◎三二五『138億年の日本史』21世紀の天文学(現在まで)

2017-06-02 09:08:13 | Weblog
三二五『138億年の日本史』21世紀の天文学(現在まで)

 それでは、先ほどの宇宙の膨脹速度が加速しているという観測結果を再現するためには、空間にどのくらいエネルギーが満ちていればよいのだろうか。2001年、NASA(アメリカ航空宇宙局)によりウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機(WMAP)が打ち上げられ、宇宙背景方射の温度分布を全天に渡り観測される。その計算の結果が2003年に発表されると、その「ゆらぎ」の量はちょうど見つかっていなかった、つまり、宇宙の曲率をゼロにするのに必要な残り約73%に相当していることがわかったのである。なお、このデータでは、「宇宙の晴れ上がり」を「宇宙創生後38万年」だとしている。
 2009年3月に公表されたWMAPの5年間のデータ解析によると、宇宙創生時の宇宙の組成としては、ダークマター(暗黒物質)、ニュートリノが10%、電磁波が15%、原子12%だったと推定される。それが現在の物理学者の間では、宇宙の約72~73%の部分を「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」なる名前を付けることによって何かの存在を想定し、その後も何とか観測する努力を進めている。残りは、ダークマター(暗黒物質)が23%、原子が5%の組成であると推定されている。
 ここに至って、この宇宙には「ダークマター」(暗黒物質)と並んでもう一つの「ダークエネルギー」がひろがっているといわれている訳だ。そして現在に至るまで、このダークエネルギーの存在を証明する程の観測はなされていない。その正体が何であるかはわかっていないので、これはまだ現代の物理学の最先端の、半ば仮説の段階の話といっていいのかもしれない。
 アリゾナ大学のクラウス教授は、こう述べている。
 「つまり、宇宙の物質の70%がダークエネルギー、残りの30%が未知の素粒子からなるダークマターだ、残りのほんのわずかな余計なものが君たちや私だ。だからすでにいったように、君たちはとてつもなく、どうでもいい存在なんだ。君たちは宇宙にとってはまったく重要ではない。目に見える全てのもの、夜空の星や美しい物に見えるすべてのものを取り去ったとしても、宇宙は本質的にはなんら変わらない」と。
 日系3世のミチオ・カク・ニューヨーク州立大学教授も、こう示唆の富む説明を学生に講義をしているところだ。すなわち、「講義の初めに宇宙は元素でできているといったね。あれは誤りだ。すまない。あらゆる高校の教科書もまちがっている。宇宙は原子でできているのではない。では何でできているのだろうか。これは最新の研究から導かれた宇宙の組成だ。宇宙のおよそ73%は暗黒エネルギーというものでできている。真空が持つエネルギーだ。宇宙の何もない空間にもエネルギーは存在し、そのエネルギーが銀河同士を遠ざけている。そのことで宇宙はいまも膨脹し続けているのだ。

(続く)

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