『天気晴朗ナレドモ浪高シ』

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2017年06月19日 | 放言
今からオッサンが少しばかり昔の話をしようか。

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今から二十年ほど前、とある地方のど田舎にバイク好きな青年が居た。当時彼は転職で地方都市から出戻ったところで、引越しの際手放したオフロードバイクがまた欲しくて小さな街の小さなバイク屋の門を叩いた。最初は125が欲しかったのだがレースにも使えるしと促され当時最新鋭の市販250オフバイクを随分背伸びして買った。彼にバイクを売った店長から「オフロードレースやってた奴が店に来た。どうも速いらしい」と話に尾びれ背びれがつき彼の知らないところで噂は一人歩き、しばらくして店の常連たちと走りに行った時、彼の腕前は噂程ではない事が知れて「なんだヘタッピィかよ期待持たせやがってw」と常連たちに笑われた。素朴な青年はその時愛想笑いで誤魔化したが本当は内心悔しかった。

だから彼は30万で買ったボロボロの1BOXバンにバイクを積んで、暇さえあれば週末度に50km程離れたMXコースに通った。猛暑日も雨の日も雪の日も。実力さえあれば馬鹿にした連中を見返せる、実力さえあれば周りは認めてくれる。彼はガムシャラに練習した。転んで怪我もした。それでも練習を続けた。

いつしか彼はちょっとした地方レースで表彰台に立てる程速くなった。歳の近い馬の合う先輩と組んで毎月のようにレースに明け暮れた。最初に青年を笑った常連達もオフロードでは青年に勝てなくなった。常連たちは素直に青年の努力と速さを認めた。

彼はいつしか輪の中心に居た。青年に大切な仲間が出来た。

当時、青年には付き合い始めた彼女が居た。背が低く黒縁メガネで引っ込み思案だけど黒髪のポニーテールの似合う可愛らしい娘だった。彼女の引っ込み思案な性格をどうにか明るくしてあげたい、そうしたら一緒に居てもっと楽しくなるはず!と思った青年は少しづつ、バイク屋の常連たちの輪の中に彼女を連れて行き馴染ませてあげる努力をした。人見知りだが慣れれば愛嬌のある立ち振る舞いの彼女はすぐにチームの中でマスコット的な存在になってメンバー皆から可愛がられた。
程なく彼女は青年のレースや練習にも同行するようになった。エアコンの無い、高速乗ったら坂道で60km/hも出ないボロ車での長距離移動にも彼女は嫌な顔一つせず同行してレースや練習中、青年を献身的にサポートしていた。引っ込み思案だった彼女の性格も、チームの輪の中で皆とふれ合いどんどん明るくなっていった。最終的には青年と一緒にバイクで走りたいから、と彼女は進んで自動二輪の免許まで取得したのだ。

青年は思った。ああなんて良い事だ素晴らしい。こんなに幸せな事は無い。

だが、青年のそんな楽しくて幸せな日々はそう長くは続かなかった。

人は変わる。間違いなく変われる。
但し「良い方向悪い方向」どちらにでも、だ。

ある日、青年と彼女は些細な事から大ケンカをしてしまった。そのことはチームメンバーの中でたちどころに知れる事に。多くの常連たちは最初は「おまいら早く仲直りしろよー(笑)」とお互いを仲裁するようなスタンスだったのだが、そのうちに一部のメンバーが妙に彼女の肩を持つような発言をするようになり、最後には「お前が悪い。あの娘はお前には似合わん」などと言い出すようになってしまった。
彼女は青年の知らないところで彼女を擁護するメンバーたちと遊びや飲みに出かけたり、あまつさえ宿泊付きの旅行などにも行くようになっていたのだ。
これは大変だ!こんな筈では・・・、と慌てた青年は相方の先輩に仲裁を頼んだりして彼女との関係を元に戻そうとしたのだが、周囲からマスコット扱いされチヤホヤされる事に全く免疫の無かった彼女は周囲の甘やかしにすっかり溺れてしまっていていた。輪を掛けて事態の収拾に奔走する青年の取った行動が余計に彼女の心を遠ざけ、更に状況を悪化させてしまった。事態はもう既に阻止限界点を超えてしまっていた。

そして訪れる最悪で残酷な瞬間。

青年と彼女の問題はチーム監督でもあるバイク屋の店長の知れるところとなり、チームの輪を乱す、他の客の迷惑だから、という理由で青年は店への出入り禁止を言い渡され、もう半年1年後には結婚も、と言われていた仲だった彼女とも別れる事になってしまった。
彼は失意のどん底まで落ち仲間たちとも疎遠になりチームも抜け、あれだけ好きだったバイクを見るのも乗るのも嫌になってそのまま降りてしまった。

青年は全てを失った。バイクも、仲間も、そして最愛の彼女も。好きだったもの大切だったもの全てが彼の手からこぼれて落ちた。
そして彼は心を病み、宛も無く出口の見えぬ闇をその後かなりの年月彷徨い続ける事になる。

彼は何が悪かったのだろうか?
彼は何処で道を間違えたのだろうか?
彼はどうするのが正しかったのだろうか?
間違っていたのは彼だけだったのだろうか?

いったい何がどうしてこうなってしまったのだろうか?


今となっては真相は刻の流れに紛れて深い深い闇の中・・・



そう、これは二十年程前、地方の片田舎に住む、とても運の悪かった青年のお話。

何処の誰かは知らないけれど、誰もがみんな知っている。

かも・・・。




刻は流れて幾年月
青年は大人になり、妻も子供も出来てささやかではあるが人並みの幸せを手にしているとかいないとか。


そして人も、物も、環境も、要因もまるで違うのだけれども根幹的なところで

『歴史はまた繰り返す』

既にそうなってしまっているかもしれないし、
まだそうではないかもしれない。
何の事かは知らないが、何かの事ではあるのも紛れもない事実。
誰の事かは知らないが、誰かの事であるのもまた事実。

悪意のない行為が人を傷つける事は間違いなく在る。
悪意がなかった、そんなつもりはなかった、心広く持て、いい大人だろ?とか免罪符でもなんでもない。
悪意がない自分は悪くないと思っているから無神経で居られるのだろうな。

見た目は子供、中身は大人な探偵気取りのマセガキちびっ子がTVの液晶パネルの向こうで言う。
「真実はいつもひとつ」
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2 コメント

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Unknown (iTT)
2017-06-20 21:34:13
実はコナンは間違っている。
「事実」はひとつだが、
「真実」はヒトの数だけあるの。
>iTTさん (maruyon-kai)
2017-06-20 21:58:44
知ってますよ。
「その人にとって都合の良いのが真実」
でしょ。
そして誰もが事実には蓋をして眼をつぶって知らないフリをするんですよ。
昔も今も。

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