◎198の2『自然と人間の歴史・世界篇』1998年ロシア通貨危機とその帰結(その前史、1997~98年6月)

2017-10-17 12:18:14 | Weblog
◎198の2『自然と人間の歴史・世界篇』1998年ロシア通貨危機とその帰結(その前史、1997~98年6月)

 ソ連解体後のロシア連邦の経済は、おおむねトンネルを抜け出せないまま、推移していきます。そんな中でも、金融面は、1992年7月、外国為替の複数相場制から中央銀行公表レート制へ移行しました。1993年7月、旧ソ連邦ルーブル紙幣から新ロシア・ルーブル紙幣への切り替えがありました。1995年1月、財政赤字の中央銀行借入れを禁止しました。短期国債発行方式に移行しました。同年7月、外国為替において、目標相場圏(コリドール制)を採用しました。
 そして1996年6月、ロシアとしてIMF8条国となりました。毎日新聞は、このことを伝えています。
 「日本が国際通貨基金(IMF)8条国になった。これにより国際収支の悪化を理由にした為替取引制限ができなくなり、民間が行う外国との資本取引や輸入貿易制限がほぼ30年ぶりに解かれた。円は交換可能通貨になった。本格的な開放経済体制移行に際して、政府はとくに声明を出し、先進国への仲間入りを宣言、国民の協力を求めた。経団連など財界各団体も決意を明らかにした。」(1964年4月1日付け毎日新聞より引用。)
 そして迎えた1997年4月、外国人(非居住者)による国債投資の段階的自由化が開始となりました。参考までに、この間の消費者物価上昇率推移(対前年比)(外務省ホームページより)は、次のとおりでした。1992年:26.1倍。1993年:9.4倍。
1994年:3.2倍。※1995年はデータがありません。1996年:21.8%。一進一退で、推移していましたから、庶民の生活はさぞかし大変だったでしょう。
 1992年1月の価格自由化を境にハイパーインフレーションが起こり、1995年まで継続しました。その後、1998年の財政金融危機後に再び増加を見ました。そして、1997年を迎えた頃、その間政府の財政はますます多額の国債を継続的に発行することてだ賄われるようになってきていました。そうした鳴り物入りのロシア国債を国内で買ったのは、ロシアの金融産業グループ(FIG)が筆頭でした。塩原俊彦氏の論考によれば、1997年4月1日現在のFIG内銀行の国債投資残高、及びその額の1996年10月1日の残高からみた増加率は、づきのようなものでした。
 「①ナショナル。リザーブ銀行4412(100万ルーブル)、ー2.99%。②オネクシム銀行2564、681.72%。③国際金融会社(MFK)1013、188.72%。④インコム銀行3439、75.13%。⑤インペリアル銀行479、ー24.44%。⑥SBSアグロ4869、68.20%。⑦モスト銀行212、189.84%。⑧アルファ銀行1288、271.32%。」(塩原俊彦「現代ロシアの政治・経済分析」丸善ブックス、1998)
 こうして中でロシアは1998年を迎えていました。1998年1月1日をもって、ロシアは従前の1000ルーブルを新1ルーブルとするデノミネーションを実施しました。
 1998年5月半ばから短期国債の利回りが40%程度から118%程度まで急上昇しました。7月22日、連邦財務省が短期国債の新規発行オークションを中止しました。7月24日になると、IMF(国際通貨基金)による第一トランシェ48億ドルの割り当てがありました。8月12日には、7月7日に取り決められていた世界銀行からの構造調整融資の15億ドルのプログラム枠の中から3億ドルを借り入れました。
 1998年6月25日、IMFがロシア向け融資の再開を発表しました。この状況のもとで、7月13日にはMF(国際通貨基金)などによる総額約230億ドルの国際金融支援が合意されました。伊藤光晴氏は、こうのべています。
 「IMFの融資は融資を受ける国のためのものであろうか。もちろんそうでなければならない。だがロシアへの融資をみるかぎりにおいて、それは同時にウォール街のためのものであった。IMFの融資によってロシアの通貨ルーブルの国際的価値の安定化がはかられた。その間多くのヘッジ・ファンドはロシアの短期国債を購入していた。それは一年物で年利20%とか、30%とかいうものであった。もちろんデリバティブを利用して、原資を何十倍かの権利にかえてである。この過程をみるかぎり、IMFの融資は、ヘッジ・ファンドの利益を支えるものに使われていると考えざるをえない。」(「伊東光晴「経済政策」はこれでよいか」岩波書店、1999)

(続く)

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