(372)『自然と人間の歴史・日本篇』1998年の日本経済

2017-08-10 23:10:44 | Weblog
(372)『自然と人間の歴史・日本篇』1998年の日本経済
 
(1)まずは、用語の簡単な説明から始めよう。
①国内所得
 一国の経済活動を分配面からみたものに、国内所得(DI:Domestic Income)があり、それには2つの種類があります。一つは国内純所得(DNI:Domestic Net Income)であり、もう一つは国内所得(狭義)です。
②国民所得
 一国の経済活動を分配面からみたものに、国民所得(NI:National Income)があり、それには2つの種類があります。一つは国民純所得(NNI:National Net Income)であり、もう一つは国民所得(狭義)です。
③三面等価の原則(国内総生産、国内総所得、国内総支出)
 一国の生産活動を生産面からみた国内総生産(GDP:Gross National Product)と、これを分配面からみた国内総所得(GNI:Gross National Income)、そして支出面からみた国内総支出(GDE:Gross Domestic Expenditure)は同じ大きさとなっています。これを三面等価の原則といいます。
④国内純所得、国内所得
 国内での生産には機械や建物といった設備を用います。これらの価値はその使用によって時々刻々減少していて、その価値が尽きる時には新しいものと取り替える(更新)しないといけません。そこで、企業会計上は毎年更新の時のための資金を貯めておくことになります。この毎年の積み立て分を減価償却(引当金)といい、一国の一年間の減価償却の合計を固定資本減耗と呼んでいます。これは国内総生産から固定資本減耗を差し引いたものが国内純生産であり、また、国民総所得から固定資本減耗を差し引いたのが国内純所得です。こちらは市場価格表示になっていて、国内総生産、国内総所得でいう総(グロス))と国内純生産、国内純所得でいう純(ネット))との区別はその統計値が固定資本減耗を含むか含まないかの違いに他なりません。
 こうして得られた国内純所得は(間接税ー補助金)が控除されていないことから「市場価格表示の国内所得」ともいわれますが、さらに実体を正確に把握するためには、ここから間接税を差し引き、補助金を加算する必要があります。言い換えると、純間接税(間接税ー補助金)を控除しなければなりません。というのは、間接税の分だけ高くなり、補助金の分だけ低くなっている、換言すると純間接税の分だけ高くなっているからです。こうして得られたものが国内所得(Domestic Income)であって、この国内所得は要素費用表示となっていて、「要素費用表示の国内所得」ともいわれます。
 つまり、国内純所得は市場価格表示となっているものを指し、国内所得は要素費用表示となっていて、その区別は統計値が(間接税ー補助金)を含むか含まないかの違いに他なりません。
⑤国民総生産、国民総所得
 もう一つ、一国の生産活動を生産面からみたものとして、国内総生産=国内総所得に海外からの要素所得を加え、海外への要素所得を差し引いたのものが国民総生産(GNP:Gross National Product)=国民総所得(GNI:Gross National Income)です。
⑥国民純所得、国民所得
 国民総所得から固定資本減耗を差し引くと、市場価格表示の国民純所得となります。また、そこから純間接税を差し引くと要素費用表示の国民所得となります。後者の要素費用表示の国民所得は雇用者報酬、営業余剰・混合所得から成っていて、後者の営業余剰・混合所得は財産所得と企業所得から成り立っています。ここで財産所得とは、土地や資本設備及び資金などの生産要素の提供者に分配される要素としての地代や利子、配当などをいい、また、企業が雇用者に雇用者報酬を支払ったあとの企業の受取り分を企業所得といい、こちらは法人貯蓄や法人税の支払い、役員報酬などの支払いにあてられます。
(2)次には、1998年の日本経済の概況はどうであったのでしょうか。以下では、一部の数字が整合しないところがありますが、もともとの統計値が丸められていることと関係しているように考えられます。
 1998年の国内総所得(=国内総生産)の構成(単位は10億円)
1.雇用者所得:282,541
2.営業余剰:90,612
3.固定資本減耗:83,194
4.間接税:43,801
5.補助金:3,048
よって純間接税=(間接税ー補助金)は40,753
6.統計上の不突合:1,398
7.海外からの要素所得の純受取:7,215
8.国内総生産=国内総所得:(1+2+3+4-5+6):498,499
9.国内純生産=国内純所得(DI:Domestic Income,市場価格表示の国内所得):(8-3):415,305
10.国内所得(DI:Domestic Income,要素費用表示の国内所得)
:(9-4+5):374,552
11.国民総生産=国民総所得:(8+7):505,714
12.国民純生産=国民純所得((NNI:National Net Income,市場価格表示の国民所得)
:(8+7ー3ー6):498,499+7,215ー83,194ー1,398=421,122
13.国民所得(NI:National Income,要素費用表示の国民所得):(10+7-6):380,369
14.(=13):国民所得(NI:National Income,要素費用表示の国民所得):(1+2+7):380,368
(経済企画庁『国民経済計算』から作成)

(続く)

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