことになっていきますし、なによりも兵士のベッドの横に貼られたピンナップ・ガールの写真が象徴的であります。女性をレイプしたアメリカ兵が、自分の置かれた状況を嘆きイラクに対して罵声を浴びせるのも、下世話な言葉で満ちています。つい最近まで、品格という言葉を冠した本が書店で山積みされていたことがありますが、この映画に出てくる彼らに品格を感じることは難しいです。緊張した状況下で下世話になっていく魂がそこに見てとれるのです。

ところで、パンフレットに寄稿している今野雄二によると前半のアメリカ兵が検問所でイラついている所を描いたシーンで、ヘンデルの「サラバンド」が流れていたのですが、同じくその映像美でボクも敬愛するスタンリー・キーュブリック監督の「バリー・リンドン」の音楽にに使用されているその相似的手法を指摘して以下のようにまとめていました。

“映像が物語に優先するという映画的真理を、このフェイク・ドキュメンタリーで改めて実証してみせた”


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5 コメント

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『リダクテッド 真実の価値』 (BCwall)
2008-11-06 07:17:32
TBありがとうございました。
デ・パルマ監督の映画はムカシから好きですが、本作は大胆な映像の実験作だと思いました。
コメント (飾釦)
2008-11-06 21:55:41
BCwallさま、コメントありがとうございます。

巨匠となったデ・パルマ監督がこのような実験的手法を使って映画を作ってくれるのは精神が若々しい感じがして好感が持てました。
大物監督ですよね (台湾人)
2009-11-01 18:12:37
ブライアン・デ・パルマの「ファム・ファタール」は見たことがあります。

カンヌ映画祭で女泥棒がダイヤのついたゴージャスな蛇のビスチェを盗んで、仲間をしくじって、他人に成りすましてお宝を独り占めにしようとする悪女を描いたサスペンスです。
ありがとうございます (飾釦)
2009-11-01 20:36:20
私も「ファム・ファタール」を見ました。ラストのスローモーションはデ・パルマの真骨頂ですね。いずれ彼の映画も書いていきたいとおm追います。
戦争になれば誰しもが野獣になるんですねぇ…… (Helter Skelter Japan)
2015-01-16 21:48:58
今晩は。

『カジュアリティーズ』は見たことがあります。昔、夢中になっていたBack To The Futureのマイケル・J・フォックスが出演しているというので。

ベトナム戦争での米軍の蛮行はソンミ村事件等知っていますが、『カジュアリティーズ』を見て戦争に行けば誰しもが野獣になると思い知りました
どの国にも共通しますね。

デ・パルマ監督の映画は今の所、『カジュアリティーズ』だけですが、『リダクテッド』も見ようと思います。

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