新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

日本とアメリカの企業社会における違い

2017-05-06 08:25:23 | コラム
我が国の企業社会は平等で機会均等である;

一寸微妙な話題になるかも知れないが、目下、ヤマトホールディングスが諸般の事情に鑑みて、宅急便の運賃の今年9月からの値上げを慎重に検討中と報じられている。個人的には無理からぬ事態であると思って眺めている。その実務部門であるヤマト運輸の長尾社長がその考えをテレビで淡々と述べていた。

その画面には社長の出身大学が高崎経済大学と掲示され、入社後は現場を経験された上で、そこから昇進されてきたことも知った。

ヤマトホールディングスは資本金が1,272億円で、16年度の売上高が1兆4,000億円超の大企業である。その大企業の社長の山内氏は金沢大学の出身とあった。ここからが誤解を招くかと危惧する微妙なことになるかと危惧するが、この人事を見ると我が国の企業社会の人材の活かし方が如何に平等で機会均等であるかが解るのだ。

それは、アメリカのような資本主義社会におけるヤマトホールディングスの規模の会社でCEO乃至はexecutiveまたはsenior vice president陣は、ほとんどIvy leagueまたはそれに準じる私立大学のMBA等で固められていて、地方の州立大学出身者がそこまで上がってくることは極めて希である。即ち、ある程度以上の階層に属する良家(裕福なと言っても良いだろう)の子弟が圧倒的に多いのである。

この辺りを私は「良い家(アッパーミドル等)の子弟に生まれた時点で勝負が付いてしまう傾向がある」と指摘したものだった。より具体的に言えば、嘗ては年間500万円、現在は600万円に近くなったと言われる私立大学の授業料を含めた学費を難なく負担出来るような家庭に生まれた者が有利だという意味だ。

一方の我が国では多くの上場企業やそれに準ずる会社を見ていても、昇進して重要な地位にある方々にはアメリカのような学歴による差というか、アメリカのような「スピードトラック」のようなシステムもなく、懸命に努力され、よく勉強され実績を挙げられれば、それなりの報いがあると見えるような、アメリカと対比すれば平等で機会均等な人事が行われていると思って、アメリカ村から眺めてきたものだった。アメリカにも言わば立志伝中の人物のような異例の出世を成し遂げた例をみてきたが、全体に占める率は低かった。

私は日本とアメリカの何れの制度というか仕組みが良いかは断定する気もない。解りやすく大胆に言えば「向き・不向きの問題だ」と思うのだ。だが、出自や学歴(≠出身大学)を問わずに本人の努力と研鑽次第で昇進していける人事制度があればこそ、アメリカのような報われない中間層が不満を抱えながらおざなりな仕事しかしないような弊害をもたらしていないのではないのかと思うことすらあった。

私はアメリカのそのスピードトラックなどとは無縁の中年の事務職員がポツンと言ったことが忘れられない。それは若くして事業本部長に昇進した年下の者を指して「彼奴は好き好んで、成りたくてあの地位に登ったのだ。俺はそんなことは望んだこともない。その職責と収入に見合う仕事をする為に朝は早くから出勤して動き回り、世界中を飛び回り、土日を犠牲にしてまで働きたいなどと考えたこともない。自分の能力とそれに見合った収入が維持出来れば生活が成り立つのだから、それで十分」だったのだ。

トランプ大統領を支持する一票を投じたのは、彼のような階層に属する者たち及びそれ以下の白人層があったと聞くが、何となく良く分かる話だった。さて、貴方は我が国の企業社会の在り方にご不満な点があるでしょうか、それともアメリカ型を望まれますか。

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