新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月7日の出来事

2015-12-08 14:52:00 | コラム
12月7日は多忙だった:

病院から緊急連絡:
朝方の予定では、午後から長年お世話になっている須田クリニックで新宿区の高齢者向けの無料のドックというか身体検査の予約をお願いしてあっただけで、平穏無事な一日の筈だった。ところがPCに向かって「頂門の一針」に投稿すべく原稿に着手した9時半過ぎから雲行きが怪しくなってきた。それは固定電話が鳴るのだが登録していない番号で、留守電を残す気配もないので無視して書き進めていると一旦は諦めたが、暫くすると又もやかかってきた。二度目は留守電を知らせる音声まで行ったが無言。

もう好い加減にしてくれと思ったところ更に三度目が。その鳴り方に何となく「緊急事態ですよ」と感じさせる気配があったので、普段なら無視するところを禁を破って出てみる決断を。すると、それは家内がお世話になっている病院のTYMセンターからで「9時半には重大な検査にお出で頂くはずだったが、未だお見えになっていない。こちらに向かっておられるのでしょうか」と丁寧に訊かれた。「不在であり、次回の予約は12月10日と言っており、別なところに行っています」と真実を答える以外なかった。

ところが放射線科の事務係と名乗った女性は切迫した言い方で「何とか出先を追ってでも午前中にお出で願うように出来ないか」と真剣に言われた。しかも緊急なのでと、私の携帯電話の番号まで尋ねられた。そこで兎に角普段は来場者の呼び出しはしないジムに電話をしてある程度の事情を話して呼び出しをかけて貰った。結果的には首尾良く連絡が取れて家内は時間内に病院に出頭して目出度しとはなった。だが、大いにバタバタして落ち着かなかった。

私は家内が後生大事に束ねてある予約表等の一式を調べたが、該当する7日のものはなかった。察するに係員が家内に予約表を手交するのを忘れたので、極めて鄭重に是非午前中に来院をというほとんど懇願の状態に立ち入ったのだろう。この連絡に手間を取られて書きかけの原稿用に折角閃いた構想というかアイディアが何処かに消し飛んでしまい、一段落付いて再びPCの前に座れたときには”Where was I?”状態で、最初から読み直して構想の練り直しになってしまった。だが、その時間が家内を無事検査に向かわせる為に費やしたのならば仕方があるまいと、無い知恵を絞って考え直しになってしまった。

「格好良い」またはもしかして自慢話?:
午後一番には昼食を抜いて検査に向かった。ところが通常は13時30分前でも空いているクリニックのドアが閉まったままで、約10分間寒空の下で待っていた。だが、定刻に中には入れても先生は都合で14時まで戻られないと聞かされていたところに、後から入って来た青年に向かってジムの女性が私を指さして「この方は英語が解ります」と日本語で言ったのだ。そんなことを宣伝した覚えもなかったのだが、仕方なく”Are you from the States?”と尋ねてみた。これは「アメリカ人ですか?」の意味にもなる。

答えは”Yes.”で、そこで何となく今年最初となる英語での会話に突入となってしまった。彼はNY生まれで来日6年目であり、英語教師をしている由で豊島区高田に住んでいるとは解った。そこでジムの女性が割って入り、当日の診察予定等を訪ねた後で「何故に無保険状態か?それでは100%の高負担となるので可及的速やかに保険料を払って保険証を持参されるよう」と勧告したのを通訳することになった。ところが「多忙の為に区役所に出向いて滞納した保険料を払う時間が無い。100%負担は厭わない」と答えたので何とか一件落着。

それから約20分間は我が国では何故か英語を自由に話せる人極めて少ない事であるとか、日米相互間の企業社会における文化に違いがあって未だに不馴れなことが多く悩まされているであるとか(先週は日立戸塚工場で講習会を開いた由)、当方が如何なる経緯で英語を話せるようになったのか等々を語り合った。何れも私が最も得意とする分野の話題故に、今年恐らく最初で最後だろう英語での語り合いになって行った。

そこに事務員が再度現れて彼に質問があったのだが、その際に私に「英語が話せるのは格好良いです」と言って感心してくれた。私にとっては「格好良い」と言われたのはこれで三度目だった。思うにこれが褒め言葉なのだろうが、未だに何故それが「格好良い」との表現になるのか理解出来ずにいる。最初は20年以上も前に日大フェニックスの全日本三連覇の祝賀会で招待されていたアメリカの要人(だったのだろう)と話しているのを聞かれた文理学部のHN教授に「格好良いです」と言われたことだった。

自慢話と思われても仕方がないが言いたいことは「何故それが格好良いことなのか」なのだ。二度目は2006年7月の二度目の心臓発作で入院中に看護師さんの依頼でカテーテル検査を受けさせられることに難色を示していたアメリカ人の患者にその必要性を説明する通訳をして上げた時で、目的を達成した後で「格好良いです」と言ってお礼を表現されたのだった。実はほとんど無知な医学の専門語が出てくるので容易ではなかったが、それくらいは何と言い表せたのだった。

昨日もそうだったが「何故英語が話せるのか」と尋ねられのは面倒なのだ。”To make a long story short.”と言って「GHQの日系人の秘書の方に1945年から話せるように仕上げるべく教え込まれた経緯」を語る他ないのだから。私は「貴方は英語が上手い」と褒められるのは単に彼等の文化である社交辞令的表現であると承知しているので褒められたとは思わない。それは如何なる条件下でも「貴方の英語は下品で文法的誤りだらけで育ちが解るぜ」等と言われることは日本人同士でもあり得ないからだ。

正直に回顧すれば、昨日は英会話の時間を終えて診察とX線写真撮影で下着を脱いだ際に脇の下に汗びっしょりだったのは恥ずかしいやら悲しいやらで、今の私では英語で話すことは当人が感じていたよりも余程心理的には負担になっていたのだと知って次第だ。汗顔の至りだ。

兎にも角にも、昨日は約20分間全力で英語を話す機会を当たられたのは有り難いことだった。だが、近年は偶に書いても話しても、如何に自分の英語が劣化してしまったがイヤになるほど、自己嫌悪すら感じるほど英語おかしくなっているかが手に取るように解るのでが悲しいのだ。しかし、常日頃主張しているように「我が国で生活する以上日常的には英語は必要ない」のであるから、自己嫌悪などと偉そうなことを言わずに黙って反省し、再度品質向上に努力すれば良いのだと自戒している。

ファーストリテイリングの極暖ヒートテック:
このFRの”UNIQLOの今年の新商品”HEATTECH EXTRA WARM”は従来の「ヒートテック」のシャツやズボン下よりも遙かに保温性に優れていると愚息が語っていたので、身体検査の後に高田馬場駅前の店に行って調査してみた。結果的には在来品の約倍の値段であったが、見本品を触っても店員の説明を聞いても保温性が良いらしいので、大枚を叩いて上下を揃えて購入してしまった。FRは「売り切れ御免」的な商法でうっかり買い損なうと翌年には継続販売しない嫌いがあるので、今回は焦って買った次第だ。確かに暖かく、この暖房を使っていない部屋では、その上に木綿のシャツ一枚で過ごせている。これは「当たり」の部類だろう。

兎角、FRと言うと何となく「安かろう~だろう」的に捉えやすいかと思うが、これまでに言わば試験的に「この値段ならば安物買いの銭失いになっても仕方がない」と思って手を出してみて「お買い得だった」と思えるものが3~4点ある。その際にも「この俺が来ている以上、世界のブランド品に見えるだろう」くらいの自負心を持って買っている。だが、今回は下着なので誰にも見せるものではないのが残念だ。何れにせよ、12月7日は時間に追われた一日だった。