(363)『自然人間の歴史・日本篇』1990年代経済摩擦の基本図式

2017-08-10 22:40:19 | Weblog
(363)『自然人間の歴史・日本篇』1990年代経済摩擦の基本図式

 貿易摩擦や資本のやりとりを巡っての国際対立を紐解くには、通常、経済学の知識が必要とされる。開放経済における恒等式と呼ばれるものは、どんなものであろうか。政府と外国を入れた開放経済、つまり私たちが普段から見知っている「普通の経済」においては、次の式が成り立ちます。
(貯蓄・投資バランス)+(歳入出バランス)-(輸出入等バランス)=0
貯蓄投資差額(貯蓄ー投資)+財政収支(政府歳入ー政府歳出)-(輸出等ー輸入等)=0
(家計貯蓄-家計投資)+(企業貯蓄-企業投資)+(政府貯蓄-政府投資)-(輸出等-輸入等)=0
いいかえると、
(投資・貯蓄バランス)+(歳出入バランス)+(輸出入等バランス)=0・・・・・(1)
投資貯蓄差額(投資ー貯蓄)+歳出入差額(政府歳出-政府歳入)+(輸出等-輸入等)=0
(家計投資-家計貯蓄)+(企業投資-企業貯蓄)+(政府投資-政府貯蓄)+(輸出等-輸入等)=0
また、経常収支=(輸出等-輸入等)なので、
(投資・貯蓄バランス)+(歳出入バランス)=-(輸出入等バランス)・・・・・(2)
投資貯蓄差額(投資ー貯蓄)+歳出入差額(政府歳出-政府歳入)=-(輸出等-輸入等)
(家計投資-家計貯蓄)+(企業投資-企業貯蓄)+(政府投資-政府貯蓄)=-(輸出等-輸入等)
 ところで、一国内の各部門の貯蓄投資バランスの合計は、経済全体の貯蓄投資バランスであり、これは概念上は経常収支に一致します。
経常収支は2つの経済的な意味を持っています。第一に、「経常収支=民間部門(家計と企業)の貯蓄と投資の差+財政収支」という関係。この貯蓄・投資バランスの関係から、例えば財政赤字の拡大は、民間の貯蓄・投資差が不変であれば、経常収支黒字の減少(ないし赤字の拡大)になります。第二に、経常収支は対外投資(資本流出)と対外借り入れ(資本流入)の差と等しくなります。ある国が年Xの黒字であれば、統計上の誤差を無視すると、その年のその国の対外投資は対外借り入れをX上回っている。Xの赤字の場合は、逆に対外借り入れの方がX多いことになります。
 ここで、企業貯蓄とは企業の内部留保を指します。政府貯蓄は(政府税収-政府消費)によって求められますが、これに社会給付と税金の関係を入れると、つぎのようになります。
導出は、つぎのとおり。
①ここでは、家計へのカネの出入りに着目します。
ある一年間の(の総計)は、賃金、利潤、レントなどの形で分配され、収入として入ってくるでしょう。
企業が生み出した付加価値の全部が家計に入ってくる訳ではありません。国民所得Yの一部分が税金Tとして政府に取られてしまいます。その政府から社会給付Wの支払い分が家計に入ってくるでしょう。したがって、
Y-T+W=C+S
②今度は、企業へのカネの出入りに着目してみましょう。こちらは、すでに他のところで触れたように、次の式が導かれます。
Y=C+I+G+X-M
③以上の二つの式をあわせると、次の式が導かれます。
C+S+T-W=C+I+G+X-M
これから、次の式が出てきます。
(I-S)+(G+W-T)+(X-M)=0
言葉で言うと、
(投資・貯蓄バランス)+(歳出入バランス)+(輸出入バランス)=0
同じことですが、
投資・貯蓄バランス(投資ー貯蓄)+歳出入バランス(政府支出+社会保障ー税金)+(輸出ー輸入)=0

(続く)

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