新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

日米文化比較論から

2017-07-21 07:52:23 | コラム
性悪説対性善説:

言うまでもないことかも知れないが、アメリカは性悪説を信奉し、我が国は性善説を信奉する世界でも少数派の国である。兎に角、人を信じていないようだ。1週間ほど前にこの件を論じた際には些か説明不足だったのでそこを補うべく、思いつくままに解りやすい具体的な例を挙げてみよう。

*人は万引きをする:
先ず感心したのが、アメリカの靴屋とデパートの靴売り場では、片方しか陳列してないことだった。現地人?にも確認したが「これは万引き防止策」(万引きをshop・liftingという)で、片方だけでは盗んでも意味がないようにしているのだった。これでは、頭からお客は盗むと決めつけているではないかと、アメリカ人の思考体系に慣れていない間のことで大いに驚かされたものだった。

*お客は「無銭宿泊」をする:
次は「アメリカの性悪説の文化に不慣れな日本からの旅行者を屡々悩ますホテルにチェックインする際に先ずクレデイットカードを提示してその番号をインプリントしてしまうこと」を挙げたい。。こうすることで、仮令そのお客が「泊まり逃げ」とでもいうか宿泊代金を支払わずに出て行ってしまっても、クレデイットカード会社には請求できるのだ。ここでも「宿泊客は無銭宿泊するもの」と決めつけている。

以前にも触れたが、クレデイットカードを持っていないお客からは宿泊数に相当する分よりも多額の前渡金(deposit)を申し受けて安全を確保する仕組みになっている。この性悪説の態度が我が国の性善説を信じておられる方を立腹させるのだ。と言うのも「借金をするのを潔しとしない」方はカードを持とうとはされないのだった。

換言すれば、現金決済が一般的である我が国とは異なり、アメリカではカード乃至は小切手で支払う習慣が根付いているのだ。私は以前にスーパーで$3を小切手で支払っていた人の後ろに並んでしまい、時間がかかってイライラさせられたことがあった。

しかし、この人を疑うことの背景にあるアメリカ人の物の考え方を忘れてはならない。それは、彼らは「クレデイットカードも持てないような人物は経済的に不安定である」と信用状態を疑うというか、ほとんど危ないと決めつけているのだと思えば解りやすいだろう。即ち、「カード会社からカードの交付を拒絶されるような人を泊める訳にはいかない」と考えているようだ。

*お客を見たら泥棒と思う:
1990年に二度目にニューヨークに行った時にも感じたので、5番街などの貴金属であるとか値が張る商品を商っている店には鍵かかかってるか、すだれ状の外が見えるようなシャッターが降りていてて買い物客が勝手に?入っていけないのだった。我々が前に立って覗き込むと、店主か店員か知らぬがじろりと品定めしてから入店を許可してくれたのだった。これはNYは治安が悪いからそうするかと思えば、あれほど安定していたシアトルのテイファニーでも、ガードマンが入り口に立っていただけではなく鍵もかかっていた。

我が国は確かにこういうことにはなっていないが、昨今の大多数の監視カメラの設置などを見ていれば、性善説信奉の我が国にも性悪説を導入せねばならないほど治安がおかしくなってしまったのかと思わざるを得ない。もしかすると、それも政府の方針として何千万人だったかの観光客を誘致しようという切なる願いが為せる業かも知れない。