新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

我が国の大手製造会社がすることか

2017-10-13 09:15:38 | コラム
日産自動車と神戸製鋼所:

これほどの我が国の基幹産業の大手である会社が、しかも2社が、不正を働いていたとは陳腐な表現を用いれば「俄に信じがたい」のだ。だが、とても遺憾なことに両社とも社長が認める記者会見をしていた。私の理解を超越した事実である。東証一部上場企業であれば、社員の質も高く道徳の観念や倫理観がそれに相応しく備わっていると勝手に思い込んでいたのが誤りだったのかと愕然とした。

悪い言い方だが、あの体たらくでは贋造品を何の罪悪感もなく売りまくる中国やアジアの国々と変わらないではないかとすら思わせてくれた。マスコミは海外での評価を著しく下げたなどと報じているが、そのような抽象的なことだけで済めば良いのではないか。事の本質は異なるが、タカタのエアーバッグのりコール問題のように途方もない金額の補償を求められる危険性が高い事案だ。

日産自動車の検査の不正にも呆れたが、神戸製鋼所のデータ改ざんも、何年か前の東洋ゴムを思い出せてくれた。今回のデータ改ざんの実態がどのようなものか知らないが、恐らく生産した物の「物性値」の表を言うのかとふと考えた。製造業にあっては、需要者に予め「仕様書」(specifications、スペック)を提出して「如何なる範囲で物性値を管理してその用途に適合させるか」を確認し合うのだと理解してきた。

経験上も言えるのだが、我が国の需要者は常にスペック表の提示を求められ、実際に納入する製品の物性値の「データ」を執拗に求められる傾向があった。私はそれは当たり前のことで、何事にも正確さと安全性を追求される技術水準の高い我が国の製造業としての厳しさだと理解していた。

しかし、1970年代だったと記憶するが、当時の技術サーヴィスマネージャーが「御社に納入する製品を製造した時点でのデータ表の提出はするが、そのデータが1日に製造する500 ton物製品全体を代表するものとは言えない。御社の製造部門での管理の目的で使用されるのだったらば、それなりの形を作れるに過ぎないと思う」と、非常に正直なことを言い出してその得意先を驚かせたことがあった。

彼の論点は「1日に500 tonも製造すれば1 tonの巻取紙が500本製造される。その500本全部のデータを取って納品書に添付することなどは物理的にも人員配置の面でも不可能だ。当社が現在提出しているデータ表がその500 tonの中のどの部分から取ったなどという記録は取れない。また抄紙機の幅のどの箇所から取ったかのかも特定はできていない。極言すれば御社に提出する1枚のデータ表が500 tonを代表しているとは言い切れないのだ。何か安心させることを言えと要求されれば、当社は最初に提出したスペック表の範囲内で管理して製造していると言うのが偽らざるところだ」だった。

この論理には更に細かく言えば「紙とは天然資源である木材繊維を水を媒介にして物理変化だけで作っているのだから云々」という説明が続くが、そこは省略して言うと、製造業者側が自社の生産効率を最大限に高めるようなスペックを設定して少品種を大量生産する方式を採っているのがアメリカ式である。それは、一般品(汎用品)を生産して需要家に納入するのである。買った方がそのスペックに合わせて下さいと言っているのに等しいと思う場合もあった。

しかし、時には特定の需要家の特定の製品の仕様に合わせるべく特注品を製造することがある。報道を見る限りでは、神戸製鋼所が各需要家の特定の製品に合わせたアルミ製品を作っていたのか、自社の都合でのスペックの製品なのかは、私には解らない。だが、もしも特注品の物性値を誤魔化していたのであれば、それは余りにも倫理観が欠落しているし、欠陥企業であると思う。しかし、如何に何でも受注の前に需要家と詳細且つ精密にスペックの打ち合わせというか検討を重ねていたのだろうと想像する。

データの改ざんと言うが、上記の技術サーヴィスマネージャーの論理を当て嵌めれば、如何なる時点で如何なる方式で物性値を測定していたのかを明確にしないか、出来ない限り、その需要家への納入分がスペックの範囲内だったか、あるいは本来は格下げ乃至は廃棄すべきだったの判断などは非常に難しい問題ではないか。中にはデータの改ざんなどしなくとも、正常な製品だったものが入っていたのだろう。神戸製鋼所は何を隠したくて物性値を改ざんしたのだろうか。技術をご専門とする方のご意見を伺いたい気がする。



ジャンル:
経済
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 10月12日 その3 馬鹿、間抜け | トップ | 10月13日 その2 トランプ大... »

コメントを投稿

コラム」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。