![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/de/7bf1706d5c66040986bad63de196d398.jpg)
東京に「アトリエベル」というエコ塗料の開発・製造・販売をする会社がある。
代表の鈴木光明さんは、(有)寿々木(すずき)塗装店の四代目塗師でもある。
国産エコ塗料のパイオニア的存在で、塗料のことはもちろん、博識で頼りがいのある師匠だ。
6年程前、床板にどんな塗装をすればよいのか、試行錯誤の時期があった。
自然塗料と呼ばれるドイツ系の様々な塗料から、エゴマ油、アマニ油など
伝統系の物までいろいろと試していたのだが、どれも一長一短あり悩んでいた。
そんなときに鈴木さんを紹介してもらった。
「塗料のことは、鈴木のおっちゃんに聞け。」
と熊本の高木淳二さん(高木冨士川計画事務所主宰)に教わったのだった。
電話すると面食らった。売ってくれないのだ。。。
「どうして塗料を塗るの?木の良さがなくなっちゃうよ!木は塗らないこと!!」
そのまま、塗料の講義が電話で1時間・・・
「塗装して塗膜をつくる為には、常温で液体の油と固体の脂が必要で・・・」
「薬じゃないんだから健康塗料という言葉はおかしいよ。人にも環境にも害のないエコ塗料なんだよ・・・」
「塗料の中に何が入っているのか、全てを曝しているところはない・・・」
「日本のように温暖で湿潤な気候のところに、さらっとした気候のドイツ系塗料では樹脂が足りないのでは・・・」
とにかく、塗料にめちゃくちゃ詳しい人を見つけた、ということがわかり、
ようやく1時間後、塗料を売ってもらえることになった。。。
人が触れる床、建具、家具には塗ってもいいだろう・・・ということになったのだ。
依頼した塗料が早速送られてきたが、依頼したものよりもサンプルのほうが多かった。
いらっしゃるんですね。こんな方が。。感動しました。。。
鈴木さんの塗料には、お気に入りが二つある。
一つ目は「クラフトオイルフィニッシュ」。
![](https://www.samukawaten.com/paint/a13.jpg)
塗膜が厚く、滑りにくいという特性があるので、
小さいお子さんや、お歳を召したご家族がいる場合、この塗料をおススメしている。
超仕上げした桧床板にエコ塗装すると、滑りやすくなるものが多く悩んだ時期があった。
二つ目は「白木用オイルワックス床用」。
![](https://homepage3.nifty.com/ecoshop/net-store/toryou/siraki.jpg)
ワックスとは蝋のことなのだが、鈴木さんの原料は化粧品グレード。
特徴は、塗装しても濡れ色にならず、それでいてキッチリと水を弾くところ。
素材感をあまり損なわず、いい仕事をしてくれるのだ。酸化チタン入り。
鈴木さんと出会ってから、塗装して出荷することが少なくなった。
建て主セルフだったり、ワークショップをからめて皆で塗ったり。
だが、鈴木光明さんは塗料の師匠というだけにはとどまらない。
様々な出会いを演出してくれたのだ。
「リビングデザインセンターOZONE 室内環境ラボ」の稲田智子さんだったり、
「住宅建築」に執筆していたフリーライターの平山友子さんだったり。。。
数日前もヒョッコリ電話をいただいた。
連絡をもらう時は、いつもいろんなアドバイスをしてもらう。
「僕は杉岡さんの経営コンサルタントだよ。いいブレーンだろ!」
と語る鈴木さんは、電話の向こうで笑っている。
頭のキレる「ドラえもん」を彷彿とさせる師匠が目に浮かび、つられて大笑いをしたのだった。