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Japan Gustav Mahler Orchestra 特別演奏会@パルテノン多摩

2011-09-17 12:28:05 | オーケストラ
震災で、今年の定期演奏会の会場であるミューザ川崎が使用不可能になり、今年はもう演奏会はできまいと思っていたが、その後紆余曲折を経て「復興支援コンサート」として特別演奏会を開催できることになった。

ジャパン・グスタフ・マーラー・オーケストラ特別演奏会
(東日本大震災復興支援コンサート)
日時:2011年9月11日14:00開演(13:30開場予定)
会場:パルテノン多摩 大ホール
曲目:ワーグナー:「ジークフリート牧歌」
   ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」第1幕前奏曲と愛の死
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調
指揮:井上喜惟
ソプラノ(イゾルデ):蔵野蘭子
  入場料(チケット券面)は無料。自由意思による募金方式。


パルテノン多摩に行くのは2度目。1度目は1995年1月18日、阪神淡路大震災の翌日。
初めて小澤征爾を生で聴いた演奏会だった。まだ被害の全貌も分からない中で聴いた「運命」は「苦悩から歓喜へ」というよりも、なんとなく不安を払拭しきれていないような印象だった。
あれから16年。再び未曾有の災害を迎えて、今度は自分が舞台に立つことになった。


例年の定期演奏会と比べると準備期間の短さは如何ともし難い。が、こうなれば最早やれることをやるだけ、と割り切って本番に臨んだ。

「ジークフリート牧歌」は降り番なので、舞台袖で聴いていたが、柔らかい平穏な響きに胸を衝かれた。

続く「トリスタンとイゾルデ」で入場。すでにオケがスタンバイしているところに入場するのはおそらく初めて。舞台上は狭く、杖でえっちらおっちら動く身には結構なプレッシャーだったが無事着席。
この曲は7年前に演奏したことがあり再演となるが、むしろ他の曲よりも緊張感が高かったように感じた。実は、この日の客席は普段の定期に比べると半分にも遠く及ばない聴衆の数だったのだが、そのことが逆に幸いしたのだろうか、会場全体に一体感を強く感じた。殊に曲の序盤、フェルマータ付の休符が続く箇所での深い沈黙には痺れた。
そして「愛の死」で蔵野の歌唱が入ると、響きに核ができてまとまってきた。ここまで筆者はまだ一音も発していない。筆者の担当するTpの3rdは全曲の最終盤、残り20小節くらいで登場、吹く音もハーモニーを付ける下のHのみ、というシンプルこの上ない譜面だが、その分舞台では妙な余裕があり、それがまた緊張に拍車をかける。
自分の演奏自体はなんとか大過なく吹ききった、という程度だったのだが、オケ自体の演奏はきわめて充実していたように思う。演奏会に及ぼす聴衆の影響を強く感じた。

ブラームスはその反動か、開放的な気分で臨むことができた。ただ、それが悪い方に出たあのか、序盤で大きなミスをいくつかやらかしてしまったのは悔やまれる。だが、終楽章に向かって音楽は着実に高揚し、終盤でのトランペットの見せ場では、今できることは出せた、という実感がある。

演奏会トータルでは、さまざまな課題はあったものの、準備期間の短さを考えれば健闘と言えるのではあるまいか。
そして何より、この演奏会の最終的な目的の一つである、募金金額が50万円に達したことは喜ばしく、驚きでもあった。これからも、被災地のためにできることを考えたい。

さて、これからは次回のマーラー9番に向けて努力せねば。


(文中、敬称略させていただきました。)

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